信州の熱き想いとおもてなしの精神を観た!アルウィンに集結した松本山雅サポーターとスタジアム

2016年11月27日(日)15時半。2016年J1昇格プレーオフ準決勝の松本山雅vsファジアーノ岡山戦がキックオフされました。
天候はあいにくの雨模様。この時期の信州の夕方は流石に寒い。しかも雨。しかし集った両チームのサポーターの熱気にスタジアムは包まれていました。
松本山雅は一週間前のJ2最終節に勝利して84点もの勝ち点を物にしながら、得失点差で自動昇格の夢が断たれていたので、この一戦は必勝の戦いと言えました。
一方のファジアーノ岡山は6戦勝ち無しの状態ながら何とか昇格プレーオフに滑りこんでいました。
J2の3位と6位で争われる昇格プレーオフ。筆者は雨の中アルウィンに脚を運びました。

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飛行機がピッチの横を降り立つスタジアム

舞台は松本平広域公園総合球技場。通称アルウィン。アルプスの風を意味する造語が示す通り、このスタジアムからは信濃の山々を見渡す事ができる、爽やかな場所にあります。あいにくこの日は雨の為、アルウィンから信州の山々が見渡す事ができなかったのはとても残念でした。
しかし、驚くべき光景が飛び込んで来ました。バックスタンド後方に何と飛行機が降り立って行くのです!キックオフ後の90分間で二機が着陸して行きました。
流石に観戦に集中していた為、着陸する飛行機を撮影することができませんでしたが、キックオフ前に撮影した飛行機の姿をご覧下さい。

この松本平広域公園総合球技場は、松本空港に隣接しているのです。空港に隣接しているスタジアムというのは、日本全国でもアルウィンだけ。大きな特徴です。
しかし、夏以外は福岡便と札幌便が一日二往復だけの就航なので、サッカー観戦中に飛行機が離着陸する様子を観る事ができる事はなかなかありません。それだけにこの日は貴重な経験ができました。

無料駐車場とシャトルバス

アルウィンは松本の中心部からはかなり離れた場所にあります。車で行くのがベストですが、心配は無用。ゲームのある日には、アルウィンからは少し離れた場所に無料の駐車場が用意されます。
大芝生駐車場と名付けられたその場所は、広大な芝生の駐車場。歩いてすぐの場所にシャトルバスの発着場があって、無料でアルウィンまで往復しているんです。とても便利で気が利くサービスです。

相手チームのサポーターをもてなすスタジアム

キックオフの前には、アルウィンでは必ず相手チームのサポーターに向けたのアナウンスが流れます。それはこの日も同じ。
11月下旬の雨の信州。松本山雅のサポーターが終結することでさえ素晴らしい事ですが、遠路はるばる岡山から松本まで集まったファジアーノ岡山のサポーターの姿にも心打たれました。
そしてキックオフ前に、いつものあのアナウンスが流れます。
「ファジアーノ岡山のファン・サポーターの皆様、本日はアルウィンにお越し頂き誠にありがとうございます!」
この一戦、互いに最高のパフォーマンスを出し合い、よりエキサイティングに更に熱く、素晴らしい試合を作りましょう!」
何と心温まるアナウンスでしょう!雨で寒いスタンドに座っていましたので、余計に胸が熱くなりました。
地元クラブを愛するという事は、同じく対戦するJリーグクラブにも敬意を表するという、アルウィンの姿勢に頭が下がりました。

暖かく熱い山雅サポーター

どのサッカークラブのサポーターも、応援するクラブの選手を心から応援しています。スタジアムで観戦していると、ホームであれアウェイであれ、サポーターの皆さんの真摯な声に胸打たれます。
サッカー観戦はサッカーのゲームを生で観るのが最大の目的ですが、スタジアムの爽快感や、スタジアムグルメに打つ舌鼓、サポーターの真摯な応援の姿も含めて、大きな意味でサッカーのゲームを感じに行っているのだと思います。
自分もその一人であるのですが、客観的にスタジアムを見渡してみると、自分以外のサポーターの真摯な姿に感じ入る事ができます。
松本山雅のサポーターは常に暖かく熱い声援をピッチ上の選手に送り続けていました。この日は負けたら終わりの昇格プレーオフ。しかも雨のホームです。置かれている状況から、自ずと今年最も心から声援を送った筈です。
筆者にはそれがよくわかりました。キックオフ前からゲームセットするまで、松本山雅のホームゴール裏の声援は一度も止む事が無かったからです。
多くのJリーグのゲームを観戦して来ましたが、この日筆者は松本山雅サポーターに対して、今までに無い深いシンパシーを感じる事ができました。
何としても松本山雅を勝たせてJ1に復帰させたいと願いながら、雨に濡れて寒い体を、松本山雅サポーターとシンクロさせていました。

次ページ:無常のゲームセット【動画有り】

無常のゲームセット

ゲームは一進一退の展開でした。どちらのチームもJ1昇格を目指して必死なゲームを繰り広げます。
雨のピッチはスリッピーで、両チーム共にショートパスをうまく交換できず、ロングボール主体の展開に終始します。
前半は、ホームの松本山雅はGK以外の全員が相手陣内でプレイする時間帯が続き、終始押し気味にゲームを進めましたが、前半23分にファジアーノ岡山の一本のロングパスが均衡を破ります。
前がかりの松本山雅はロングボールの対応に遅れて、ファジアーノ岡山のFW押谷祐樹選手にカウンターを決められて先制点を献上してしまいました。、
一方の松本山雅は後半29分に左CKをパウリーニョがヘディングで決めて同点に追いつきます。昇格プレーオフのルールでは、同点の場合はシーズン上位チームが勝利します。
かといって、松本山雅が引き分け狙いで守備固めをしたわけではありません。ファジアーノ岡山も後半33分にスーパーサブのFW豊川雄太選手を投入し勝負に出ます。
そして90分が経過しアディショナルタイムは4分の掲示。ドラマは2分後に訪れました。中盤からファジアーノ岡山の10番矢島慎也選手のフィードを、途中出場した豊川選手がヘディングでFW赤嶺真吾選手の走りこむ絶好の位置に落とし、劇的な逆転ゴールが生まれたのです。
その2分後にゲームセット。ホーム松本山雅は、アルウィンで無常のゲームセットを迎えてしまったのです。

チーム得点王の姿

歓喜のファジアーノ岡山サポーター。一方で松本山雅のサポーター席は静まり返ってしまいました。
雨のアルウィンに、無常のゲームセットは静かに訪れました。
チーム得点王のFW高崎寛之選手が、いち早くベンチに戻って来ました。ベンチの端に腰掛けると、頭を垂れて両手で顔を覆っていました。
J1復帰の道が断たれたチームの稼ぎ頭が、静かに嗚咽する姿に、過酷なJ2の一年の重さを見ました。

昇格と降格があるJリーグのシーズンは過酷です。中でもチーム数が多く、地方都市に点在したホームタウンに所在するクラブの多いJ2の一年は熾烈な戦いを強いられます。
自動昇格したコンサドーレ札幌と清水エスパルスに次ぐ第三のチームがどこになるのか、これから昇格プレーオフの決勝で決します。
準決勝のアルウィンには、ドラマがありました。
山々に囲まれて、景色の良いアルウィン。サッカー専用スタジアムのアルウィン。温かく熱いサポーターが集まるアルウィン。
来シーズンもJ2で戦うことになった松本山雅のゲームを、是非アルウィンで観戦してみませんか!

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