G大阪FW宇佐美貴史だけでなく広島FW浅野拓磨も?日本人W獲得を狙うアウクスブルクを科学する!
by GAMBA OSAKA
ボスニア・ヘルツェゴビナに1-2と敗れ、準優勝に終わったキリンカップの日本代表。本田圭佑選手も香川真司選手も欠場した事もあり、決勝のメンバー構成は「飛車角落ち」とも言われました。
しかし、ボスニア戦で先制点を決めたMF清武弘嗣選手は大会直後にスペインの強豪・セビージャへの移籍が決定しました。
そして、そのMF清武選手の得点をアシストしたガンバ大阪所属のFW宇佐美貴史選手が移籍決定、さらに準決勝のブルガリア戦で自ら奪ったPKで代表初ゴールを記録したサンフレッチェ広島所属のFW浅野拓磨選手も欧州のクラブから注目されています。
Welcome to #FCA, Takashi #Usami! The Japan international has signed a four-year contract until 30th June 2020! 🇯🇵 pic.twitter.com/Go1nynKf6I
— FC Augsburg English (@FCA_World) 2016年6月20日
ボスニア戦で<4-2-3-1>の2列目で起用された清武選手、宇佐美選手、浅野選手は、日本では「飛車角落ち」と言われてしまいますが、欧州の移籍市場でも名前が上がるタレントです。
そして、移籍決定した宇佐美選手だけでなく浅野選手まで、日本の近未来を託しえる2人のタレントを獲得したい意向を持っているのが、ドイツのアウクスブルクです。
15位→8位→5位と右肩上がりの成長、韓国トリオも在籍するドイツの新興クラブ!
ク・ジャチョル選手by 塩韓スポーツ
1907年に創設されたドイツのバイエルン州アウクスブルクを本拠地にするFCアウクスブルク。2010-2011シーズンにブンデスリーガ2部で2位となり、クラブ史上初の1部昇格を勝ち取ったチームには、当時の日本代表MF細貝萌選手の姿もありました。
初の1部昇格以降は14位、15位とギリギリの残留で耐えた2年間を経て、2013-2014シーズンに8位、2014-2015シーズンには5位へと躍進し、今季はクラブ史上初のUEFAヨーロッパリーグにも参戦しました。
また、現在はDF洪正好選手(ホン・ジョンホ)、MF具滋哲選手(上記写真/ク・ジャチョル)、FW池東沅選手(チ・ドンウォン)の韓国人トリオも在籍しています。特にク・ジャチョル選手は2011年1月に21歳でドイツへ移籍して以来、延べ4クラブでブンデスリーガ130試合(22得点)に出場しているチームの柱です。
日本代表FW岡崎慎司選手(現・レスター/イングランド)が大活躍したマインツと共に、アジア人選手へのリスペクトがあるのも、宇佐美選手や浅野選手には好都合でしょう。
ク・ジャチョル選手も在籍した事もあるマインツには現在、宇佐美選手と日本代表でライバルになるFW武藤嘉紀選手が在籍しています。そして、昨季最初の対戦では武藤選手がハットトリックの活躍を披露して3-3の壮絶なドロー決着。
アウクスブルクの地域ライバルは絶対王者のバイエルン・ミュンヘンになりますが、マインツとの対戦の方がダービー以上に盛り上がるでしょう。特に来季のアジア圏の視聴率は半端なさそうですね。
ドイツ最高評価の若き名将バインツィール監督が移籍
ただし、来季へ向けては大きな懸念材料があります。クラブの躍進を支えて来たマルクス・バインツィール監督が来季から同じドイツの強豪クラブであるシャルケ04に引き抜かれてしまったのです。
現在のドイツは選手だけでなく指導者の世代交代にも成功しているのですが、その中でも41歳の青年監督であるバインツィール監督は最も評価の高い指揮官です。
アウクスブルクの監督には2012年5月から就任し、初年度はカウンター1本に徹した無骨なスタイルで最終節に15位でギリギリ残留。2年目はウイングを使ったサイド攻撃で積極策も取り入れて8位へ躍進。3年目にはプレッシングとそのペース配分のためのポゼッションも取り入れて5位へ大躍進。見事にEL出場権を獲得しました。
攻撃重視や守備重視、斬新なスタイルや哲学に定評があるのではなく、段階を追ってチームを発展させて来た事が評価されています。その過程ではウイングのアンドレ・ハーン選手(現ボルシア・メーヘン・グラッドバッハ)をドイツ代表へ輩出するなど、組織も個人をも成長させる事ができる指揮官なのです。
結果的にラストイヤーとなった4年目の今季、チームはELで見事に決勝トーナメントに進出。ベスト32でイングランドの強豪・リヴァプールに2試合合計で0-1と惜敗したものの、初めての欧州の舞台でも堂々とプレー。リーグ戦では12位に終わったものの、バインツィール体制の集大成として立派なシーズンを過ごしました。
