W杯最終予選の初戦でUAEにまさかの敗戦を喫した日本代表。タイ相手には勝利したものの、キリンカップのブルガリア戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦から3試合連続で複数失点をしてしまいました。中央を崩されての失点が多く、センターバック(以下CB)の人選には今後も意見が飛び交いそうです。このポジションが最も世代交代が遅れていることは明らかであり、今こそ新しい血を入れるべきでは入れるべきでないでしょうか。今回は”CBの世代交代”にフォーカスを当てていきたいと思います。
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センターバックの現状は?
就任以降、吉田麻也選手を核として森重真人選手と槙野智章選手のいずれかをパートナーに指名しているヴァヒド・ハリルホジッチ監督。東アジアカップでも槙野・森重コンビを3試合続けて起用しました。CBについてはある程度固定しながら戦っていますし、連携が最重視されるポジションでそのような考えになるのは至極当然のことです。
ハリルジャパンCB
4年をサイクルとしたCB選考
これまでの日本代表は、”オリンピック”を1つの契機としてCBの入れ替えを行ってきました。過去2回のW杯予選を振り返ってみましょう。
南アフリカW杯予選(2008年)
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2008年の南アフリカW杯予選では4年前の2004年アテネ五輪で守備の要だった田中マルクス闘莉王選手を中心に戦い抜きました。彼とコンビを組んだのはベテランの中澤佑二選手。闘莉王選手は全試合に出場し、唯一中澤選手が欠場した試合でもアテネ五輪世代の阿部勇樹選手が代役を完遂しました。その後代表のCBとして定着する今野泰幸選手は、この当時ボランチでプレーしており、彼もまたアテネ世代の選手です。
ブラジルW杯予選(2012年)
2012年の最終予選で守備のリーダーを務めたのも、その4年前の2008年に北京五輪メンバーだった吉田麻也選手でした。そのコンビは主に今野選手でしたが、第3CBとして2試合に出場した伊野波雅彦選手も北京世代のプレーヤー。このW杯予選も、4年前の五輪世代が中心でした。
過去2大会から見ても分かるように、日本は五輪に出場した選手を次の4年間でうまく代表チームに組み込むことができていたのです。この流れでいえば、今回のロシアW杯予選にロンドン五輪世代を起用していても何らおかしくありません。ところが、現在の吉田、森重、槙野3選手は全員北京世代であり、本大会を迎える頃には全員が30代に突入しています。第4CBとして招集を受けている昌子源選手は代表での経験が浅く、監督の信頼を勝ち得るには至っていません。現在の代表メンバーを見ると、CB以外のポジションには、ロンドン世代が台頭している最中です。酒井宏樹選手、酒井高徳選手、山口蛍選手、宇佐美貴史選手、清武弘嗣選手などがそうであり、選外になったメンバーでも大迫勇也選手や権田修一選手はすでにW杯の経験があります。
OA枠をCBに使った最近2大会
ロンドン世代のCBが台頭してこない理由の1つに、本大会で吉田選手オーバーエイジとして出場させたことは少なからず影響しているでしょう。リオ五輪のOA枠も塩谷司選手で、ここ2大会連続でCBにオーバーエイジを適用していることになります。つまりCB自体が”人材不足”になりつつあるポジションだ、という見方もできるはず。ロンドン以降の世代がスタメンに食い込めていないのは、決して槙野選手や森重選手が絶対的だからという理由ではないように思えます。
そんな中、先日ロシアW杯アジア最終予選の予備登録メンバー89名が発表されました。この枠の中に入ったロンドン世代は丸山祐市選手、大武峻選手、昌子選手の3人でした。この内2選手(大武、昌子)は92年生まれで、ロンドンの中心世代より遅く生まれています。直近のリオ五輪のメンバーから岩波拓也選手と植田直通選手を選出していることも考えれば、監督は次世代のCBとして彼ら=”リオ世代以降”を考えているのでしょう。
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このように、”空白の世代”ができてしまうのは、連続的なサッカー界の成長にとってはあまり好ましくありません。本来ならば、現在スペインでプレーする鈴木大輔選手を推したいところですが、彼が予備登録からも外れているのは意外でした。実績のある現在の選手でW杯予選を戦い、次回から植田選手や岩波選手を使っていくのが既定路線でしょうか。皆さんは今の日本代表CB陣をどう思いますか。