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ポルトガルのEURO優勝を支えた安定感をもたらす若手~最新の若手事情とは?

hirobrown

2016/07/29 22:30

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NEWS

01_レナト・サンチェス
by UEFA.com

決勝で開催国フランスを下してのポルトガルの優勝で幕を閉じたEURO2016フランス大会。

02_ポルトガル代表
by UEFA.com

今大会から参加国が史上最多の24カ国となった事で全体的にレベルが低下した、あるいは小国が大国に勝つ術として守備重視で戦うような試合が多くなりました。
サッカーの内容的に見応えのある試合は少なくなったように感じました。

ただ、人口約33万人の小国であるアイスランドがベスト8に進出したり、アイスランド同様に初出場のウェールズが唯一のスターであるFWギャレス・ベイル選手と共にベスト4まで勝ち残って力強く歩んでいく姿など、ストーリー性のある代表チームが多かった印象が残っています。

そして、大会の最優秀選手に選出されたポルトガルの18歳のMFレナト・サンチェス選手(記事内トップの写真)を筆頭に、ドイツのDF/MFジョシュア・キミッヒ選手など、今年に入ってからや大会直前に代表デビューしたような若手選手が大会中に多く台頭して来たのも印象的でした。

ポルトガル優勝の立役者=全フィールド選手を起用したサントス監督

03_フェルナンド・サントス監督
by UEFA.com

特に優勝したポルトガルはフェルナンド・サントス監督が登録メンバー23選手中のフィールドプレーヤー20選手を全員起用。それも18選手+GKルイ・パトリシオ選手の19選手を先発起用した事もあって、多くの若手選手が先発に抜擢されました。

レナト・サンチェス選手以外にも、23歳のMFジョアン・マリオ選手や左サイドバックも22歳のラファエル・ゲレイロ選手、22歳のMFアンドレ・ゴメス選手、24歳の守備的MFウィリアム・カルバーリョ選手や右SBにも24歳のセドリック・ソアレス選手が主力として優勝国を支えたのです。

もちろん、グループリーグを3戦3引き分けで終え、決勝も含めて全7試合で90分間の勝利が準決勝のウェールズ戦のみという低調な試合内容と共に、「優勝国」には似つかわしくない”芳しくない結果”が続いていたための試行錯誤が続いた事が原因なのでしょうが、結果的にはそれがコンディション面を始めとする優勝の要因になりました。

大会を通して毎試合で2選手以上の先発メンバーの変更があり、そのたびにシステムや中盤の構成が変化しました。特にグループリーグを終了して大会4戦目となる決勝トーナメント1回戦・クロアチア戦の先発メンバーに、前のハンガリー戦から4選手の変更がありました。

そのクロアチアとの対戦に挑むメンバーから外れたのは、38歳のDFリカルド・カルバーリョ選手と32歳の左SBエリゼウ選手、30歳の右SBヴィエイリーニャ選手、9月に30歳になるMFジョアン・モウチーニョ選手というベテラン選手たち。また、この試合で途中出場からマン・オブ・ザ・マッチに選出されたレナト・サンチェスも次戦の準々決勝・ポーランド戦から先発に定着。チームはどんどん若返りをしながら勝ち進みました。

勢いではなく安定感をもたらす若手~決勝T以降に堅守速攻色を強めたポルトガル

04_レナト・サンチェス
by Young Giocatore

ただ面白い事に、決勝トーナメント以降に若手を軸にしたポルトガルは勢いや大胆さ、攻撃力といった本来の若手抜擢による起爆剤となる要素を得たわけではありませんでした。

むしろ、グループリーグでハンガリーと3-3で打ち合うなど、グループリーグ3試合で4得点4失点と守備の不安や攻守に安定感を欠いたチームを修正。決勝T以降の4試合で5得点1失点と堅守速攻色を強めて優勝カップを掴みました。

マン・オブ・ザ・マッチに2度選出されるなどして「最優秀若手選手」に選出されたレナト・サンチェス選手も迫力のあるドリブル突破に注目が集まるものの、”新たなエドガー・ダーヴィッツ”(元オランダ代表の守備的MF)と称されるように、守備力の高さやチーム戦術の一端を担う組織プレーをスムーズに行える選手で、それはボランチやサイドMF,ウイングと万能な役割をこなすMFジョアン・マリオ選手も同様です。これはポルトガルの他の若手だけでなく、ドイツのキミッヒ選手(下記写真)を含めて、今大会で活躍した多くの若手に当てはまる事情だったように感じます。

05_キミッヒ
by The World Game

一般的には、若手が自分の長所や持ち味を発揮できるように、隣のポジションやパートナーにベテラン選手を組み合わせるなどして補完させ、ベテランが若手の能力を引き出す姿が想像できます。

しかし、若手が集まったポルトガルのMF陣が顕著だったように、今大会で活躍した若手はしっかりと自立しており、ベテラン以上にチームに安定感をもたらす選手が多くいました。

監督だけでなく選手にもファン・サポーターやメディアから結果が問われる傾向が一段と増している昨今、若手・中堅・ベテランの線引きは存在せず。若手も個人能力を出すだけでなく、組織プレーへの完璧なフィットを要求されているのでしょう。

だからこそ、多くの若手が台頭したものの、個人としてあまり大きなインパクトを放つ若手選手がいませんでした。レナト・サンチェス選手でさえ、12年前に10代の若手だったクリティアーノ・ロナウド選手やウェイン・ルーニー選手と比べるとかなり小粒に感じます。

大人のようなプレーでチームに安定感をもたらす完成度の高い若手選手が重宝される現代サッカーですが、筆者としては粗削りだけれどもダイヤモンドの原石であることがハッキリと分かるような長所と短所の落差が激しい逸材。そんな選手をもっと観たいと思ったという意味では、やはり物足りない大会だったのかもしれません。

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