フランス代表初招集!キンペンべって、誰?
エリアキム・マンガラ(バレンシア)の負傷離脱に伴い、追加招集で初のレ・ブルー(フランス代表の愛称)入りを果たしたプレスネル・キンペンベ。21歳で、所属するパリ・サンジェルマン(PSG)での公式戦通算出場数はわずか17。では、何故そんな彼が代表招集されるに至ったのか?その背景と彼自身について探っていきます。
偶然が重なり合って呼ばれる
まず、今回ディディエ・デシャン監督が招集していたCBはロラン・コシエルニー(アーセナル)、ラファエル・ヴァラン(レアル・マドリー)、ジェレミー・マテュー(バルセロナ)、エイメリック・ラポルテ(アスレティック・ビルバオ)の4人でした。しかし、マテューがまさかの代表引退を表明。この”フェイント”には誰もが驚きましたが、デシャン監督はマンガラを追加招集することで対応。しかしそのマンガラも負傷し、代わりにキンペンベを招集したのです。
他の候補としてはロイク・ペラン(サンテティエンヌ)、マプー・ヤンガ=エムビワ(リヨン)が居ます。しかし、デシャン監督は左利きのCBに拘ったようです。実際レフティーのマテューの代わりにレフティーのマンガラ、さらにその代わりにやはりレフティーのキンペンベを招集しているのでそのように見て間違いないでしょう。
では、次にキンペンベ自身の今季成績を見てみましょう。
ビルドアップ貢献度は高い反面肝心の守備は未熟
今シーズンの出場試合数は7。すべてスタメンフル出場で、内訳はリーグ戦6、フランススーパーカップ1です。リーグ戦はチアゴ・シウバが負傷離脱し、マルキーニョスが母国ブラジルでのオリンピックに出場し休養していた開幕1ヶ月に出場機会を得ました。
出場試合戦績は5勝1敗1分。1試合当たりの得点は2.71G/G(Games per Goal:1試合当たりの得点)、失点は0.71G/Gです。チーム全体として見ると得点は2.22G/G、失点は0.55G/G。もちろん対戦相手や出場しているチームメイトに差があるので絶対的データではないですが、キンペンベがチームに入ると攻撃面の向上が見られる反面守備面ではマイナスとなっています。そしてそれは、彼のプレースタイルにあると思われます。
CBにしてはテクニカルだが
キンペンベは一言で言えば「スピードとテクニックを兼ね備えたモダンなCB」です。実際、今季の「ボールを失った回数」は0となっており、パス成功率92%はチーム4位。CB陣ではマルキーニョスを上回りチアゴ・シウバに次ぐ数字です。ビルドアップ時の特徴はショートパス型のチアゴ・シウバ、ややロングパス寄りのマルキーニョスと違い、ドリブルで運んで組み立てる点。スピードに長けているのでスルスルと持ち上がって相手守備を撹乱します。
しかし、このプレースタイルには欠点も存在します。当然の話ですが、持ち上がるということはパスと違って自分の身体ごと持ち上がります。ですのでカウンターを受けた時の守備が脆くなりやすく、実際キンペンベがカウンターを受けた時にDFラインにいなかったり、慌てて戻ったとしても軽く抜かれるシーンが目立つのです。183cm・67kgの軽量級でフィジカルが強くないことを含め、今後の課題となりそうです。
しかし、それでも21歳の若者が4季連続でUEFAチャンピオンズリーグでベスト8に入ったチームで堂々活躍し、欧州で2番目の代表チームに呼ばれたのですから未来は明るいと言えるでしょう。残念ながら今回の代表ウイークでは出番が訪れませんでしたが、この経験をクラブに持ち帰ってどう活かすか。まだプロデビューして2年足らず。同じくフィジカルの強くないマルキーニョスと将来”パリの壁”を築く時、いかにして課題に立ち向かっていくのか注目です。