現役日本代表と元代表選手ばかりのチームにあって、代表未経験ながら輝きを放つ浦和レッズ・関根貴大選手
関根貴大選手(以降、関根選手と記載)。浦和レッズのMFで背番号24。各世代別日本代表に選出され続けていますが、A代表の経験はまだありませんから、全国的な知名度はまだ高い選手とは言えないでしょう。
浦和レッズサポーターの皆さんはよくご存じだと思いますが、彼がボールを持つと、埼玉スタジアム2002の歓声が一段と高まるのです。それは何故か?果敢なアタッカーだからです!
現役代表選手や元代表選手が豊富な浦和レッズのトップチームの中でも、最もドリブル突破力がある若いアタッカーです。
弱冠21歳ですから、代表デビューの前途は明るい筈ですが、試練が予想されるW杯アジア最終予選の佳境の前に、レッズの新たな至宝と言える関根選手をA代表に送り出す気持ちで御紹介致します。
by abc.netA代表経験者ばかりの中にいる若干21歳
先ず、今シーズン開幕戦の浦和レッズのスタメンを復習しましょう。
GK西川周作選手、CB遠藤航選手、右SB森脇良太選手、左SB槙野智章選手、ボランチ阿部勇樹選手、ボランチ青木拓矢選手、右ウイング駒井善成選手、左ウイング宇賀神友弥選手、シャドー柏木陽介選手、シャドー興梠慎三選手、ワントップ・ラファエル・シルバ選手という布陣でした。
ここでスタメンの選手をつぶさに見て欲しいのですが、(現役を含む)日本代表経験者が8人もいるのです。ラファエル・シルバ選手はブラジル国籍ですから除外して、駒井選手、宇賀神選手以外の8人は日本代表経験選手です。これがタレント集団と言われる浦和レッズのトップチームの豪華ラインナップです。
関根選手はスタメンではなかったものの、後半16分に青木選手に変わって投入されました。又第2節のセレッソ大阪戦、第3節のヴァンフォーレ甲府戦ではスタメンで出場しています。
これだけ日本代表と元日本代表選手が集結する浦和レッズで、若干21歳の関根選手がスタメンで殆どのゲームに出場しているのですから、未だに関根選手を御存じ無い方でも、関根選手のポテンシャルをある程度想像して頂けるのではないでしょうか。
並大抵の実力では、代表経験者揃いのJ1クラブで、出場することはできません。
by twipple
浦和レッズでも数少ない生え抜き選手
Jリーグ各クラブには、中学生から参加ができる下部組織があります。浦和レッズにも、ジュニアユース、ユースという下部組織があります。関根選手は中学生の時に浦和レッズのジュニアユースに入団した生え抜き選手です。
前項でご紹介した今シーズンのスタメンの中で、浦和レッズジュニアユースからの生え抜き選手は実は一人もいません。例外は宇賀神選手です。
関根選手と同様に宇賀神選手も浦和レッズジュニアユース出身ですが、ユースからトップチームに昇格する事ができずに、一端流通経済大学に進学して浦和レッズを離れ、大卒時点で新入団選手として浦和レッズに戻って来たという経歴を持っています。
ですから宇賀神選手は生え抜きとも言えるし、厳密に言うと生え抜きとは言えないという微妙な経歴の持ち主です。
関連記事:浦和レッズを支える生え抜き選手!宇賀神友弥選手の経歴まとめ
現在の浦和レッズのトップチームでジュニアユースからの純粋な生え抜き選手は、関根選手と矢島慎也選手(ファジアーノ岡山へのレンタルから今シーズン復帰)の二人だけです。
浦和レッズの歴史の中で、ジュニアユースから純粋にトップチームに昇格して大成功した選手の筆頭格は、現在ブンデスリーガのヘルタ・ベルリンで活躍している日本代表の原口元気選手です。
打倒原口 by関根、矢島 pic.twitter.com/PRww1DG2dB
— 矢島慎也 (@yanshi2139) 2014年6月2日
浦和レッズの至宝の背番号を引き継ぐ
現在ヘルタベルリンに所属してスタメンで活躍している原口選手は関根選手より4歳年上の25歳。浦和レッズジュニアユース時代から将来を嘱望されていました。
高校生の時に2種登録選手としてトップチームに召集され、日本人としてクラブ史上最年少でプロ契約するなど、順調に成長して現在に至っています。
関連記事:ハリルジャパンの救世主になれるか!浦和レッズ出身ヘルタ・ベルリンの原口元気選手
その原口選手がヘルタベルリンに移籍する前年までつけていた背番号が、現在関根選手がつけている背番号24でした。関根選手の背番号は、自らの経歴と同じくトップチームに昇格した先輩の背番号を引き継いでいるのです。
ヘルタベルリン移籍後、プレイスタイルに変化が見られますが、原口選手はドリブルで突破する力を持つ数少ない日本人選手の一人です。関根選手も原口選手に負けず劣らず、高いドリブル突破能力があります。
原口選手の背番号を引き継いだ理由には、同じ経歴を持つ事と共に、ドリブル突破力が高いという共通性も含まれている気がします。実は、関根選手はジュニアユース時代から原口選手は憧れの存在でした。ですから、原口選手移籍後に空番になっていた背番号24を、関根選手自らクラブに志願してつけさせて貰ったというのが真実だそうです。
浦和レッズの至宝と呼ばれた原口選手の背番号を引き継ぐ関根選手は、第二の浦和レッズの至宝と言える選手です。
元気くんとご飯にいってきました!
