現役代表、未来のなでしこ、テベスの親友まで?今季のなでしこリーグは2部が熱い!


2部のASハリマ所属ながら、新生なでしこの主力になりつつあるFW千葉園子。
h-albion.jp

 2月3日に今季の日程が発表されたプレナスなでしこリーグ2017。日本国内の女子サッカーのトップリーグである1部に注目が集まるのは当然ですが、今季に限っては2部リーグにも注目が集まります。

 特に昨季1部に昇格したばかりだったAS長野パルセイロ・レディースが1部の舞台でいきなり2位に入った女子サッカー界のタレント軍団=INAC神戸レオネッサと同勝点の3位へと大躍進。それもエースの日本代表FW横山久美選手を軸とした超攻撃的なサッカーで38得点(リーグ3位)34失点(ワースト3位)という撃ち合いを演じ続けた末の結果であったため、大きなインパクトをもたらしました。

 長野はその娯楽性にも満ちた攻撃的なサッカーと、男子のトップチームのJリーグ参入によりサッカー専用スタジアムでホーム試合を行えるようになった事も相まって、観客動員を大きく伸ばす事に成功。ホームの平均観客動員が約3647人であるのに対して、アウェイでは同1171人に止まっているのを見ても、その地域密着度が窺えます。

 また、昨年4月に就任した高倉麻子女子日本代表監督が2部所属の選手も招集の対象としており、実際に無名だった2部の選手も複数名なでしこジャパンに招集され、代表デビューも果たしました。

 それらは2部のサッカーは1部でも通用し、選手個人も代表入りが可能なレベルにある事を証明し、女子サッカーの底上げを感じさせる要素となっています。

【関連記事】『新生なでしこジャパンFW横山久美~11戦13得点で得点ランク独走の22歳新鋭FWの成長を促す「自由」と「責任」』 

今季のなでしこリーグ2部は一極集中

 そんな今季のなでしこリーグ2部に参戦するのは下記の10チーム。

<プレナスなでしこリーグ2部参加10チーム>
・オルカ鴨川FC ※昇格
・スフィーダ世田谷FC
・日体大 FIELDS 横浜
・ニッパツ横浜FCシーガルズ
・コノミヤスペランツァ大阪高槻 ※降格
・セレッソ大阪堺レディース
・ASハリマアルビオン
・岡山湯郷Belle ※降格
・FC吉備国際大学Charme
・愛媛FCレディース

【1部昇格条件】優勝・・・自動昇格、2位・・・1部9位とホーム&アウェイの入替戦での勝利
【チャレンジリーグとの入替】10位・・・自動降格 9位・・・CL2位とホーム&アウェイの入替戦

 昨季1部9位となり、2部2位のちふれASエルフェン埼玉との入替戦に敗れて2部降格となったコノミヤ・スペランツァ大阪高槻、1部最下位となって自動降格となった岡山湯郷Belleが参戦するため、今季のなでしこ2部はチームの本拠地となる地域が一極集中しています。

 日本列島の最北端となるチームがチャレンジリーグ(実質3部)から昇格してきたオルカ鴨川FCで、その所在地は千葉県。しかも、千葉県から神奈川県横浜市までの首都圏で4チームが密集。さらに、その他の6チームは大阪府に2チーム、兵庫県に1チーム、岡山県に2チーム、愛媛県に1チーム。男子サッカーも含めて首都圏のチームが多くなる事は多々ありますが、近畿・中国・四国圏内に過半数越えの6チームが一極集中するのは稀な事です。

 各チームの遠征費がかなり抑えられるのは好都合で、サポーターの皆様もアウェイ遠征が近場になってホーム試合が1.5倍になるような感覚ですから、『お得感』を味うのかもしれません。

現役なでしこジャパン=ハリマFW千葉園子


今季のなでしこリーグの顔となりそうな千葉(右)。(写真はなでしこジャパン初選出された昨年5月、地元・姫路市庁舎を表敬訪問して)
h-albion.jp

 そんな今季のなでしこリーグ2部で大きな注目を浴びる選手がいます。高倉監督就任以降のなでしこジャパンに定着し、そればかりか主力になりつつあるFW千葉園子選手。

 兵庫県姫路市を本拠地に置く、ASハリマ・アルビオンに所属する彼女は現在23歳。ユース年代の代表にも呼ばれる事がなかった無名の選手でしたが、2012年に創設されたASハリマに翌年加入し、2015年には2部で27試合13得点を挙げるなど、2部で着実に結果を残して来ました。その結果、昨年3月のラ・マンガ国際大会に参加したU23日本代表に選出。当時のU23チームを率いていた高倉監督に見出された選手です。

