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【チェルシーファンに送る】補強禁止処分を受けたチームの通信簿

footidiota

2019/03/03 22:45

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NEWS

2月22日、FIFAがチェルシーに対して「補強禁止処分」という非常に重い処分を通告した。
FIFAでは原則的に18歳未満の選手の国外移籍を禁止しており、今回チェルシーはそのルールを破ったとされている。


by CHELSEA FC STATEMENT

対象となったのは29人の選手。身近な例で言えば、現在リヨンに所属しているトラオレが挙げられる。チェルシーは「トライアウトとして受け入れた」として選手契約は断じて行っていないと声明を出しているが、実際のところその異議申し立てにはFIFAは首を立てに振らないだろう。

補強禁止期間は2019年夏と2020年冬のマーケットになるため選手のテコ入れを毎年模索しているチェルシーにとってはかなりの痛手となりそうだ。

不運にもチェルシーはFIFAからの補強禁止処分を通告された4チーム目として不名誉な称号を与えられてしまった。しかし、チェルシーよりも前に前例が3件も存在していることに驚きを隠せない。

今回過去の前例として補強禁止を言い渡されたチームが禁止期間にどのように戦い抜いたのかをご紹介したい。

バルセロナ

補強禁止理由:18歳未満の選手の国外移籍
補強禁止期間:2015年冬・夏

期間中のチーム成績
“14-“15
ラ・リーガ:優勝
チャンピオンズリーグ:優勝
コパ・デル・レイ:優勝

“15-“16
ラ・リーガ:優勝
チャンピオンズリーグ:準々決勝敗退 アトレティコ
コパ・デル・レイ:優勝

まずはバルセロナ。チェルシーとバルセロナに共通することといえば、①優秀な若手を確保できて受け皿があること、②優秀な若手を自チーム以外に輩出させて活躍の場を広げていることが挙げられる。優秀な若手を保有するバルセロナは今回のチェルシーと同様に18歳以下の国際移籍のルールを犯して補強禁止処分が下せれた過去がある。

しかし、実際のところチームの弱体化があったかと言われるとそうではない。補強禁止期間の主要大会では好成績をマークしている。

ルイス・エンリケ指揮官の下、メッシ・スアレス・ネイマールの強烈な3トップの連携に成熟度が加わり誰にも止められない破壊力で数多の強豪に打ち勝った。また、ペドロ・イニエスタ・シャビなどチーム歴が長いプレーヤーがいたこともチームにとって大きな影響があり、ある意味ここがチームの移行期間だったのかもしれない。

レアル・マドリー

補強禁止理由:18歳未満の選手の国外移籍
補強禁止期間:2016年夏・2017年冬

期間中のチーム成績
“16-“17
ラ・リーガ:優勝
チャンピオンズリーグ:優勝
コパ・デル・レイ:準々決勝敗退

続いてレアル・マドリーの例。レアルもバルセロナ同様、ジダンというチーム・ファン・選手どの分野においても一目置かれる存在が指揮官だったことが非常に大きく、そもそものチーム体制が盤石だったことも幸い。チームの成績はセルタに敗れたコパ・デル・レイを除いて主要タイトルを制覇している。

補強禁止期間中、ベンゼマ・ベイル・ロナウドのBBCをベースにバスケスやアセンシオといった若手を融合させることでチーム内での強化を推し進めた。

またこのシーズン、毎試合スタメンに変化があり「固定化を避ける」傾向にあったことも言及したい。これは体力消耗に偏りを生じさせないメリットもあるだろうが、補強禁止と言われようが「誰をピッチに送り出しても勝てる自信がある」ことや、「選手を公平に信頼している」ことを意思表示したかったのかもしれない。

アトレティコ・マドリー

補強禁止理由:18歳未満の選手の国外移籍
補強禁止期間:2016年夏・2017年冬

期間中のチーム成績
“16-“17
ラ・リーガ:3位
チャンピオンズリーグ:準決勝敗退 レアル
コパ・デル・レイ:準決勝敗退 バルセロナ

一方3ケース目のアトレティコはあと一歩でタイトルを取ることができたといえるシーズンを過ごす結果となってしまった。

悔しいことに、チャンピオンズリーグとコパ・デル・レイではそれぞれ負ける訳にはいかない最大のライバルに苦杯を舐める形になり、その先でライバルたちは優勝している。

ただ、バルセロナやレアル・マドリーと同じく、揺るがないチームコンセプトでチーム作りに励んでいたシメオネ監督の手腕が功を奏し、選手補強がなくても大崩れすることはなかったと言える。今でも続く442で鉄壁の守備を形成し相手にスキを与えることはなかった。しかし、2トップ、特にグリーズマンの相棒探しにだけシメオネも苦戦ことだろう。
このシーズン、2トップの組み合わせとして「グリーズマン×◯◯」と幾度となく試していた。フェルナンド・トーレスやガメイロ、コレア、カラスコがトップに入ることもあった。及第点の結果は出したものの、シメオネが高評価を出すことはなかった。

これまでに紹介した3チームに共通することは、「絶対的な指揮官も下、チーム体制にブレがなく大崩れしないリスクヘッジが存在している」ということだ。その結果補強なしでも十分欧州制覇できるということも証明している。

今のチェルシーも当てはまるか。それはまだ分からない。サッリ指揮官のチームコンセプト浸透がまだ途上段階にあるからだ。浸透の進捗によっては方向性を変える決断も場合によってはありなのかもしれない。

ただ私は十分補強がなしでも戦えると考える。チェルシーには優秀な若手たちとベテラン、そしてアザールやウィリアンを筆頭としたワールドスターを保有するなど様々な経験をしたプレーヤーたちが存在する他にはない組織体だ。

チームのメリットであるその組織体を融合させたチーム運営を実現すれことができれば、競合するチームにも十分打ち勝てると確信している。

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