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“ブラック・ライブズ・マター”でも膝をつかない理由とは?

Footmedia

2020/09/23 12:22

2020/09/22 22:50

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NEWS

イングランドでは、昨シーズンの後半戦から試合前に選手や審判が膝をつくようになった。人種差別撲滅を訴える『ブラック・ライブズ・マター』のジェスチャーだ。それは今シーズンも続いているのだが、膝をつかなくなったクラブもあるという。

ロンドンに拠点を置くイングランド2部のクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)は、開幕戦に続いて18日に行われた第2節のコヴェントリー戦でも試合前に膝をつかなかった。ちょうどその試合がTV中継されたこともあり、一気に批判を集めたのだが、同クラブには膝をつかない明確な理由があると英紙『The Guardian』などが伝えている。

QPRのフットボールダイレクターを務める元イングランド代表FWレズ・ファーディナンドは、ジェスチャーだけでは意味がないとクラブ公式サイトにて説明した。

「膝をつくジェスチャーは強力なメッセージ性があったが、そのインパクトは薄まったと思う。“医療従事者に拍手を”の取り組みも非常に感動的だった。でも、それをやらなくなったからといってイギリス国民は医療従事者への感謝を忘れたのか? そんなことはない。」

「なにより、この問題について私以上に情熱をたぎらせている者はいない。私はキャリア通じて、ずっと主張してきたのだからね。」

ご存知の通り、リオ・ファーディナンドの従兄であるレズ・ファーディナンドは、ニューカッスルやトッテナムなどで活躍した元イングランド代表のストライカーだ。そして何より、人種差別と闘い続けてきた黒人選手なのだ。

現在、イングランドのプロリーグのクラブで黒人がフットボールダイレクターを務めるクラブはQPRしかいないのだ。それだけではない。

彼らのスタジアムは昨シーズンから「カイヤン・プリンス・ファウンデーション・スタジアム」に改名された。虐めを止めようとしてナイフで刺され、15歳にして命を落としたQPRの元ユース選手の名前がつけられているのだ。QPRほど社会が抱える問題に真摯に向き合っているクラブはないのだ。

ファーディナンドは説明する。「膝をつくのは“単なるPR”になりつつある。メッセージ性が失われた。今では、洒落たハッシュタグや何かのピンバッジとあまり変わらなくなった。我々は今後10年、膝をつきながら、何も変わらない世界を見届けるのか? 膝をついても何も変わらない。実際の行動が世の中を変えるんだ。」

膝をつかなくても、ファーディナンドの熱意は必ず人の心に届くことだろう。

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