ラングニックのメソッドと哲学による『世界最高の育成型クラブ』
昨季クラブ史上初の1部昇格を決めた直後のピッチ。倒れたラングニックにビールをかけるのは、リオ五輪ドイツ代表の主力FWゼルケ。
by theScore.com
シャルケやシュツットガルト、ホッフェンハイムの監督を歴任し、ドイツサッカー界で『教授』の異名をとるラングニック氏が、2012年にライプツィヒとザルツブルクの共同スポーツディレクターに就任してから全てが始まったとも言えるこのプロジェクト。
ただ、彼等は単に多額の資金をスター選手獲得に費やすのではなく、世界でもトップクラスのトレーニング設備や環境を揃えたり、優秀な指導者を集める事に投資しています。
実際、現在ブンデスリーガを首位で走るチームにも他クラブで実績を上げた『完成された選手』はおらず、ラングニック氏が提唱するサッカーやそのメソッド(方法論)に共感した選手達のみが揃った精鋭達が集まっています。
また、クラブの哲学でもある「24歳以下の選手で、クラブを出る時に獲得時よりも市場価値を上げる野心のある若手選手」である事が獲得対象となる条件で、年棒も300万ユーロ(約3億6千万円)の上限を設定しています。
よく金満クラブのチーム編成は「寄せ集め集団」になってしまいがちですが、彼等はそれらの哲学により、「若手精鋭集団」であり続けています。金満クラブでありながら、『世界最高の育成型クラブ』を目指しているのです。
【次回予告】『ラングニックとパワーフットボール』乞うご期待!
ホッフェンハイム監督時は、後にバイエルンの3冠の立役者となるブラジル代表MFグスタボ(右)の他、デンバ・バやイビセビッチ、カルロス・エドゥアルド等を、欧州での実績が皆無だった逸材を育てたラングニック。by Metro
これらの哲学やクラブの成り立ちはホッフェンハイムとも似ており、ホッフェンハイムはドイツ最大手のソフトウェア会社『SAP』の創始者の1人であるディトマー・ホップ氏が8部リーグ時代からパトロンとなり、3部リーグ時代からラングニック氏が監督を務めて、1部リーグ前半戦首位ターンにまで突っ走ったクラブです。
当時のホッフェンハイムは前半戦限りでエースFWのヴェタド・イビセビッチ選手(現ヘルタ・ベルリン)が大怪我を負った影響と、ウインターブレイク期間に他クラブからの徹底研究が進み、後半戦は失速。最終的には7位に終わりました。
ただ、現在のライプツィヒも、2008年のホッフェンハイムも、それぞれ13試合で29得点、17試合で42得点を挙げる攻撃的なサッカーを志向するチーム。
そんなRBライプツィヒについては、今回も含めて3回に分けた特集として当コラムで連載致します。
次回は、ラングニック氏が提唱し、現在はドイツを中心に「パワー・フットボール」と呼ばれ、「ゲーゲン・プレッシング」からさらなる拡がりを見せているドイツ発の新戦術について考察します!
お楽しみに☆
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