かつてワールドカップという夢の舞台において、左足だけのタッチで誰にもボールを触らせず、ドリブルからたった一人でゴールを決めたスーパースターがいた。また、「左足一本でピッチ上の22人をコントロールしている感覚」を憶えた怪物と呼ばれた男がいた。
どの時代でもファンを魅了する左利きのプレーヤーたち。今季Jリーグを盛り上げるレフティを取り上げてみる。
五輪代表としても期待がかかる二人
FC東京の久保建英は言わずと知れた「和製メッシ」。レギュラーとして出場時間も一気に増えた今季もその左足で操られるボールはドリブル、パスともに相手の急所を突く鋭さがさらに際立っている。第6節の浦和戦での得点シーン、四人に囲まれながら力強いドリブルでかわし、ターンした後、浮き球を左足で味方へのパスへと一瞬の判断で切り替えゴールが生まれた。現在17歳、来年の東京五輪への期待も十分であり、群を抜くサッカーセンスはさらに輝きを増していくことは間違いない。
同じく東京五輪を見据えるのは横浜Fマリノスの三好康児。
ガンバ大阪との開幕戦、横浜FMが細かいパス回しで右サイドを崩し、クロスからのこぼれ球をペナルティエリア外に位置していた三好が受けるとワントラップ後、思い切り左足を振り抜く。ボールはキーパーの手をかすめゴール左隅に突き刺さった。迫力のあるシュート、そしてドリブルを駆使し攻撃に圧力をかけるアタッカーとして成長を続けている。
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様々な武器をもつ個性豊かなレフティプレーヤー
飛び道具を武器とする左足の持ち主はコンサドーレ札幌のDF福森晃斗だ。2015年、J2在籍時に札幌の一員になると主力として活躍、翌年のJ1昇格に貢献する。何より得意とするのは、直接ゴールに叩き込むFK。第8節の横浜Fマリノス戦でもFKを決め今季初得点を記録した。遠目からでも構わず打ち込める威力は他チームの脅威だ。
今季より浦和レッズを新天地に選んだのは山中亮輔。サイドバックのポジションながら攻撃参加も得意とし、決定力も備えている。昨年の代表デビュー戦でゴールを挙げた強運の持ち主で、シーズン終了後の横浜FMからの移籍は大きな話題を呼んだ。正確なクロスを放つサイドバック、ウイングバックとしてもリーグ屈指の実力を持つ。
ガンバ一筋のベテランサイドバックは藤春廣輝だ。
昨年のサガン鳥栖戦から18試合連続でスタメンに名を連ね、今年も開幕からフル出場を続け、1得点2アシストを記録するも第7節の浦和戦で左鎖骨を負傷、全治10週間と発表されている。低迷から抜け出せないガンバにおいて、無尽蔵のスタミナを誇る藤春の復帰が待たれる。
横浜Fマリノスの天野純も左足での直接フリーキックを得意とするテクニシャンだ。昨年には代表に初招集されるなど、クラブでも存在感は増す一方であり、今季もここまで全試合にスタメン出場を続けている。重みのある名門の背番号10を背負い、チームの中心としての役割を担っている。
多くのプレーヤーが躍動するピッチ上において独特の感性を発揮し輝く左利きのプレーヤーたち。攻守においてその磨き上げた左足から放たれるボールの軌道を追う、世界中のサッカーファンはそれがこのスポーツの大きな魅力であることを誰もが知っている。