無常のゲームセット
ゲームは一進一退の展開でした。どちらのチームもJ1昇格を目指して必死なゲームを繰り広げます。
雨のピッチはスリッピーで、両チーム共にショートパスをうまく交換できず、ロングボール主体の展開に終始します。
前半は、ホームの松本山雅はGK以外の全員が相手陣内でプレイする時間帯が続き、終始押し気味にゲームを進めましたが、前半23分にファジアーノ岡山の一本のロングパスが均衡を破ります。
前がかりの松本山雅はロングボールの対応に遅れて、ファジアーノ岡山のFW押谷祐樹選手にカウンターを決められて先制点を献上してしまいました。、
一方の松本山雅は後半29分に左CKをパウリーニョがヘディングで決めて同点に追いつきます。昇格プレーオフのルールでは、同点の場合はシーズン上位チームが勝利します。
かといって、松本山雅が引き分け狙いで守備固めをしたわけではありません。ファジアーノ岡山も後半33分にスーパーサブのFW豊川雄太選手を投入し勝負に出ます。
そして90分が経過しアディショナルタイムは4分の掲示。ドラマは2分後に訪れました。中盤からファジアーノ岡山の10番矢島慎也選手のフィードを、途中出場した豊川選手がヘディングでFW赤嶺真吾選手の走りこむ絶好の位置に落とし、劇的な逆転ゴールが生まれたのです。
その2分後にゲームセット。ホーム松本山雅は、アルウィンで無常のゲームセットを迎えてしまったのです。
チーム得点王の姿
歓喜のファジアーノ岡山サポーター。一方で松本山雅のサポーター席は静まり返ってしまいました。
雨のアルウィンに、無常のゲームセットは静かに訪れました。
チーム得点王のFW高崎寛之選手が、いち早くベンチに戻って来ました。ベンチの端に腰掛けると、頭を垂れて両手で顔を覆っていました。
J1復帰の道が断たれたチームの稼ぎ頭が、静かに嗚咽する姿に、過酷なJ2の一年の重さを見ました。
昇格と降格があるJリーグのシーズンは過酷です。中でもチーム数が多く、地方都市に点在したホームタウンに所在するクラブの多いJ2の一年は熾烈な戦いを強いられます。
自動昇格したコンサドーレ札幌と清水エスパルスに次ぐ第三のチームがどこになるのか、これから昇格プレーオフの決勝で決します。
準決勝のアルウィンには、ドラマがありました。
山々に囲まれて、景色の良いアルウィン。サッカー専用スタジアムのアルウィン。温かく熱いサポーターが集まるアルウィン。
来シーズンもJ2で戦うことになった松本山雅のゲームを、是非アルウィンで観戦してみませんか!
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