「この勝利からまた我々らしさを取り戻したい。」9戦負けなしの湘南が首位を堅持
明治安田生命 J2 第33節は、8戦無敗中の首位、湘南が、7戦負けなしの讃岐を迎えての一戦。
好調チーム同士の対戦は、32分、右CKを後方で受けた奈良輪 雄太がファーサイドへ正確なクロス、相手ディフェンスに競り勝ったアンドレ・バイアのヘディングシュートで湘南が先制する。
前半は湘南ペースで試合は進むが、主導権を奪い返したい讃岐 北野監督は早い時間帯に交代カードを切る。
40分、山本 翔平から高木 和正へスイッチ。左足から放たれる高木の正確なキックが攻撃のアクセントになり、さらに後半開始から右サイドバックの武田 有祐に代えて長澤 拓哉を投入。守備に修正を施し攻勢を強める。
対する湘南は、出場停止の山田 直輝に代わり、久しぶりの先発出場となった神谷 優太が個人技でチャンスを演出する。
61分、左サイドでボールを受けた神谷が中央にクロス、中央のジネイが巧みにファーサイドに逸らし、走り込んできた端戸 仁がシュートを放つが相手ディフェンスに阻まれてしまう。
試合終盤に入ると、讃岐は2バック気味に、リスクを厭わず猛攻を仕掛けるも実らず、このままタイムアップを迎えた。1点を守り切った湘南が首位を堅持。0ー3で敗れた前回対戦の雪辱を果たした。
勝負強さの裏側に
第33節を終えて、得点44、失点26。湘南はリーグ最少失点を記録しているものの、得点数はリーグ22チーム中8位(現時点で)と、決して得点を量産するチームではない。
この数字が示しているのは、僅差の決着であり、類い稀な勝負強さである。
これまで挙げてきた21勝のうち13勝が1点差の勝利であり、1点差のゲームは33戦中、半数近くの15戦にも及ぶ。
昨今の試合の中で特に印象深いのは、第28節 アウェーでの千葉戦。19本のシュートを浴びながらも、わずか2本のシュートのうち1本を決め、勝負強さを発揮した試合もあれば、
第31節 ホームに横浜FCを迎えた神奈川ダービーでは、後半アディショナルタイムに被弾し、2点差のリード守り切れずドロー。
そして今節、讃岐の猛追を退け、辛くも虎の子の1点を守り切った。
チョウ監督は「まだまだ我々は、いろいろな顔を見せてしまう、監督としても成長させなきゃという思いでいっぱい」と自らの課題を口にしながらも、
「勝たないといけないという気持ちが、勝ちたいという気持ちを上回っちゃうと、どうしてもプレーが縮こまってしまう。心理的なことで、もう少しやれないか。」と試合後に、秋野 央樹、石川 俊輝、両ボランチに話したことを明かした。
残り9試合に向けて「この勝利からまた我々らしさを90分取り戻したい。」と締めくくったチョウ監督。度重なる接戦で凌ぎを削ってきた経験を糧に、優勝へ向けていよいよ独走態勢に入る。