新生なでしこジャパンFW横山久美~11戦13得点で得点ランク独走の22歳新鋭FWの成長を促す「自由」と「責任」
世界女王相手に数的不利から起死回生の同点弾
3月のリオディジャネイロ五輪アジア最終予選から約3カ月。日本の女子サッカー代表=なでしこジャパンが再始動しました。
6月2日と5日にアメリカと敵地で強化試合をこなし、初陣を迎えた高倉麻子新監督率いる新生なでしこジャパンは第1戦を3-3の引き分け、第2戦は2-0とリードを許した75分頃に中止となって、この米国遠征を終えました。
特に第1戦は後半に入って10分程で主将のFW大儀見(永里)優季選手が退場処分となって以降、数的不利のまま1本もシュートが撃てない苦しい中、追加タイムとなる93分に途中出場の22歳のFW横山久美選手が値千金の同点弾を決めて3-3とするなど、結果以上に収穫が多かった遠征となりました。
攻撃サッカーで人気を博す長野パルセイロ、今季11試合13得点の横山
by はるかぜ治療院
その横山選手が所属する長野パルセイロ・レディースは2部から昇格1年目のチームながら、ここまでのプレナスなでしこリーグ1部で2位と大健闘を見せています。
それも第11節を終了現在でチームがリーグ2位の24得点を記録する中、横山選手は1人で13ゴールを挙げています。昨季の得点女王となった、日本代表FW菅澤優衣香選手(ジェフ千葉レディース)が昨季のレギュラーシーズン全体で記録した13得点にすでに並ぶ独走状態です。横山選手個人としては、昨季までは2部とはいえ、2年間で46試合出場で65ゴールとトンデモな記録を挙げてもいました。
今季の長野パルセイロ・レディースはチーム総得点の24と引き換えに、ワースト3位の20失点を喫していますが、その失点を省みない超攻撃型のサッカーで人気を博しています。
新旧なでしこジャパンの選手が多く在籍する強豪・INAC神戸を相手にした第8節では、何と6733人もの観客を集め、3-2と打ち合いを制しました。下記の表通り、ホームとアウェイで平均観客動員に大きな差があるのですが、それだけ地域に根ざしている証拠です。。
横山選手の積極果敢なドリブル突破を始めとして、「前へ、前へ」向かう痛快な攻撃サッカーが今、日本の女子サッカー界に一石を投じようとしています。
長野パルセイロ・レディース観客動員と成績
「自由」と「責任」が共存する高倉ジャパンで真価発揮を!
佐々木則夫前監督時代にも代表には招集されていた横山選手。代表で任されるポジションは<4-2-3-1>の左サイドMFや2トップの1角がメインでしたが、高倉新監督は横山選手や岩渕真奈選手のような個人で局面を打開していくようなFWの選手を1トップで起用しています。
これまでの1トップには大儀見選手や菅澤選手のようなポストプレーの出来る大型選手が起用され、横山選手や岩渕選手はサイドで守備面の約束事を果たす事も評価対象として強いられ、自身の持ち味を出し切れませんでした。
横山選手も岩渕選手も米国との第1戦で共に得点を挙げ、この高倉監督からの1トップでの起用に結果で応えたのです。
とはいえ、高倉監督はそうした「自由」を与えつつ、「責任」も課す指揮官です。
サッカーだけでなく仕事やプライベートでも、自由は責任を伴います。約束事や戦術の責任は個人ではなく、チームに課されるものでしょうが、彼女たちにはそれとは別に自由を与えながらも、責任も求められます。
これまでは個人能力の高さを示しながら、なかなか主力に定着できずに伸び悩んだ彼女たち。自覚を促す高倉監督のマネジメントは確実に横山選手をさらなる成長に導くでしょう。
by INSIDE WEB
サッカーファンの皆さんも魅了されるであろう、長野パルセイロ・レディースの超攻撃的なサッカーと横山選手を現地で観戦・応援しましょう!