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トランジションの定義を考察する

ぱこぱこ・へめす

2018/01/31 17:40

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現代ではサッカーは4つの局面から構成されると認識されている。両チームのポゼッションの局面に加えて、移行期であるトランジションがある。Attacking/Defensive Transitionなどと書かれることが多いが、日本ではポジティブとネガティブで表現され、ポジトラ、ネガトラと省略されることもある。もちろんこれはオープンプレーでの分類であり、試合の全てを表現するにはセットプレーでの局面を加える必要がある。

最初に強調しておきたいのは、トランジション局面はもはや、攻守の切り替えなどという表現では不十分であると筆者は認識している。攻守の切り替えと表現した場合、攻撃と守備の2つの局面があり、それらを繋ぐ過渡的なものでしかないというニュアンスを感じる。しかし、トランジションとして攻守と同格の局面として認識されることで、その重要性は高まっている。

もちろん昔から、カウンターアタックの効果が絶大であることは知られていた。簡単に言えば相手のバランスが崩れている隙を狙った攻撃である。詳しい統計は大会によって異なるが、半分以上の得点はボール奪取以後10秒以内に決まることは知られている。しかしそれは中盤の選手のラストパスの精度やサイドからのセンタリング、FWの選手の裏へ抜け出す速さや高さなど、個人技に大きく依存していた。それに対して現在では、カウンタープレッシング(ゲーゲンプレッシング)やコレクティブカウンターアタックなど、チームとしてトランジションを活かす仕組みが発展し、局面としての分析が必要になった。

トランジションの重要性が増す一方で、その定義は曖昧であると感じている。別にボール奪取後何秒までがトランジションとは決まっていない。トランジションからポゼッション局面に移るのがどのタイミングなのかを考えるために、そもそもトランジションとは何なのかを少し考えていきたい。

フットサルの局面に関する解釈

サッカーのトランジションを考える上で、フットサルがどのように局面を理解しているのかを知るのは興味深い。フットサルではピッチが小さく(縦40m、横20m)、どこからでもシュートを放つことができる。また選手交代は無制限であり、ボール奪取/喪失後のプレーがより得失点に直結する。

上のリンクは、UEFAフットサルコーチングマニュアルである。フットサルの指導に関して英語で詳細にわたって記述されており、サッカーにも十分適応できるので指導者の方々には是非読んで頂きたい。


by uefa.com

その中でも今回の本題であるトランジションに関してどのように記述されているのか見ていこう。

守備の局面
1. バランスを取りプレーを遅らせる、時間を稼ぐ
2. 撤退
※ここまでがトランジション
3. 守備の組織化
4. 定位置守備

攻撃の局面
1. 展開する
2. カウンターアタック
3. 速攻
※ここまでがトランジション
4. 定位置攻撃


by @ARI19811212

ここでカウンターアタックと速攻が区別されているが、前者はDFラインが整う前の攻撃であり、前線の1、2枚で素早く攻撃する直接的なものと2列目の選手も絡むコレクティブなものをさらに区別することもできる。一方後者は、DFラインは組織化できたものの中盤の組織化が整っておらず攻撃に晒されている状態である。

組織化と混沌度

以上のフットサルのマニュアルにおいて、組織化の度合いからカウンターアタックと速攻を区別するという発想は、トランジションの考察に大きな影響を与えた。ボール保持チームの入れ替わりが起きた時に、どの程度組織化されているのか、逆にどの程度混沌としているのかは攻守両面のプレー判断を促す材料となっている。

さらに混沌度に対するチームの解釈が、そのチームを特徴づけるファクターとなる。例えばネガティブトランジション時に素早く撤退するチームは、混沌度の高さによるリスクを嫌っており、守備ブロックを形成してライン間を突破されないようにしている。一方、カウンタープレッシングを行うチームは、ボールを自陣から遠い位置に押し留め、ボールを奪い返した時の混沌度の高さを利用する。

育成年代にトランジションを

トランジションでは味方や相手の位置を認知し混沌度を把握することで次のプレーを判断・実行することになる。従って定位置局面でのボールスキルの向上につれて、トランジション局面を増やしより限られた時間とスペースの中で技術を発揮するトレーニングが好ましい。

また、カウンタープレッシングを指向することで、身体的な負荷も高まる。ボールを使わないタダ走りでは持続系のコーディネーションを鍛えることはできる。しかしトランジションを強化すればボールスキルや瞬発系の体力も同時にトレーニングできる。未だに長時間練習を強いる指導者が多いようだが、トランジションのトレーニングは短時間でも効果的であるはずだ。

育成年代からカウンタープレッシングを指向したトランジションのトレーニングを行えば、瞬発系の身体能力が高まり、さらに球際のプレーが増えるのでいわゆる“デュエル”の向上にも繋がるだろう。ボールスキルが身に付いてきて身体的成長もする中高生年代あたりから、トランジションが強化されることを期待している。

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