ディフェンダーにとってイギリスでのプレー経験はチームの財産になる。
とつくづく思っている。
他のリーグと違って強靭なフィジカルや簡単に屈しないタフさが要求されており、それができないと失点する機会が増えチームの守備安定に貢献できない。
さらにプレミア上位ともなれば前述した要素に加えて、別の特異性を見出されたプレーヤーだけが生き残る非常に狭き門になっている。
ファンダイクのスフォワード顔負けの速さ、ラポルトのビルドアップ能力、アルデルヴァイレルトのロングボールなど、これまでにはなかった新タイプのディフェンダーたちが時代を変えてきた。
考えて見れば当たり前のことではあるが、他リーグから移籍してきたプレーヤーは移籍先のチームに順応するだけでなく、新たに加入したリーグの環境にも順応しなければならない。
国が変わるだけでプレースタイルが大きく変化して苦労したというインタビューを毎年のように目にする辺り、この定説は間違っていないだろう。
だったらせめてある程度その環境を経験したプレーヤーを獲得することが得策だと私は考える。
この考えが本当に正しいのかどうか。
今回、トップ6を対象に「ディフェンダーの自国でのプレー経験期間」にフォーカスを当ててみたのでご紹介したい。
自国でのプレー経験の定義
①トップチームデビューからのキャリアからとする。
②ローン移籍もプレー経験の対象とする。
③イングランド2部以下やスコットランドリーグも含むこととする。
マンチェスターシティ 現在失点22
The Champions League returns to the Etihad tomorrow. It’s go time! 👊
🔵 #mancity pic.twitter.com/0rPIIE6VYt
— Manchester City (@ManCity) April 16, 2019
デルフ 140ヶ月
コンパニ 127ヶ月
ウォーカー 128ヶ月
ストーンズ 92ヶ月
オタメンディ 43ヶ月
ジンチェンコ 22ヶ月
ダニーロ 20ヶ月
メンディー 20ヶ月
ラポルト 14ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「67.3ヶ月」
マンチェスターシティのディフェンダーたちの1人辺りの平均プレー期間は5年を超えている。
シティ躍進の時代を共に進んだコンパ二を始め、他チームで主力になったデルフ、ストーンズ、ウォーカーが牽引している。
14ヶ月をプレー経験が短いラポルトではあるが、全く見劣りしないプレーぶりを見せてペップの期待に大いに応えているのも忘れてはならない。
特にセンターバックの経験値が高いことが守備の安定化に貢献しているのではないだろうか。
リヴァプール 現在失点20
T A A 🙌@trentaa98 has been nominated for the @PFA Young Player of the Year award. 💪 pic.twitter.com/AHpHkh1KCw
— Liverpool FC (@LFC) April 20, 2019
ロバートソン 80ヶ月
ダイク 68ヶ月
ロブレン 68ヶ月
ゴメス 56ヶ月
モレーノ 55ヶ月
アーノルド 32ヶ月
マティプ 32ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「55.8ヶ月」
リヴァプールは極端にキャリアが長かったり短かったりしないのが特徴である。
ロバートソンはスコットランドでのキャリアも長くリヴァプールでも簡単に順応できた。
効率的なスプリントや小柄ながら鉄壁の対人スキルを併せ持つ無くてはならない存在だろう。
ジョーゴメスやアーノルドといった若手組もなんだかんだで2年以上は在籍。
まだまだキャリアを積んでいく年齢であることなのがある意味恐怖を感じる。
トッテナム 現在失点35
What a feeling! 💙 #UCL ⚪️ #COYS pic.twitter.com/KTc6puKC70
— Tottenham Hotspur (@SpursOfficial) April 17, 2019
ローズ 140ヶ月
トリッピアー 116ヶ月
ヴェルトンゲン 80ヶ月
デイビス 80ヶ月
アルデルヴァイレルト 53ヶ月
ウォーカーピータース 20ヶ月
オーリエ 19ヶ月
サンチェス 19ヶ月
フォイス 19ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「60.7ヶ月」
トッテナムも近年の守備力を考えると非常にバランスの取れたラインナップだと考える。
ダニーローズは今年に入り、本職のサイドバックではなくボランチでの起用をされることも増えてきている。
それは彼の身体能力もあってのことだろうが、それだけでなく長年イングランドでのプレー経験に基づいた順応性あってのことだとも受け取れる。
またビッグマッチでもフォイスやKWPをスタメンにするなど濃度の高い経験値を積ませる傾向があることも申し上げたい。
アーセナル 現在失点40
It was good to have you back out there, @6_LKOSCIELNY 👊 pic.twitter.com/PMDLOConlS
— Arsenal FC (@Arsenal) April 12, 2019
コシェルニー 104ヶ月
ジェンキンソン 104ヶ月
モンレアル 74ヶ月
ベジェリン 56ヶ月
ホールディング 48ヶ月
ムスタフィ 31ヶ月
コラシナツ 20ヶ月
マブロパノス 15ヶ月
パパスタソプーロス 8ヶ月
リヒトシュタイナー 8ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「46.8ヶ月」
今回の分析で、アーセナルが1人辺りの平均プレー期間が最も短いことが判明した。
少なからず今シーズンの40失点やアウェイで勝てない現象にリンクしているのではないかと推察する。
アーセナルの補強の特徴は他リーグ実力者をインポートすることであるため、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグなどにフォーカスを当てた「対欧州型のチーム」を目指している。
しかし、その出場に必要なリーグ戦の対策を重要視しないためそれが近年プレミアリーグで苦戦する理由ではないかとも考えられる。
さらに強くなるために自リーグでのプレー経験豊富なディフェンダーを補強し守備の安定化をしなければならないのではないだろうか。
チェルシー 現在36失点
Deadlock. 🤜🤛
0-0 [23′] #CHEWOL pic.twitter.com/vLqCvQlVq6
— Chelsea FC (@ChelseaFC) March 10, 2019
ケーヒル 176ヶ月
アスピリクエタ 79ヶ月
アロンソ 73ヶ月
ダビドルイス 72ヶ月
クリステンセン 45ヶ月
ザッパコスタ 19ヶ月
リュディガー 19ヶ月
エメルソン 14ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「62.1ヶ月」
チェルシーのディフェンスラインを支えるアスピリクエタやダビドルイスが5年以上プレー経験があることが今シーズン36失点に抑えていることに少なからず繋がっていることだろう。
しかし’17-’18シーズンは38失点、優勝した’16-’17シーズンは33失点と過去に比べて失点数は増加傾向にあることを忘れてはならない。
36失点も相当すごいことなのが。
マンチェスターユナイテッド 現在44失点
Battling in the rain at Molineux 🌧️
Ten minutes left of the first half. 1-1. #MUFC #WOLMUN pic.twitter.com/xtdfZPX5dW
— Manchester United (@ManUtd) April 2, 2019
ヤング 188ヶ月
ヴァレンシア 151ヶ月
スモーリング 140ヶ月
フィルジョーンズ 111ヶ月
ショー 76ヶ月
ロホ 55ヶ月
ダルミアン 44ヶ月
バイリー 32ヶ月
リンデロフ 20ヶ月
ダロト 8ヶ月
1人辺りの平均プレー期間「82.5ヶ月」
ユナイテッドのディフェンダーのプレー経験は82.5ヶ月と他と比べて長いようにも見えるが、牽引しているのがファーガソン時代からのロングキャリアであるヤングとヴァレンシアの2人。
怪我などの離脱もあるが、今シーズンの戦力にはなりきれていない。
アーセナルと同様、自リーグで活躍しているディフェンダーを早急に獲得する必要に迫られていることだろう。