ロシアW杯最終予選を終え、予選突破を決めた日本代表。今月に入り、強化試合として6日にニュージーランド戦が行われ、そして10日にはハイチ戦が組まれている。今回の二試合を含めハリルホジッチ監督は戦力の見極めに重きを置くとしながらも、今後は本大会に向けいよいよ出場選手の選考も本格化してくる。
その中でもより激しさを増すのはゴールキーパーだ。一つしかないポジションを巡り、実力者がその座を争う。現在、その中心にいるのが3大会出場を目指すベテラン・川島永嗣だ。
途中からの招集となった最終予選
10月6日の国際親善試合日本対ニュージーランド戦。
「新たな戦力を試す機会」と目されていたこの試合でも最後尾に立ったのは最も経験豊富なGK・川島だった。8か月後、ロシアのピッチに立っているのもやはりこの男なのだろうか。
昨年9月から行われた最終予選は当初、代表から遠ざかっていたものの、ホーム・イラク戦からメンバーに召集、アウェー・UAE戦では先発として勝利に貢献。以降、本大会の切符を手にする瞬間までゴールマウスに立ち続けた。過去、2度のW杯に出場し、ヨーロッパを主戦場にしつづけている経験が初戦を落とし苦戦を強いらていたチームを見事に立ち直らせた。
但し、強靭なライバルも手ぐすねを引いている。GKとして唯一最終予選全試合にベンチ入りしたガンバ大阪の東口、さらには昨年のリオ五輪に出場した中村の二人には今後本大会までにテストとしての機会を与えられるだろう。たった一つしかないポジション故、最後の最後まで「守護神」が誰になるのかわからない。現に、川島自身も2010年南アフリカ杯チームでは不振のカンフル剤的に、それまで絶対的守護神だった楢崎正剛に代わり、本大会直前に出場機会を得た経験を持っている。
もちろん、現在招集されている3人以外にも日本人GKは数えきれないほど存在する。川島といえど、「3度目の正GK」が安泰であるはずがなく、更なるサバイバルが始まることは必至だ。
ベテランとしての経験を活かして
GKだけでなく、現在の日本代表は若手への切り替えが急速に進んでいる。かつてともにW杯を戦ったメンバーは徐々に代表のピッチから姿を消し、そしてその成果として現れ手にすることが出来た結果が6大会連続となるW杯出場だ。
その中で、ベテランとしてどのように存在感を際立たせていけるか。最終予選での戦いを見る限り、DFラインとの連携面から考えても川島が一歩抜け出ているのは間違いないだろう。初代表から9年もの時が経ち、代表キャップ数も歴代二位を誇る。今なお欧州のトップリーグで主力として活躍する唯一の日本人GKは代表を支えつづける役割として、外すことのできないピースであることは証明されている。
二大会ぶりのグループリーグ突破に向けて、ロシアW杯のゴールマウスに立つのが最もふさわしいのはやはりこの男かもしれない。