奇跡のJ1残留へ!福岡FW平井将生が救世主となる!

平井将生
J1最下位の福岡と17位・湘南による「裏・天王山」を制した福岡。2試合連続で豪快なミドル弾を決めたFW平井(中央)が奇跡のJ1残留へ向けて救世主的活躍を見せている。by Twitter@jsgoal

明治安田生命J1リーグ第2ステージも第12節までを消化。

昨季J2・3位に入って昇格プレーオフを制してのJ1へと復帰して来たアビスパ福岡は、残り5試合となった現在の年間順位は17位。J1残留圏内の15位・アルビレックス新潟まで勝点差は8となっており、厳しい状況となっています。

しかし、8試合未勝利が続いた中で迎えた先週末の第11節、アウェイの湘南ベルマーレ戦で0-2と勝利。年間順位で最下位を脱出しました。また、ここへ来て得点が取れるようになって来た事もプラス要素。

特に「ミドルの感覚に目覚めた」と、2試合連続で豪快なミドルシュートを突き刺して連続得点を挙げているFW平井将生選手が絶好調です。


湘南戦で貴重な追加点となる見事なミドルシュートを決める平井。

クラブ史上初のナビスコ杯決勝進出を牽引する3得点


クラブ史上初の決勝T進出を決めたGL最終節・新潟戦での逆転弾など、ナビスコ杯では3得点を挙げる大活躍。by AVISPA FUKUOKA

今季の平井選手はここまでのJ1リーグ29試合中の26試合に出場。先発出場こそ第2ステージの5試合のみとなっていますが、出場機会自体はそれほど少なくはありません。

しかし、リーグ戦では無得点が続き、前々節の川崎フロンターレ戦で途中出場から一矢報いる強烈なミドルシュートを決めたのが今季初ゴールでした。

ただ、J1リーグの第1ステージと並行して行われていたJリーグヤマザキナビスコカップ(現・ルヴァンカップへと名称変更)では大活躍。特にホーム開催だったグループリーグ最終節・新潟戦、先制点を許しながらも、平井選手は巧みな抜け出しでスルーパスを引き出して見事な逆転ゴールを決め、4-2と逆転勝利したチームを牽引しました。

この勝利により、福岡はクラブ史上初の決勝トーナメント進出。クラブにとっても歴史に残るこの試合だけでなく、サガン鳥栖戦では現在の活躍を予感させる豪快なミドル弾も決めた平井選手は、GL後半の3試合全てでゴールを挙げて3得点を記録。快挙達成に大きく貢献しました。

その後、ルヴァン杯準々決勝が迫る8月20日のJ1リーグ第2ステージ第9節、新潟戦の前半で負傷交代してしまい、GL突破の立役者が欠場したチームはベスト8で敗退。

それでもここへ来て戦列復帰後即の2試合連続得点。奇跡のJ1残留へ向けての希望の光となっています。

プロ入り前から長期離脱、谷あり谷ありキャリア


G大阪時代はもちろん、福岡加入後も出場機会には恵まれない苦しい時期を過ごした平井。by 蜂の一刺し

徳島県出身の平井選手は中学校卒業と同時にガンバ大阪の高校生部門となるユースに加入するために、単身で大阪へ移住。

高校生にして1人暮らしを経験した事で一般的な金銭感覚や生活感を持つ人間性もあって、ガンバ大阪時代はトップチーム昇格後もチームの会合では幹事役を担って来た選手です。

ただ、高校3年生の時に本人も「トップチーム昇格は諦めた」と思うほどの前十字靭帯断裂で長期離脱。クラブが将来性を大きく買っていたためにプロ契約を締結したものの、2006年のトップ昇格後も度重なる怪我に悩まされました。

また、当時のガンバ大阪は2005年のJ1リーグ初優勝から黄金期を迎えており、毎年のように他のJクラブで実績を残した外国籍FWを獲得。ユース上がりの若手FWの1人だった平井選手は出場機会に恵まれませんでした。

