ジャカルタ・アジア大会で行われたeスポーツ公開競技「ウイニングイレブン」は、日本代表の杉村直紀(SOFIA)選手と相原翼(レバ)選手が、見事に金メダルを獲得した。同大会に採用されたeスポーツ種目では、日本初のメダルとなる。イランとの決勝戦は波乱の展開もあり、まさに激戦に継ぐ激戦。最終スコアは、2対1の逆転劇だった。会場となったジャカルタ市北部のマハカ・スクエアでは、試合後、メダルの授与式が行われた。日本人が出場するeスポーツ競技としては、国際大会の舞台で初めて国歌が斉唱された。
リアルなスポーツ競技と変わらないEスポーツ
ウイニングイレブン日本代表としてプレイした2選手は、日の丸の重みを感じており、杉村(SOFIA)選手は、「会場で開催国のインドネシアコールが起きたり、僕たちの日本コールも聞こえたり、やはり国と国で戦っているんだということを実感しました。プレイヤーとして本当にやり甲斐を感じます」と答え、相原(レバ)選手は、「日本代表決定戦が終わってから3ヶ月の間、ずっと様々なプレッシャーに負けそうになりながらも頑張ってきた」と、リアルなスポーツ競技と何ら変わらない、国の代表としてプレイする充実感と重圧を語った。
eスポーツにおけるサッカー専門メディア「VAMOLA eFootball News」の編集長であり、日本初ウイニングイレブンのプロ選手である「ちゃまくん」は、この快挙をこう語る。
「今まで”ゲーム”というだけで、どこか軽蔑されるようなことも経験してきたが、今日、すべてのゲーマーにとって報われた日になったと思う。SOFIA選手、レバ選手の活躍により、eスポーツとしてウイイレにスポットライトが当たった今、その2人を育んだ”ゲームコミュニティ”にも目を向けてもらいたい」
ゲームコミュニティとは、各ゲームのファンやプレイヤーが、実社会での肩書きに関係なく、ゲーム内での実力や、そのコミュニティへの貢献度で評価されるオンライン及びオフラインでの繋がりを指す。世界各国に各ゲームのコミュニティが存在し、それぞれの同志がゲームを軸に連携している。
また、同氏は
「アジア大会の金メダルというニュースを見て、こんな人達が世の中にはいるんだと感じた人が大勢いたと思う。仮にどこか普通の生き方がしにくくて、周囲からは評価されていない人も、違う場所では輝くこともあるんだと。このニュースをきっかけに、人に対して当たり前のリスペクトを持つ。もっと寛容のある社会になれば、すべての人がもっと生きやすい世の中になる。ゲームをやっていても良いんだと思えるようになる」
と今回の快挙が社会に与える意味の大きさと、ゲームの世間の人々に対するポジティブな期待を語った。
なお、eスポーツは、次回の2022年杭州(中国)アジア大会では正式競技になる方針だ。国際オリンピック委員会(IOC)もeスポーツに注目しており、2024年パリ五輪では実施競技としての採用も検討されている。国内では、来年2019年の茨城国体でeスポーツ大会が開催される。都道府県対抗で実施されるeスポーツ大会としては、全国初の試みとなる。「ウイニングイレブン」も同大会に採用される種目の1つである。