「J2アシスト王」にして11得点のザスパクサツ群馬MF瀬川祐輔~”群馬のペドリート”は先輩・江坂に続くのか?

 今季の明治安田生命J2リーグも佳境に入る中、J1自動昇格・昇格プレーオフ・あるいはJ3降格から逃れる残留争いと、各クラブが様々な目標に向かって熱い戦いを繰り広げています。

 しかし、上記のような争いと縁のない中位から下位に位置しながらの「無風地帯」に属するクラブは、来季のチーム編成に動いていたり、個人的に大活躍している選手に対しては、J1クラブからのより具体的なオファーも届く時期でもあります。

 そんな中、現在15位のザスパクサツ群馬に今季のJ2でリーグ最多の12アシストを記録する「アシスト王」でありながら、11得点も記録する「点取り屋」としても活躍する選手がいます。(※記録は第36節終了時点、アシスト数は筆者換算)

ここまで11得点12アシストと大ブレイク中。群馬の大卒新人、瀬川。by J’s GOAL

プロフィール

名前:瀬川祐輔(セガワ ユウスケ)
生年月日:1994年2月7日(22歳)
出身:東京都
身長:170cm
体重:67kg
所属クラブ:明治大学(2012-2015)→ザスパクサツ群馬(2016-)
ポジション:FW、サイドMF
背番号:26

 その選手とは明治大学から加入した大卒ルーキーのMF瀬川祐輔選手。

 群馬としては即戦力として獲得した選手ですが、本来は右サイドアタッカーの選手。しかし、昨季は右サイドMFとして鋭い得点感覚を見せたMF吉濱遼平の長期離脱やFW陣の得点力不足もあって、主に2トップの1角として序盤から定位置を確立しました。最近では1トップの最前線を担うほどの信頼感を得ています。

 それもそのはず、開幕先発に抜擢されただけでなく、いきなり2ゴール1アシストの大活躍。その後は得点からは遠ざかるも、6月8日に行われたJ2第17節のアウェイ・ギラヴァンツ北九州戦ではハットトリックも達成。以降はコンスタントに得点に絡み続け、ここまで11得点12アシストという”ダブル-ダブル”の大活躍。アシストに限ってはリーグ最多を記録しています。(話は脱線しますが、この”ダブル-ダブル”を、野球の”トリプル・スリー”のような流行語として浸透させたいものです。)


瀬川がハットトリックを達成した第17節、北九州戦でのゴールシーンからは、多彩な得点能力が垣間見える。

 瀬川選手は今季も10試合ほどは本職のサイドMFとして先発しています。自他共に認める最大の武器はスピードで間違いありませんが、サイドに開いた状態からダイアゴナルラン(ゴールに対して斜めに走る)で中に抜け出す動きや、クロスに対して点で合わせる能力など、オブ・ザ・ボールに優れているからこそ、多くの得点に絡む事ができます。

 その他にも170cmながらも、バネがあるのでヘディングも強い。アシスト能力が高いため、シュートの選択肢を効果的に使う事ができる選手です。
 
 現在の瀬川選手の活躍ぶりを見ていると、J1クラブからも移籍のオファーは殺到していることでしょう。

次ページ:J1へのステップアップなるか?”群馬のペドリート”

昨季13得点で大宮へ移籍した先輩・江坂がJ1でも大活躍!

昨季は群馬で13得点を挙げて大宮へステップアップした江坂。J1の舞台でも大ブレイク中だ。by SOCCER PUSH UP!

 実は群馬には昨季、流通経済大学から加入した大卒新人のMF江坂任選手が13ゴールを記録し、僅か1年でJ1の大宮アルディージャに引き抜かれました。

 江坂選手は大宮でも定位置を奪い、ここまで29試合に出場して7得点を挙げてJ1の舞台でも大活躍。残り2試合となったJ1リーグでJ1昇格初年度ながらも4位に大躍進しているチームの原動力となっています。

 特徴が違うとはいえ、江坂選手も体格に恵まずとも、滞空時間の長いヘディングを得意とし、サイドMFながらFWとして多くの得点に絡むなど、共通項もあります。

 そして、その江坂選手が昨季の群馬でつけた背番号「26」は、今季の瀬川選手が継承しています。

J1へのステップアップなるか?”群馬のペドリート”

バルセロナ時代のペドロ。多彩なパスの「出し手」が揃うチームで、無名ながらも「受け手」として最高峰の彼が違いを生んでいた。by NOIRの旅

 瀬川選手のプレーを見ていると、現在はイングランドのチェルシーでプレーする、スペイン代表FWペドロ・ロドリゲス選手に似ているような気がします。

 オフ・ザ・ボールの動きが多彩で鋭いペドロ選手。チェルシーでは苦戦していますが、多彩なパサーが揃うチームで最も活きる選手で、バルセロナではジョゼップ・グアルディオラ監督(現・マンチェスター・シティ監督)時代にも重宝されました。下部組織出身の無名選手ながらも、スペイン代表のエースFWダヴィド・ビジャ選手や、フランス代表のエースFWティエリー・アンリ選手からレギュラーを奪い、スペインリーグやUEFAチャンピオンリーグ優勝など数多くのタイトル獲得に貢献した選手です。

 そんな愛称”ペドリート”のように、瀬川選手も多彩なパサーが揃うチームにステップアップ移籍を選択するかもしれません。

 群馬のファン・サポーターの方々からすれば残念な事かもしれませんが、彼がJ1の舞台で活躍するところはニュートラルなサッカーファンとしては楽しみ。

 今オフは”群馬のペドリート”瀬川選手の動向に注目です!

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