迫る大一番。“ビッグロンドンダービー”の見どころと展望。

ダービーマッチ。それは絶対に負けられないライバルチーム同士の戦いです。
来る2017年2月4日、ロンドンに本拠地を置くプレミアリーグ屈指のビッグクラブ同士の対戦が行われます。
ノースロンドンのアーセナル、ウエストロンドンのチェルシー。古くから行われてきたこの“ビッグロンドンダービー”も189戦目を迎えます。
今回は“ビッグロンドンダービー”の歴史や見どころ、注目選手を整理して天王山に備えましょう!


by 12goal.com

過去の戦績


by フットボール戦略論

遡ること110年。1907年11月7日、チェルシーのホームスタジアムである「スタンフォード・ブリッジ」で行われたダービーは引き分けに終わった。
それから数えること公式戦通算188回対戦をし、アーセナル73勝、チェルシー61勝、54回の引き分けと歴史を刻んできました。
プレミアリーグと名称が変わってからの戦績(リーグ戦のみ)は、アーセナルの19勝、チェルシーの16勝、引き分けが14回と、ほぼ互角の戦いを繰り広げてきた両チームです。
前回の対戦(第6節)では、アーセナルがホームの「エミレーツ・スタジアム」で3−0と勝利を収めています。実は意外なことに、アーセナルにとっては2011−12シーズン以来、約4シーズンぶりの勝利でありました。
アーセナルが久しぶりのダブル(シーズン中に同一対戦カードで2勝すること)を達成するのか?チェルシーがリベンジを果たすのか?“ビッグロンドンダービー”は間もなくです。

両チームの今シーズンを振り返る。

ここで、両チームの今シーズンを振り返ってみましょう。
チェルシーは昨シーズンの低迷からの復権を、イタリア代表を率いたアントニオ・コンテ監督を招聘。持ち味の硬い守備力に磨きをかけ、第7節から破竹の13連勝を成し遂げ、勝点55と首位を独走しています。
驚くべきことは、13連勝のうち、10試合でクリーンシート(無失点勝利のこと)を達成していることです。
(※ちなみに2015−16シーズンのクリーンシートは全部で9試合でした。)
ここまでチェルシーの失点数は「15」。そのうち開幕から第6節までの失点が「9」であるのに対して、第7節から第22節までの失点数が「6」と守備面で大きな改善を見せています。
守備が向上した要因は、昨シーズン、レスター・シティを「奇跡の優勝」へと導いたフランス代表MFエンゴロ・カンテの加入と、第6節のアーセナル戦以降、システムを4−1−4−1から3−4−3に変更したことが挙げられます。無尽蔵のスタミナとボール奪取に優れたカンテが、新システムで守備の中心を担いながら、攻撃の第一の起点となったことで素早いカウンターを仕掛けることが可能となったチェルシー。持ち前の勝負強さが戻ってきたと言えるでしょう。


by WorldFootballNewS

対するアーセナルは昨シーズン、チェルシーやリヴァプール、マンチェスターの2チームが優勝争いから脱落したことで、12年ぶりのリーグ制覇が見えていました。しかし、新年を首位で迎えるも、その後勝負弱さを露呈し失速。快進撃を続けた岡崎慎司が所属するレスター・シティに「奇跡の優勝」を譲ってしまいました。
アーセナルを指揮して20年目となる節目のシーズンを迎えるアーセン・ヴェンゲル監督。今シーズンでアーセナルとの契約が切れるボスにとって、去就が注目されるシーズンでもあります。ファンとしても喉から手が出るほど欲しているのがプレミアリーグのタイトルです。
倹約家ともいわれるボスが大金を注ぎ込み、バレンシアからドイツ代表DFのシュコドラン・ムスタフィ、ボルシアMGからスイス代表MFグラニト・ジャカを獲得。さらに、昨シーズンリーガエスパニョーラで17得点10アシストを記録したデポルティボからスペイン人FWルーカス・ペレスを加えて、スカッドを強化したことからも今シーズンに懸ける想いが伝わってきます。
開幕戦こそリヴァプールに敗れたものの、その後14試合負けなしと好調をキープしたアーセナル。エヴァートン、マンチェスター・シティの2チームに連敗を喫してしまいましたが、直近5試合は負けなしで、勝点47で2位につけています。
勝点差は「8」。アーセナルとしてはこれ以上勝点を離されるわけにはいきません。ベンゲル監督が4試合のベンチ入り禁止処分中という不安材料はありますが、セオ・ウォルコットとダニー・ウェルベックのイングランド代表コンビが復帰を果たし、先日行われたFA杯4回戦において、サウザンプトン相手に両者共に得点を獲れたことは明るい材料です。
チェルシーにとっては勝利することでタイトル獲得に大きく近づくことが出来るでしょう。
この“ビッグロンドンダービー”が2016‐17シーズンにおける優勝争いのターニングポイントになることは間違いないでしょう。

