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なでしこリーグ最終節、伊賀FCくノ一の完勝とファン感で包まれた幸福感

hirobrown

2016/10/30 22:02

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NEWS

野田監督就任後の「ベストゲーム」~試合を支配した「伊賀のハジ」

02_%e6%9d%89%e7%94%b0%e4%ba%9c%e6%9c%aa「もっと自分の得点力を上げたい」と常々に口にするMF杉田選手。この日は自ら獲得したPKで先制点を挙げた。by 伊賀フットボールクラブ くノ一

 そして、その狙い通り、伊賀は巧みな速攻から左サイドに流れた杉田選手が抜け出し、ぺナルティエリア内でドリブル突破を仕掛けてPKを獲得。これを杉田選手自身が落ち着いてGKの逆側に決め、20分に伊賀が先制に成功。

 さらに攻勢に出る伊賀は、1トップ気味のFW小川志保選手が前線のスペースでボールを収める事で攻撃に「深さ」を作り、速攻だけなく遅攻により2段・3段の攻撃も見せ、両サイドバックやボランチの選手までもがフィニッシュに絡む多彩な攻撃を仕掛けました。

 決定力を欠いて追加点こそなかなか奪えずにいましたが、主導権は握っていた伊賀。そして、この試合で最も輝いていたのはMF櫨(はじ)まどか選手。クロスからの相手のクリアボールや中盤でのルーズボールでの競り合いという密集した混戦の中、櫨選手がボールを浮かして相手を交わす高等テクニックで幾度もマイボールにした事が、この試合の行方に大きく左右したはず。

 そして、76分。杉田選手の左CKからの折り返し、ゴール前でボールがこぼれた混戦から櫨選手が追加点を決めた場面は、この試合のMVPに相応しいご褒美だったのかもしれません。映像ではなく間近で見てこそ、その高い技術で唸らせる櫨選手。背番号10を付けるその姿は、男子の元ルーマニア代表で1994年のアメリカW杯でベスト4進出を牽引したMFゲオルゲ・ハジ選手のようでした。

 そんな「伊賀のハジ」の追加点により、そのまま2-0で完勝。野田監督も「私が就任してからのベストゲーム」と称した勝利と、他会場で浦和が敗れた事により、伊賀は2016年シーズンを6位で終える事に成功。

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 最終成績は6勝3分9敗の6位、14得点18失点。攻撃志向のチームを作りながら最終節を前にした得点数がリーグワースト(最終的にはワースト3位)ながら、失点数が2番目に少ない。その数字を一見するとあまり変化がないようにも見えますが、選手達が試行錯誤と葛藤の中で取り込んだ最終節でのベストゲームで掴んだものの大きさは、いつもはアクションの激しい野田監督の微笑ましい表情が物語っていました。

幸福感に包まれたファン感~衝撃○×クイズの正解は?

04_%e6%8a%bd%e9%81%b8%e4%bc%9a下條選手(7番)がMCを務めた抽選会。ピッチで選手とサポーターが触れ合うファン感は幸福感に満ちていた。

 そして、試合終了に開催されたファン感謝イベントでは、ファン・サポーターがピッチに降り、芝生の上で完勝直後の選手達と触れ合いながらピッチ中央での○×ゲームや、景品が尽きないほどの大抽選会が実施されました。

 ○×クイズでは野田監督も出題者となり、「私はアメリカ人男性と婚約寸前まで行った!○か×か?」や、「小川選手は三つ子なのか?」などという衝撃のプライベート告白問題も。(正解が気になる方は、実際に現地に行かれた方々に聞いてみて下さい。)

 下條選手がMCを務め、景品が選手達から直接ファン・サポーターに送られる大抽選会では、ジュース1ケースや伊賀米10kgという家計に嬉しい品では、景品が重すぎて罰ゲームのように見える光景に笑いも交じっていました。その他の景品には練習着やレプリカユニフォーム、ベンチコート、杉田選手のサイン入りパネルなど豪華賞品も盛り沢山でした。

 そんなゲームをする最中も、ファン・サポーターは選手達と記念撮影やサインに止まらず、井戸端会議?のようにフレンドリーに話し会うグループが出来たり、子供たちは選手にしがみ付いて離れないという「近さ」。三重県ではこの日、上野天神が開催されていましたが、上野運動公園競技場も幸福感に包まれていました。

 ただ、抽選券を持ったまま会場を後にした方々も多くて、当選してもなかなか景品が授与できず。抽選会は寒空の下で45分程続きました。筆者はそれでも何も当たる事がなかったのですが、現地で何も当選しなかった皆様、「我々は運を使い果たさなかっただけです。」とポジティヴ・シンキングに努めたいと思います。(笑)

 全イベント終了後、会場に出店していた揚げパン屋さんを見て、「食べたいな~」と口々に言っていた選手達。この日、完勝した試合で順位を2つ上げて締めくくったリーグ戦の結果、ファン感謝イベントと、最後までファン・サポーターを魅了して幸福感を提供してくれた選手たちへのご褒美に、「それぐらいは御馳走した方が良かったかな?」筆者はそう自身に問いかけながらも、楽しかったこの日の出来事を思い返しながら帰路に着いたのでした。

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