 大きなお団子頭が印象的な彼女は体幹や身体能力が高く、代表デビュー戦から外国人選手相手にも全く当たり負けせず。トップ下の位置でボールを収めて攻撃の起点になり続け、高倉監督の大抜擢に応えました。

 2部でやってきたからか?運動量も多く、競り合いやヘディングも強い。これまでのなでしこジャパンは紆余曲折ありながらも最終的には<4-4-2>のシステムで固まって来ましたが、彼女のようなハードワークできる泥臭いアタッカーの存在が、システムや戦略を練る上での柔軟性ももたらしています。

 そんな千葉選手は今季も2部でプレーしています。その『ポストプレーヤー』兼『点取り屋』兼『攻守のスイッチ役』となる彼女を間近で観れるチャンスです。近畿・関西圏のサッカーファンの皆様には1度は現地で観てもらたい選手です。いかにも大阪出身のノリの彼女ですが、実は緊張しいなので、試合前は絡まないで試合後に話かけてあげて下さい。

次ページ:『育成のセレッソ』が女子でも健在&U20W杯得点女王の愛媛FW上野真美に注目!

≪注目の若手≫『育成のセレッソ』が女子でも健在&U20W杯得点女王の愛媛FW上野真美に注目!


昨年のU20女子W杯で得点女王に輝いたFW上野(真ん中)は愛媛でプレー。セレッソ勢を筆頭に将来有望な若手が多いのも2部の特徴。
jfa.jp
 千葉選手のようなユース年代では無名だった選手の発掘もあるリーグではもちろん、若手選手の台頭にも注目。

 特に育成と言えば、セレッソ大阪堺レディース。本格的に女子サッカーリーグに参入したのは2012年で、昨季は2部初昇格ながら3位へと大躍進。昨年11月から12月にかけてパプア・ニューギニアで開催されたFIFA U-20W杯には、FW西田明華選手、MF林穂之香選手、MF松原志歩選手と3人のアタッカーを送り込むなど、 成績以上に男子と同じく『育成のセレッソ』が形になって来ています。

 また、そのU20W杯では5ゴールを挙げて大会得点女王も獲得したのが、愛媛FCレディースのFW上野真美選手。同大会では初戦からハットトリックを記録し、3位決定戦では意表をついた左足の巧みなループシュートで値千金の決勝点を挙げるなど、ゴールパターンの豊富な新世代の点取り屋です。

2部降格の岡山湯郷はテベスの親友に命運を託す!


idream-jp
 そして、昨年は日本代表の主将MF宮間あや選手らの退団騒動から始まり、13連敗を喫して2部降格となった岡山湯郷Belleは、育成組織から整備してクラブ全体を建て直すべく、中国のチームでも指揮を執った亘崇詞氏を新監督兼任ゼネラルマネージャーに招聘。

 詳細は以前に執筆した下記掲載の記事に委ねますが、亘氏はアルゼンチンの強豪ボカ・ジュニアーズで選手としてもスタッフとしての経験も持ち合わせ、日本でも男子の育成年代や女子の指導歴も豊富という類まれな経歴の持ち主です。

 また、ボカ時代の付き合いから、先頃中国の上海申花に加入して約46億円の世界最高年棒となった元アルゼンチン代表FWカルロス・テベス選手や、元同代表の司令塔であったMFファン・ロマン・リケルメ氏ら、世界のスーパースター選手の親友です。

 彼等のオフシーズンに亘氏が湯郷温泉を用意していると、試合会場ではそんなスター選手とバッタリ・・・なんてこともあるかもしれません。

 そんな冗談はさておき、世界的スター選手ともコネクションを持てるコミュニケーション能力の高さを発揮した亘氏は、このオフシーズンに1度は所属選手が7人になる事態もありながら、元日本代表FW木龍七瀬選手や、2012年のU20W杯で主将を務めて3位入賞に大きく貢献したMF藤田のぞみ選手ら実力派選手を集め、新たなチームとして再出発を果たします。

【関連記事】『宮間退団、2部降格の岡山湯郷Belleに亘新監督兼GM就任~テベスやリケルメの親友が底なしの明るさで名門再建に挑む!』 

 そんな多岐に渡る注目ポイントが多い今季のなでしこリーグ2部。近畿・関西圏のサッカーファンの皆様は特に今季が女子サッカーを楽しむ1年となる機会です!

 そこには男子サッカーとは違った競技に見える部分もありますが、狭いエリアでのパスワークやテクニック、細かい動きで相手の逆を取る駆け引きなどは見応え十分。局面によっては「男子より上手いんじゃない?」と思うプレーもあります。そして、何よりも選手との距離が近い!

 是非とも現地でそんな彼女たちのサッカーを観戦してみて下さい!

モバイルバージョンを終了