Jリーグが導入を検討している『ホームグロウン制度』って?
「地域密着」を掲げているJリーグで今後導入が検討されているのがホームグロウン制度です。
イングランド・プレミアリーグやドイツ・ブンデスリーガなどヨーロッパの各国リーグで導入されているこの制度。
どういった制度なのか、またメリットや問題点などを考えてみました。
ホームグロウン制度とは?
「ホームグロウン制度」とはどういった制度なのかをはじめに定義付けすることが大切ですが、「ホームグロウン”home grown”」は直訳すると”家で育てた”という意味があります。
世界各国から助っ人外国人を集めるなかで、自国選手がほとんど所属をしていないクラブが出てきたことや出場機会の減少から起こる代表チームの弱体化などの問題を解決する方法の1つとして導入されているのが、「ホームグロウン制度」です。
では、すでに導入されているヨーロッパ各国リーグではどういった制度なのでしょう。
by ユニ11
イングランド・プレミアリーグのケース
世界的に大人気のプレミアリーグでは『トップ登録25選手のうち、8選手以上をホームグロウン選手とすること』とし、ホームグロウン選手を『国籍に限らず、21歳の誕生日までにイングランド協会またはウェールズ協会の登録クラブに3シーズンもしくは36ヶ月以上所属・プレーした選手』と定めています。
ドイツ・ブンデスリーガのケース
日本人選手が最も多く所属しているブンデスリーガでは、『各クラブがドイツ国籍を持つ12選手と契約をすること』『12人のドイツ選手のうち、6選手は各クラブの地元で育成された選手でなければならない』といわゆる『ドイツ人枠』とも呼ばれる制度となっています。
オーストリア・ブンデスリーガのケース
南野拓実選手が活躍をするオーストリア・ブンデスリーガでは、オーストリア人選手を各クラブ12名以上登録し、起用実績(試合出場時間)に応じてテレビ放映権の分配金が変動するというシステムとなっています。
また、22歳以下の選手は出場時間を2倍で計算され、若手育成においてもメリットを高くしています。
by GOAL
ここで取り上げた3つのリーグはJリーグと違い、外国人枠を撤廃した代わりとしてこのような制度を定めています。
Jリーグではどうするべきか?
ヨーロッパでは『外国人枠の撤廃による自国選手の減少』『代表チームの弱体化』などの問題から導入が進んだ「ホームグロウン制度」。
では、Jリーグで導入されるならばどういった形となるのでしょう。
Jリーグにおける『外国人枠』
Jリーグではヨーロッパ各国リーグと違い『外国人枠』が設定されています。
その内容は簡単に、
・「外国籍選手」3名
【条件付き外国籍選手】
・「アマチュア選手」2名以内
・「20歳未満のプロC選手」2名以内
・「アジア枠(AFC(アジアサッカー連盟)加盟国の国籍を持つ選手」1名以内
・「提携国枠(Jリーグ提携国の国籍を持つ選手)」2名以内
の中から計2名以内で合計5名までを登録することができます。
by サッカーマニアのblog
目的をどこにするのか?
『外国人枠』が設定されているなかで「ホームグロウン制度」を導入するとなると、Jリーグとヨーロッパ各国リーグでは外国人選手による自国選手の出場機会に影響が少ないという違いがあります。
そのためJリーグにおいて「ホームグロウン制度」を導入するならば、自国選手ではなくよりローカルに各チームの地元出身選手や自チームのユース出身者の保有数増加を目的とするべきではないかという声があります。
【問題点】「地元」の範囲は?
地元出身選手の保有数増加を目的とした場合、以下のような問題点が考えられます。
・『地元』をどの範囲とするのか。
・越境留学の高校生やユース選手、大学生の扱い。
・各都道府県ごとのサッカー人口の違いによる戦力格差。
・最低保有人数などの制限によるチームへの財政面での影響
など、簡単にあげるだけでもなかなかに大変な問題点があります。
by 川崎そだち
【メリット】地元からスター選手が生まれる?!
導入におけるメリットは地元出身選手や自チームのユース出身者が増えることでより地域に根ざしたチーム編成となり、「地域密着」というJリーグの構想が近づきます。
また、地元出身選手が日本代表に選出されるなどスター選手へと成長をするとその選手を目当てとしたスタジアム来客数の増加やサッカー人口の増加といったメリットも考えられます。
このように導入をするならば、まだまだ問題点も多い「ホームグロウン制度」。
しかし、オーストリアやドイツでは実績も上がってきている制度であり、これらの成功ケースからJリーグ、そして日本サッカー界がより魅力的になる制度となってもらいたいですね!