サッカーボールの生産地、パキスタンのシアールコートは進化し続ける!
皆様、世界最大といわれるサッカーボールの生産地をご存知でしょうか。欧州、中国、アメリカと考える人もいると思われますが、意外にもパキスタンのシアールコートが世界一です。世界最大のサッカーボール生産地に迫ります。
シアールコートとは
シアールコートはパキスタンの北東部に位置する100万人規模の街であり、パキスタンでも指折りの産業都市です。この街はサッカーボール以外に、医療器具、楽器、革細工、繊維などの生産が盛んであり、多くの職人が活躍していることでも有名です。印パ戦争の影響もあって争いの絶えない地域でしたが、現在の情勢は安定しています。
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サッカーボールの種類
シアールコートの職人芸を紹介する前に、サッカーボールの種類について説明します。サッカーボールの製造工程は大きく分けて、ミシン縫い、手縫い、溶接の3種類があります。
ミシン縫いは練習用ボールに多く、3種類の中で一番安価です。その代わり、他より強度と品質が下がり、プロの試合で使われる認定球から除外されています。
手縫いは最もポピュラーな工程であり、品質共に強度もプロで使用される規格対象となっています。ちなみに、シアールコートでは手縫いサッカーボールの生産が一番多いです。
溶接は一番新しい技術であり、強度と品質は最高峰。熱で接合することで、ボールパネルに隙間が生じないため、水の浸入を防ぐことができます。そうすることで、ボールの劣化を防ぐことができます。さらに、縫い目がないことで「イレギュラーなバウンド」が発生しにくいという特徴も備えています。2014ブラジルW杯公式球である「ブラズーカ」も同工程で製造されています。
by Pakistan Muslim league (N) USA Official Website
世界屈指の手縫い技術!その職人芸とは
シアールコートが世界一の生産地といわれる所以は、技術力の高さにあります。近年は安価でサッカーボールを製造する中国もシェアを拡大しつつありますが、クオリティではシアールコートに劣ります。
シアールコートの手縫い技術は素晴らしく、量産されたサッカーボール一つ一つの品質が均等に近いのです。中国の場合は職人よって、一つ一つ品質がまばらであることがあります。しかし、シアールコートのサッカーボール職人は、一人一人の技術力が高く、品質が安定しているのです。彼らが手縫いしたボールは劣化しにくく、信頼性が高いといわれています。
正確な手縫い技術。正に職人芸by Linkedln
最新技術にも対応!シアールコートの進化は止まらない
近年、大きな国際大会で採用されるボールは手縫いではなく、溶接仕様のボールが採用されています。手縫いにアドバンテージを持っていたシアールコートにとって、死活問題となる事態が発生しました。
しかし、この問題は杞憂でした。シアールコートの職人達は溶接技術に対応したのです!パネルをドライヤーを用いて、正確無比に接合していく技術の高さに、世界中のスポーツメーカー達は驚きました。
ドライヤーで寸分狂いなく溶接している様子by The National
さらに最新技術を導入して、ミシン縫い、手縫い、溶接などの様々な工程に対応できるようになりました。世界中の需要に合わせて、高品質なサッカーボールを量産に成功しています。
by The National
私たちがよく目にするサッカーボールは、遠い異国の職人技が詰め込まれています。今もシアールコートでは、スター選手達が蹴るボールを精魂込めて作られ続けています。