そんなバインツィール監督が抜けるのですから、クラブにとっては大きな痛手になります。
高額な移籍金で迎えられる助っ人外国人FWとして
by SOCCER KING
バインツィール監督とは契約も残っていたのですが、その卓越した手腕を欲したシャルケが違約金を払って引き抜いたのです。「監督のサイクルは3年」とはよく言われますが、アウクスブルクが彼を留められなかったのは、クラブの規模にもよります。
アウクスブルクが1部昇格した時期に1年半に渡ってプレーした細貝選手は、日本の浦和レッズからドイツの強豪・レバークーゼンに完全移籍。そのままアウクスブルクへレンタル移籍して大活躍しましたが、クラブは彼を買い取れませんでした。
もちろん、細貝選手側がレバークーゼン復帰を希望したわけですが、アウクスブルクは欧州で実績もない日本人選手の移籍金も満足に払える資金を十分に持ち合わせているとは言えません。
初の1部昇格から5年連続で残留し、今や順位では中堅クラスに成長しましたが、まだまだクラブとしては小規模です。
報道の通りならば、そんなクラブが宇佐美選手のG大阪との契約条項にある違約金(移籍金)の満額である約1億8000万円を支払う、とのこと。彼等にとってはナケナシの大金です。
Jリーグのクラブに得点源として加入する助っ人外国籍選手と同じように、宇佐美選手もアウクスブルクには高額な移籍金で加入する大物助っ人FWになります。
宇佐美はポジションに関係なく結果を求められる存在に
by kicker
今季の中盤戦までは降格圏内を彷徨ったアウクスブルク。チームを救ったのは冬の移籍市場で加入したアイスランド代表FWアルフレッド・フィンボガソン選手(上記写真左)でした。彼は2年前にオランダリーグ得点王に輝いた実績もあるセンターFWで、アウクスブルク加入後は14試合出場で7得点を挙げました。
このフィンボガソン選手はレアル・ソシエダからのレンタル移籍なのですが、本稿執筆時点では未発表ながら完全移籍への移行が濃厚となっているため、彼が1トップに入る事が決定的です。
しかし、宇佐美選手はポジションがサイドMFになろうとも、もう「チーム事情で自分の得点は減っていますが~」などと言い訳する事は許されません。
浅野選手はともかく、すでに2011年から2013年にバイエルンとホッフェンハイムで計2シーズンドイツでプレーした宇佐美選手には結果しか求められない環境になります。
だからこそ結果だけを残し、「アウクスブルクに倍以上の移籍金を残してやる」くらいの思いでやってもらいたいと思います。
ユニークなツイートで有名なアウクスブルク
Our @EuropaLeague clash with @LFC is less than a month away! We’re making sure we’re ready for #Klopp & Co… #FCA pic.twitter.com/Q569xdiNQG
— FC Augsburg English (@FCA_World) 2016年1月26日
最後にもう1つだけアウクスブルクの特徴をご紹介します。
実はドイツでアウクスブルクと言えばユニークなツイートでも有名で、今季もリヴァプールとのEL決勝ラウンドでの対戦が決まっていた頃、上記のようなツイートをしました。
リヴァプールのユルゲン・クロップ監督がプレミアリーグのノリッジ戦での5-4の大逆転勝ちを収めた際、興奮し過ぎて眼鏡を壊してしまったのですが、「替えの眼鏡用意してます」との言葉と共にデザインをツイートしました。
Taste of home: Jürgen #Klopp was given a Bavarian treat at his post-match presser. Guten Appetit! #FCALFC #pretzel pic.twitter.com/VwBgHE9n44
— FC Augsburg English (@FCA_World) 2016年2月18日
また、そのリヴァプールとのホーム戦では、クロップ監督がドルトムントの監督を退任してから初めてのドイツ凱旋となりました。
現地到着後に、「夕食後にプレッツェル(ドイツ発祥の伝統的な焼き菓子)を頼んだよ。イングランドでは手に入らないないからね」とコメントを残していたので、試合後の記者会見場にメガサイズのプレッツェルを振る舞うサービスをした事をツイートしていました。
スコアレスで終わった試合とは思えないほど、笑顔に満ちた記者会見にするアウクスブルクのスタッフ達は素敵ですね。
もし、宇佐美選手と浅野選手が移籍するならば、日本のサッカーファンの皆さまもツイートをフォローしていくと楽しみも倍増するかもしれません。
日本人選手や韓国人トリオの応援はもちろんですが、様々な魅力のあるアウクスブルクの応援を楽しみましょう!