女子欧州最高峰のUWCLで躍動する熊谷紗希に注目


Les Lyonnaises montrent la voie au football féminin français
by lemonde.fr

先日欧州最強クラブを決定するUEFA CHAPIONS LEAGUEのラウンド16 1STLegが行われました。
残念ながら岡崎慎司と清武弘嗣の日本人対決は実現しませんでしたが、ハイレベルの試合が繰り広げられました。

そんな世界最高峰の舞台は男子だけではなく、女子サッカーの世界にも用意されています。
UEFA WOMEN’S CHAPIONS LEAGUE(以下UWCL)は2001年から開催されている、比較的新しい大会です。
現在ベスト8が出揃い、3月22・23日に準々決勝1STLegが行われます。
対戦カードは以下の通り。
・FCローゼンガルド(スウェーデン)vs FCバルセロナ
・バイエルン・ミュンヘンvs パリ・サンジェルマン
・フォルトゥナ・ヨーリン(デンマーク)vs マンチェスター・シティ
・ヴォルフスブルグvs リヨン

なでしこJAPANからは、リヨン所属の熊谷紗希選手とバイエルン・ミュンヘン所属の岩淵真奈選手が参戦しています。今回は連覇を狙うリヨンに所属する熊谷紗希選手にスポットを当てていきたいと思います。(岩渕選手の記事はこちら

熊谷紗希のこれまでの軌跡。


Saki Kumagai, la défenseur japonaise de l’OL. (A. Martin-L’Equipe)by lequipe.fr

なでしこJAPANの守備の要であり、必要不可欠な存在となっている熊谷選手。
2011年に行われたワールドカップでは、PK戦までもつれ込んだ熱戦で最後のキッカーを務め、見事優勝を成し遂げた瞬間の映像は皆さんの記憶に鮮明に刻み込まれているかと思います。

簡単にプロフィールを紹介していきます。

熊谷選手は1990年10月17日生まれの26歳。北海道札幌市出身。ポジションはボランチまたはセンターバックを務めます。
171cmの長身を生かしたフィジカルの強さに加え、足元の技術も高いことが特徴です。所属のリヨンでは主にボランチとして活躍しています。

【所属チーム】
常盤木学園高校→浦和レッズレディース→1.FFCフランクフルト(ドイツ)→リヨン(フランス)

常盤木学園高校時代は1年生からレギュラーとして活躍し全日本女子ユースサッカー選手権大会3連覇や3年時はキャプテンとして、全日本高校女子サッカー選手権制覇に導きました。
在学中の2008年3月に日本代表に初召集。

卒業後は2009年に浦和レッズレディースに入団。加入初年度からボランチとして全試合出場し、リーグ制覇に貢献しました。

2011年のドイツワールドカップでは、センターバックとして全試合フル出場し初優勝を成し遂げます。
ワールドカップ後に、更なるレベルアップのためにドイツの1.FFCフランクフルトに移籍。
満を持して臨んだ2012年ロンドンオリンピックで惜しくもは銀メダルとなりますが、なでしこJAPANの歴史を塗り替えました。
その後活躍の場をドイツからフランスの名門リヨンへと移します。リヨンは国内リーグ優勝14度、国内カップ戦を8度制覇、UWCLを3度制しています。

昨シーズンのUWCLを制覇したリヨン。120分を戦い1−1で終え、迎えたPK戦。
「持っている」のか、それとも運命なのか、優勝を決めた最後のキッカーを務めたのが熊谷選手でした。冷静に相手GKの逆を突いて思い切り蹴り込んだシーンはワールドカップを思い出させるものでした。
同大会でのMVPに輝きます。

昨シーズンのFINALハイライト動画

2016年7月18日には、2015−16シーズンのUEFA女子欧州最優秀選手にノミネートされました。惜しくも2次選考で4位となり、最終選考に進むことはできませんでしたが、世界のトッププレイヤーの中の1人となりました。
ちなみに、ノミネートされた10人中9人は同じリヨンに所属している、またはしていた選手であり、熊谷選手がいかに高いレベルでプレーしているかが解ります。

今年もリヨンで中心選手として活躍している熊谷選手。連覇を目指す彼女のここまでのUWCLでの戦いぶりを振り返っていきましょう。

決勝ラウンドから登場のリヨン。圧倒的な強さを見せつける。


by olfeminines

リヨンは決勝ラウンドからの登場でした。

ラウンド32ではノルウェーのAvaldnes ILと対戦し1stLegをアウェイで5−2、2ndLegはホームで5−0と2戦合計10−2でラウンド16に進出を果たします。熊谷選手は1戦目に出場し、7分に先制点となるPKを決めました。PKキッカーを任せられるということは、チーム内での信頼感も絶大なものであると言っても良いでしょう。
第2戦は後半からの出場で無失点勝利に貢献しています。

ラウンド16ではスイスのチューリヒと対戦。1stLegはホームで8−0、2ndLegはアウェイで9−0と圧倒的な攻撃力と安定した守備で2戦合計17−0とディフェンディングチャンピオンとしての貫録を見せつけました。
熊谷選手は1戦目に後半からの出場、2戦目はスタメン出場を果たし、42分に左サイドからのクロスのこぼれ球に反応し、ゴール前に走り込み、キーパーの股を抜くシュートでチーム4点目のゴールを決めました。

ラウンド16 2nd Leg ハイライト動画

なでしこJAPANではあまり見ることがなかった積極的な攻撃参加やミドルシュートを随所に見せている熊谷選手。
準々決勝では昨シーズン決勝で対戦したヴォルフスブルグとの対戦となります。厳しい戦いになることは間違いないでしょう。
欧州へ戦いの舞台を移し、心身共に成長したことはもちろん、プレースタイルの幅も広がっている熊谷選手。
是非、優勝を成し遂げてもらい、2大会連続のMVP獲得を期待したいと思います。

モバイルバージョンを終了