14ゴールを挙げた2010年も、J1昇格を決めた2015年も「救世主」


ガンバ大阪時代に14ゴールを挙げた2010年も救世主的な活躍を披露。by 紫色の血が流れる人が集う場所

それでもプロ入り5年目となる2010年に転機が訪れました。そのシーズンのガンバ大阪はFWに外国籍枠の全てとなる5人を使うという稀な編成で迎えていました。

しかし、2008年にAFCチャンピオンズリーグ優勝の原動力となったFWルーカス選手と、清水エスパルス時代にJリーグ屈指の点取り屋として鳴らした韓国代表FWチョ・ジェジン選手が負傷離脱。その上でペドロ・ジュニオール選手(現・ヴィッセル神戸FW)が途中出場からの途中交代で監督に中指を立ててユニフォームを投げる造反行為から退団となり、新加入だったブラジル人FWゼ・カルロス選手はオフ明けからの体重オーバーで全く戦力とならないまま早期退団。若手ブラジル人FWのドド選手も序盤はコンディションが上がらず、そもそもトッププロではないC契約の選手でした。

その惨状でチャンスを掴んだのが平井選手と、現在はドイツに活躍の場を移したFW宇佐美貴史選手(アウクスブルク)でした。

持ち前の瞬発系のスピードを活かした相手DFライン裏への抜け出しが冴えわたり、平井選手はJ1リーグで5位タイとなる14ゴールを記録。開幕からリーグ5戦未勝利が続いたチームの2位フィニッシュにも大きく貢献。

それでも、平井選手自身や当時の西野朗監督も「90分出れば1点は獲れるFW」と言いながら、「それ以外がない」事を指摘され、その後も毎年加入する外国籍助っ人FWとの厳しい競争を強いられる日々に逆戻り。

2012年には新潟へレンタル移籍したものの、リーグ戦では21試合出場で無得点に終わるなど散々な出来に。レンタル元のガンバ大阪も2012年シーズンにJ2降格を喫し、翌年にレンタルバックされたものの、ここでも宇佐美選手やレアンドロ選手(現・ヴィッセル神戸FW)からポジションを奪えず。遂に戦力外通告。

2014年、現在の福岡へ加入した平井選手でしたが、その頃には主なポジションは左サイドMFとなっていました。そして、現在の井原正巳監督が就任した2015年シーズン。序盤こそ苦戦したものの、チームがJ1昇格へ向けて無敗街道を進む中、平井選手はベンチにも入れない苦境に陥りました。

しかし、他チームにも研究され始めたシーズン終盤にチャンスを得た平井選手は終盤戦に2得点を挙げるなど、FWとしても左サイドMFとしても「流れを変える貴重な攻撃の切り札」としてJ1昇格に貢献しました。

つまり、平井選手はガンバ大阪でもアビスパ福岡でも救世主となったのです。

J1残留は絶対~バス移動が多くなるJ2は地獄


「2時間を越えるバス移動は寝ます」との平井選手。バス酔いが激しいため、J1残留が個人としても至上命題。by 木村敦志&星原健太 OFFICIAL BLOG

最後に小ネタを。

そんな平井選手の大きな弱点、それはガンバ大阪時代には名古屋グランパスとのアウェイ遠征などで「新幹線移動しているのでは?」と噂されたほどのバス酔い。明らかにゲッソリとした表情で、近場のバス移動圏内のアウェイ戦が苦手でした。

もし、このまま福岡がJ2に降格してしまえば、バス移動の遠征が地理的・財政的な観点から増えてしまいそうなだけに、平井選手としてはJ1残留へ向けて誰よりも必死になるはず。

バス酔いが激しいとはいえ、ガンバ大阪時代には地元・徳島の実家にいる弟の送り迎えをするために、大阪の北摂地域から起床10分後に運転して1時間以内で徳島へ到着する、というほど、自分で車を運転するなら「大丈夫」なのですが。車の運転でもトップスピードに乗るのが速いようです。

そんなバス移動急増を回避するため?奇跡のJ1残留へ向けて救世主的活躍を続ける平井選手に注目です!

モバイルバージョンを終了