Jリーグの「観客」が少ない要因とは?「大型放映権契約」でJリーグは変わるのか?

1993年のJリーグが開幕当初は、注目度も高く、チケットもプラチナ化していました。
しかし、近年のJリーグの1試合あたりの平均観客動員数は1万7000人前後が現状です。
世界のサッカーリーグの観客動員数ランキングでは、Jリーグはトップ10にランクインしていません。

そこで、Jリーグの「観客」はなぜ少ないのか?その要因を事例やデータを基に考察していき、イギリスの動画配信会社と結んだ「大型放映権契約」でJリーグはどう変わるか?についても考察していきます。


jleague.jp

日本にはサッカー専用スタジアムが少ない?

Jリーグのホームスタジアムとなっている、サッカー専用スタジアムは埼玉スタジアムや鹿島スタジアムをはじめ、全部で8個あります。

そこで、Jリーグが参考にしたという、ドイツのブンデスリーガのスタジアムと日本のスタジアムの比較をしてみました。

2016年のJ1所属18クラブのホームスタジアムとドイツブンデスリーガ所属の18クラブでスタジアムを比較した結果、J1の18クラブの中、陸上トラックがついているスタジアムは18個中7個でした。一方で、ドイツは18クラブある中でその数は、わずか1つでした。

ブンデスリーガは、世界一平均観客動員数の多いサッカーリーグであり、1試合平均で4万2000人ほどの観客動員を誇ります。

では、「専用スタジアム」が観客数にどのような影響をもたらすか?見ていきます。

広島リビング新聞社ウェブサイトが、「サッカー専用スタジアムでこだわるべきことTOP5」というアンケート調査を行いました。2016年6月の15日間で男女335人が回答。結果は以下の通りです。

1位「ピッチとスタンドの距離が短く、臨場感のあるスタジアム」243人
2位「雨をしのぐための屋根の設置」205人
3位「試合以外のコンサート等にも使える多目的施設」127人
4位「快適で数も多い、トイレや更衣室の設置」102人
5位「プレーが見やすく、ゆったりと観戦しやすいスタンド設計」が94人

サンフレッチェ広島のホーム、エディオンスタジアムでの観戦回数は「年間で1〜2回」と「全く行かない」が最も多く、それぞれ22%です。サンフレッチェ広島は、2012〜2016年までの5年間で3回も優勝しています。しかし、平均観客動員数では1試合あたり1万6000人を少し超えるくらいであり、Jリーグの平均を下回っています。

また、調査結果として、「スタジアムに行かない人」の多くが「スタジアム環境」を理由にあげていることも分かっています。

Jリーグへの関心度の低下


sankei.com

次に考えられる要因として、世間からの注目度の低下があります。「博報堂」の調査によると、2006年のJリーグへの関心度は46.3%だったのに対し、2012年には30.4%に低下しました。

2015年シーズンのJリーグでは、2004年以来となる11年ぶりの「2ステージ制」を導入しました。
この2ステージ制導入の背景は、Jリーグへの関心度の低下、観客動員数の伸び悩みやJリーグの収入減が要因となりました。

しかし、優勝決定戦である「チャンピオンシップ」ですら、テレビ視聴率は厳しい状況です。

2015年、12月2日のチャンピオンシップ第1戦、ガンバ大阪VSサンフレッチェ広島の第1戦はTBSで生中継されましたが、視聴率は7.6%でした。同月5日に広島のホームで行われた第2戦はNHKが生中継し、視聴率は10.4%でした。

2016年の「チャンピオンシップ」では10年ぶり優勝のかかる、浦和レッズVS鹿島アントラーズの第1戦は2016年11月29日に行われ、視聴率は7.3%でした。鹿島がホームのこの試合はTBSが生中継しています。第2戦は、12月3日に埼玉スタジアムで行われ、NHKが生中継。観客数は59837人を記録。視聴率は11.7%でした。2004年の「チャンピオンシップ」の時は、浦和レッズと横浜Fマリノスが対戦し、視聴率は12.5%前後を記録しています。

やはり、Jリーグの関心度は落ちています。それは世間だけでなく、メディアからの関心度も含めてです。メディアや世間からの注目度も試合の観客動員数に影響しているでしょう。

この他にも、Jリーグの観客動員数が少ないのは、スター選手がいないことや、日本代表選手の相次ぐ海外移籍があるなど、多くの要因があります。

大型放映権契約がJリーグにもたらす影響


sbcnews.co.uk

Jリーグは、2017シーズンからイギリスの大手動画配信会社である「パフォーム社」と10年で約2100億円の大型放映権契約を交わしました。この放映権契約で、Jリーグに巨額のお金が入ることになります。

Jリーグチェアマンの村井満氏は、J1リーグの優勝チームへの賞金を3億円とする上で、強化配分金として3年間で15億5000円万が支給されます。これに均等配分金の3億5000万円を合わせると、優勝チームは22億円ものお金を手にすることができます。これは、ビッククラブを作り、世界の強豪クラブと互角に戦えるようにするのが狙いとされています。

優勝チームに多くのお金が入ることにより、スター選手を獲得し、ビッククラブができる可能性は確実に上がります。しかし、一方で「戦力格差」が広がることや、1強となり、早々に優勝が決まる可能性が高くなります。それにより、「消化試合」が増えると反対の声も上がっています。

今年のJリーグは「大型補強」をするクラブが多くあります。その理由は、優勝賞金の増額にあります。
中村俊輔選手のジュビロ磐田への移籍や大久保嘉人選手のFC東京への移籍もありました。

ヴィッセル神戸がルーカス・ポドルスキ選手の獲得に動くなど、海外のスター選手の獲得を狙っているクラブもあります。放映権の大型契約で、Jリーグの賞金金額が変わり、クラブの補強体制も変わってきています。
この放映権料の使い方次第では、Jリーグの観客動員数を増やすことにも繋がります。

今後のJリーグがどうなるのかに注目ですね!

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