コロナ禍はフットボール界にも大きな爪痕を残そうとしているが、最も懸念すべきは広がる格差なのかもしれない。そう警鐘を鳴らすのは、アーセナルを22年間も率いた“プロフェッサー”ことアーセン・ヴェンゲルである。
🗓 #OnThisDay in 2018: Arsène Wenger managed his 1,235th and final game as our manager
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— Arsenal (@Arsenal) May 13, 2020
現在、FIFAでフットボールの発展に努めているヴェンゲルは先週末、久しぶりにスイスのFIFA本部を訪れたという。果たして、フットボール界は今回のコロナ禍を乗り越えることができるのか? ヴェンゲルはスポーツ情報サイト『The Athletic』に「楽天主義と悲観主義の違いが分かるかい?」と、“教授”らしい知的な表現で答えたという。
だが懸念すべきこともあるそうだ。「強者はより強く、弱者はより弱くなる。格差が広がるかもしれない。一流クラブの財政に大きな影響はないだろう。だが、残念ながら下部リーグは大打撃を受けるはずだ。フットボール界の問題はトップレベルではなく、下部リーグにある。」
確かにイングランドでは、プレミアリーグが6月17日に再開し、2部リーグも6月20日の再開を目指しているが、3部と4部リーグは正式にリーグの打ち切りを発表した。下部リーグからすると無観客での試合は、余計に傷口を広げるだけなのだ。
「フットボール界では欧州と他の地域の格差も広がっている」とヴェンゲルはさらに指摘する。「ユースレベルや女子サッカーの大会を再び開催することも忘れてはいけない。大切なことが2点ある。リーグ内で緊急資金を設けて苦しむクラブを救うこと。それから育成年代のための資金も確保すること。」
各国リーグは再開と共に交代枠の増加を導入した。FIFAが、この一時的なルールを認可する際、ヴェンゲルも話し合いに加わったという。「過密日程になるので選手を休ませることが大事だ。加えて、監督にとっては戦術の幅が広がるはずだ。従来の3枠は、怪我を考えた場合、実質的に戦術面での交代は2枠だったからね。」
常に厳しいファイナンシャルフェアプレー(FFP)を呼び掛けてきたヴェンゲルだが、今回のコロナ禍の影響を受けて緩和案に賛成するようだ。「慎重に、少しドアを開けるべきかもしれない。もしくは収入の均等化を図るべきだ。今は、あまりにも結果が予想できてしまう。フランスでは、開幕する際に誰もが『2位はどこだろうね?』と話すのさ。潤沢な資金のあるパリ・サンジェルマンの一強だからね。」
1つの案はサラリーキャップの導入だが「同じチームに年俸500万ドルと5万ドルの選手が同居するのは健全ではない」とヴェンゲルは疑問符を投げかける。
果たしてフットボール界は、“プロフェッサー”が納得するような「健全な競争」を取り戻すことができるのだろうか。
🤝 Welcome to the team, 'Le Professeur'
⚽️ Arsene Wenger is FIFA’s new Chief of Global Football Development
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— FIFA.com (@FIFAcom) November 13, 2019