いろんな話ができてほんと刺激になりました。
ありがとうございます!
浦和の新旧24番で1枚! pic.twitter.com/b3HBEjuu3b— 関根 貴大 (@sktk10) 2015年7月2日
A代表に選出されるだけのポテンシャル
関根選手は右のウイングが定位置ですが、場合によっては左のウイングに回る事もあります。浦和レッズの左のウイングは、ほぼ生え抜き選手の宇賀神選手が定位置ですが、宇賀神選手が出場できない場合は、関根選手が左ウイングに回り、駒井選手が右ウイングに起用される事があります。
実は駒井選手も超人的にドリブル突破力がある選手なので、関根選手と駒井選手が両ウイングで出場する際は、相手DFは非常に守り辛い結果に陥ります。ミハエル・ペトロビッチ監督は、ウイングが持ち味に見える駒井選手の適正ポジションはボランチであるという新説を最近述べられていますので、今シーズンはボランチ駒井選手、右ウイング関根選手、左ウイング宇賀神選手という逆三角形のポジションに三人のドリブラーが布陣するフォーメーションを見る事ができるかもしれません。相手守備陣には大きな脅威になる事でしょう。
この三人の特徴は、ドリブル突破力が高い事と、A代表経験が無いという事です。前述の通り、代表経験者揃いの浦和レッズの中で、最もドリブル突破能力の高い三人が共にA代表経験が無いというのは非常に奇異な印象を与えます。
ここ数年、A代表はMFに逸材が集中しています。その上、海外組と言われる様に、ヨーロッパリーグのクラブ在籍者が優先的に選出されている事がその最大の要因です。
前述の原口選手も、浦和レッズではジュニアユース時代から至宝と呼ばれていた選手ですが、A代表に定着したのはヘルタ・ベルリンに移籍してからのことです。
確かにヨーロッパリーグのピッチで、世界各国の強豪選手に揉まれる事で成長するのは確かだと思いますが、昨今の代表監督は余りにもJリーグの選手の力量を過小評価しているのではないかと筆者は思います。
関根選手は各年代別の日本代表には選出されて来ましたが、リオデジャネイロ・オリンピックへの出場も叶いませんでした。これすらも筆者は適当では無かったと思っています。ロンドンオリンピックに出場できなかった原口選手と、この点でも共通性があるのは不思議です。
現在のJリーグでは、横浜Fマリノスの斎藤学選手のドリブル突破力と切れ味が際立っていますから、斎藤選手が代表に選出され、原口選手が選出されると、やはり関根選手の代表選出機会は難しいのが現状だと思います。
しかし、次のW杯に向けては、関根選手は確実に重要なピースの一つであると筆者は信じています。ですから、今シーズンの関根選手の活躍が、チームにとってもご本人にとっても決定的に求められています。
※明治安田生命J1リーグ第3節で浦和レッズは、4-1でヴァンフォーレ甲府を下した。
関根貴大は3アシストで勝利に貢献した。
サッカーファンの中でも、まだまだ関根WHO?と思われていらっしゃる皆さんが多い事と思いますが、この記事を読まれて少しは関根選手のプレイを観てみたいと思って頂けたでしょうか?
どんな相手であってもサイドから果敢にドリブルを仕掛けてゴールを目指している関根選手は、埼玉スタジアム2002の日常風景です。どうぞ今シーズンの関根選手に注目してみて下さい。