リオ五輪で共に2得点のロサーノ&エリス~典型的なホンジュラスのFW、ブレイク必至の稀有なタレント
ロンドン五輪に続いてエースを担うFWロサーノ(左)は、典型的なホンジュラスのFWだ。by Football Shirts Voltage .com
現在のホンジュラスのFW陣は、どうしてもその偉大過ぎるレジェンドと比べられてしまうもの。ロンドン五輪に引き続いて今回も最前線に入る23歳のFWアンソニー・ロサーノ選手は一時はスペインの強豪バレンシアに引き抜かれた選手で、彼は上記したようなホンジュラスの典型的なFWです。
しかし、バレンシアではBチームでも成功を掴むことは出来ず。それでも国内リーグに復帰してからはゴールを量産し、昨季はスペイン2部のテネリフェで10ゴールを挙げる活躍を見せ、リオ五輪でもここまで4試合全てに先発出場して2ゴールを挙げています。
そして、先日行われた今大会の準々決勝・韓国戦で決勝点を挙げたFWアルベル・エリス選手は逆に、今までのホンジュラス的なアタッカーではなく技術力の高いドリブラーというニュータイプ。
筆者は彼が18歳の頃、U19代表チームに日本人GKコーチの山野陽嗣氏が在籍していた関係でよく見ていたのですが、誰よりもその技術の高さは際立っていました。多くの選手がドリブルでもフィジカル要素をメインに突破を仕掛ける中、エリス選手だけがブラジル人選手のような華麗なドリブルを披露する姿が印象的でした。
当時の山野氏との写真(下記)と当項トップの写真を比べてみると、エリス選手も一目瞭然でフィジカル的にも逞しくなっています。ただ、今大会の彼を見ていると、ピント監督が植え付けた戦術的な部分を上手い配分で体現した選手になっています。
準決勝ではエリス選手のポジションでは世界最高峰のタレントであるネイマール選手を擁するブラジルと対戦しますが、ホンジュラスが誇る20歳の逸材のプレーに注目していただきたいと思います。
【豆知識】ウィガンとホンジュラス
プレミアリーグで200試合以上の出場歴とFA杯のタイトルも手にしたDFフィゲロア。ホンジュラスとプレミアリーグを繋いだパイオニアだ。by ウィガンはしょうかくできますか?
最後に少し豆知識をご紹介します。上記して来たように、ホンジュラスの選手はフィジカル的に優れている上で、才能を持つ選手も一握りは存在しているからこそ、彼等は近年実力を向上させて来ました。
その陰には現在はイングランドの2部リーグに当たるチャンピオンシップに降格したままですが、2013年のFAカップ王者となったウィガン・アスレティックの影響も大きく残っています。
2005年のプレミアリーグ昇格から8年にも渡ってプレミアリーグの地位を維持する過程で、ウィガンはホンジュラスの強豪オリンピアと提携。DFマイノル・フィゲロア選手、MFウィルソン・パラシオス選手、エンドリー・トーマス選手、ロヘル・エスピノサ選手というホンジュラス代表選手を獲得してチームを強化しました。ホンジュラス代表チームが2010年の南アフリカW杯と2014年のブラジルW杯へ連続出場している強化の一端はウィガンが担っていたとも言えます。
資金的にビッグクラブと対抗出来ないのなら、移籍金が高騰する南米でなく、中南米のホンジュラスというルートを開拓したウィガン。この戦略は2ステージ制移行だけでアレルギー反応を起こし、ACLでの敗退を中国や中東の金満クラブの手法を批判するだけに終わる日本サッカー界にとっては非常に見るべきポイントの多い評価されるべき強化戦略として覚えておくとサッカーの見識にまた違った面白さを持てるのではないでしょうか?
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