マッチアップから見る注目選手① 〜ジエゴ・コスタvsコシエルニー〜


by Arsenal 猿のプレミアライフ

今シーズンのプレミアリーグで、ゴールランキング1位タイの15得点を記録しているチェルシーのエースストライカー、スペイン代表のジエゴ・コスタ。このダービーを良くも悪くも盛り上げてきたアーセナルにとっては天敵ともいえるストライカーです。今シーズンは、チームがゴールを欲しい時に獲ってくれるFWとしての印象が強いです。また「ずる賢い」という言葉がぴったりな相手との駆け引きが上手なゴールハンターであります。
対するアーセナルのCBを務めるフランス代表のコシエルニー。プレミアリーグ屈指のCBの1人と言える選手です。対人の強さはもちろん、持ち前のスピードを生かしたカバーリングが魅力の選手です。時にはセットプレーから得点を奪うことも可能です。第22節のバーンリー戦においても自身でPKを獲得し、土壇場でチームを救いました。
前回の“ビッグロンドンダービー”では、コシエルニーに軍配が上がりました。新加入のムスタフィと共に、チェルシーの攻撃のターゲットとなるコスタを孤立させ、見事に封じ込めました。今回はどちらに軍配が上がるのか?球際の勝負はもちろん、ボールの関与しない場面での両者の駆け引きにも要注目です。

次ページ:マッチアップから見る注目選手②【動画有り】

マッチアップから見る注目選手② 〜カンテ&マティッチvsエジル&A・サンチェス〜


by カルチョまとめブログ

「彼はバッテリーをパンツの中に隠している」と、レスター・シティのラニエリ監督に言わせるほどのスタミナとボール奪取能力に優れるカンテ。彼の加入がここまでチェルシーの好調さを支えていると言っても過言ではないでしょう。彼のインターセプトの多くは、「攻撃方向を向いた体勢」であり、カウンターに移るためのスイッチ役となることができます。
相方のセルビア代表MFのマティッチは身長194cmと恵まれた体格を生かしたスケールの大きなプレーが持ち味の大型ボランチです。左足から繰り出されるミドルシュートや展開力に長けていることも特徴です。3−4−3とシステム変更後の守備の安定感と厚みのある攻撃はこの2枚のセントラルMFが作り出しています。


by FINASH

アーセナルが誇る2枚看板である、ドイツ代表で背番号「10」を背負うエジルと、母国チリ代表をコパ・アメリカ2連覇に導いたA・サンチェス。どちらも、アーセナルには欠かせない選手です。
エジルは広い視野とパスセンスに優れ、数多くのアシストを記録してきました。ボールの持ち方・運び方が良い意味で「いやらしく」かつ「エレガント」であり、多くのファンを魅了しています。昨シーズンから、積極的にゴール前へのスプリントの回数が増え、これに比例してゴールの数も増えています。
サンチェスは身長こそ低いものの,鋼の肉体の持ち主です。スピードとキレを活かしたドリブルやパワフルなシュート、献身的な前線からの守備も出来るFWです。今シーズンはコパ・アメリカの疲れを見せることなく、開幕からアーセナルの1トップを務め、ここまでゴールランキングトップタイの15得点とアシストも7個を記録しています。

第6節の対戦では、当時チェルシーでアンカーのポジションを務めていたカンテの横のスペースを利用し、エジルとサンチェスを中心として細かいパス回しでチェルシーDFを翻弄。チェルシーのDFを中央に寄せさせた後に、広大なサイドのスペースを使い攻撃を仕掛けてゴールを奪いました(前半14分の2点目)。このサイド攻撃が、チェルシーの両翼を担っていたベルギー代表MFのアザールとブラジル代表MFウィリアンのポジションを下げさることに成功しました。これによってアーセナルは、ボールを奪われてもチェルシーが前線に人数を懸けることを許しませんでした。このことが3−0という結果に繋がったと考えています

第6節ハイライト動画

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今回の対戦において両チームが狙うべきポイントを挙げてみました。
チェルシーにとっては、チームが誇る堅守から如何に速くカウンターを仕掛けられるかが重要となってきます。前線3人の個の能力は非常に高いので、得点のチャンスは多く生まれるでしょう。
アーセナルにとっては、ボールポゼッションを高めながら相手の3バックのサイドのスペースを上手く利用できるかどうかが重要となると考えます。「攻撃は最大の防御」というように、サイドのスペースを利用し、チェルシー攻撃陣を敵陣深くに釘付けにできるかがカギになるでしょう。

以上“ビッグロンドンダービー”について簡単にまとめてみました。今シーズンの優勝争いを占う重要な一戦。
ハイレベルなサッカーを期待せずにはいられません。

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