今回はブライトンとワトフォードに関して重大なデータが発覚したのでご紹介したいと思う。
両者について語る上でテーマに上げたいのは「決定機」である。前回の記事でも「得点が入らなければ試合には勝利できない」ことを述べたが、そんな得点機会には必ず決定機が存在している。チームはいかに決定機を多く演出し、決めきれるか。そのために、得意とする戦術や相手とのマッチアップを考える。応援しているチームでも毎試合ゲーム展開が異なり、そこにサッカーひいてはスポーツの魅力があるのだと私は確信している。
そんな得点機会をプレミアリーグの各チームはどのように考えているのだろうかとふと思い、プレミアリーグ全チームの決定機数と決定機失敗数を算出した。データは01/08現在においてプレミアリーグ第1節〜第21節終了時点の上記データ総合計を基に分析を行った。
まずはプレミアリーグ全チームの平均値をご覧いただきたい。
各チーム決定機数の平均値は「41.6回」決定機失敗数の平均値は「24.9回」決定機失敗率の平均値は「60.8%」となっている。開幕から21試合が終了しているので、「1試合に約2回のペースで決定機が訪れ、1回以上決定機をモノにできない」というのが平均的な見解である。決定機失敗率も60%を超えている。これは守備陣の強固さを褒めるべきなのか、はたまた攻撃陣の決定力を嘆くべきなのか。いろいろと考えさせられる数字である。チームによって戦術やスカッドも異なるので問題点はチームによって多様化していることには変わりないだろう。
次にプレミアリーグ各チームの決定機について記載する。今回は決定機失敗率の少ない順番にソートしている。まさに「チャンスに強いチームランキング」と言えるだろう。
1位〜7位
1位はなんとブライトン。残りのチームの決定機失敗率が50%を超える中、ブライトンのみ42.86%と高確率でチャンスをモノにできている。特筆すべきは、決定機数が28回であること。これはプレミアリーグ全体で考えると、ワースト4位タイの数値である。ちなみに最も決定機を創出しているチームはマンチェスターシティの70回。ブライトンと2倍以上の差をつけている。
8位〜14位
中位はこちら。チェルシーの決定力の欠乏が如実に表れている。この冬の移籍マーケットでモラタ以上に決定力のあるストライカーの獲得が望ましいとと考えられる。
またボーンマスのパフォーマンスも高水準であることが分かる。連動性のあるチームの第一人者でもあってか、中位以下のチームには確実に勝利し、上位陣にも負けはするが主導権を握らせず悪くない戦いを見せている。決定機数はアーセナルを超えている。順位的には12位と中位争いの真っ只中であることは確かだが、ポテンシャルはアーセナルに匹敵する規模で内容も見ていて楽しい。
15位〜20位
下位はこちら。最も驚いているのが、ワトフォードが決定機失敗率で圧倒的にワースト1位だということ。4回に1回のペースで得点が生まれるというなんとも燃費の悪い結果になっている。ワトフォードも決定機はアーセナルを上回る51回。しかし、決定機失敗数はリーグ最多の39回という非常にもったいない数値である。
ブライトンは降格争いをしているチーム並の決定機数なのに対し、少ないチャンスで勝ち点を掴み取る戦い方。ワトフォードはとにかく多くの決定機を創出して数撃ちゃ当たるを体現している。
【ブライトンの問題点】
やはりパスカルグロスの覚醒は昨シーズンだけだったのか。
ブライトンの決定機の欠乏にはパスカルグロスのコンディションが上がって来ていないことに原因があると私は考える。
パスカルグロスはブライトンのブレインとして昨シーズン大ブレークしたプレーヤーだ。彼の魅力は実は「決定機演出」にある。昨シーズン彼による決定機演出は17回。これはエジルやシャキリよりも多い数値であり、実力はトップ6のMFに匹敵することは証明されている。しかし、今シーズンの決定機演出は未だ3回と鳴りを潜める状態。シーズン半ばでの長期離脱もあってコンディションが整っていないため、チーム全体の攻撃に歯止めがかかっている。何とかマレイの活躍でチームは少ないチャンスで勝利を収めているが、これがいつまで続くのかも分からない。チーム、ファンが彼の覚醒を渇望している。
【ワトフォードの問題点】
Faz o sinal do @10Ronaldinho 🤙🏽 pic.twitter.com/pVpSInSK2E
— Richarlison Andrade (@richarlison97) 2018年6月13日
リシャーリソンの放出を補うためのプランがなかったのが、原因ではないかと私は考える。彼は昨シーズンワトフォードに在籍していたことでチームは2トップでも3トップでも戦えるプランを持っていた。また彼自身のポテンシャルは21歳ながらお手の物で、難しい技術が要される局面でゴールを量産していた。昨シーズンは5ゴール4アシストでチームに大きく貢献していたことは事実である。そんなアクロバティックで献身性の高いFWを手放した責任は大きい。
さてこの両者はこういった現状がある中、後半戦でどういった戦いぶりを披露してくれるのだろうか。大いに注目していきたい。