レノファ山口は「和製ドルトムント」なのか?走る攻撃サッカーを解説

2016年5月15日J2第13節セレッソ大阪対レノファ山口戦で衝撃的な結果に終わりました。レノファ山口は昨季までJ3に在籍していたクラブであり、J2でも屈指の戦力を誇るセレッソ大阪を4-2で圧倒しました。山口の戦いぶりはドルトムントの走るサッカーに相似しています。今回レノファ山口の走る攻撃サッカーを取り上げます。


by 宇部市

J3優勝からJ2で快進撃

昨シーズンのJ3でレノファ山口は快進撃を披露しました。開幕2節から最終節まで首位をキープして、圧倒的な強さで優勝します。最終的に勝ち点は町田ゼルビア(双方78点)に並ばれますが、得失点差+60(得点96失点36)と驚異的な攻撃力を示しました。得点ランキングも1位から3位は山口の選手(1位岸田選手、2位福満選手、3位島屋選手)であり、J3では個の力も群を抜いていることが分かります。そして、今季のJ2でも6位(2016年5月28日現在)に位置しており、昇格クラブとは思えない活躍をしています。


by 宇部日報社

ドルトムントとレノファ山口

山口の攻撃は豊富な運動量とチーム一丸となって仕掛けるプレスが強味となっています。このサッカーはドイツの強豪ドルトムントのサッカーに似ています。同クラブはゲーゲンプレッシング(ボールホルダーに対してチーム全体で激しいプレスをかけて、高い位置からボールを奪い取ってカウンターに繋げる戦術)でセンセーショナルを起こし、ブンデスリーガ2010-2011、2011-2012シーズン2連覇を達成。ドルトムントはパス回しではなく、縦に速いショートパスを繋げて攻撃を加速させます。その点レノファ山口は「豊富な運動量、ゲーゲンプレス、縦に速いショートパス」を駆使した攻撃サッカーであるため、ドルトムントの攻撃スタイルと類似しています。


ボルシア・ドルトムントby SwitchImageProject

セレッソ戦で見せた高速攻撃

上述したセレッソ大阪戦は正に圧巻でした。山口の選手達は90分足を止めず、高い位置からプレッシャーを与ながらボールを奪い高速カウンター。流れるような攻撃で桜を蹂躙しました。選手個人の力は、セレッソが山口より上だと思われます。公開されている選手の人件費で比較するとレノファ山口は1億7000万円(2015年度人件費)で、セレッソ大阪は16億8000万円(2014年度人件費)と約10倍の差がありました(山口はJ3在籍時の人件費のため、J2のセレッソと単純比較はできません。あくまで、参考程度にお願い致します)。個の力で足りない部分はチーム力で補う、彼らは一致団結という言葉がよく似合うチームなのです。まるで、バイエルンを圧倒したドルトムントのように、ピッチを縦横無尽にオレンジのユニフォームが駆け抜けました。

レノファのキーマン達


by RENOFA YAMAGUCHI

このチームのキーマンは、4月の月間MVPに輝いた庄司悦大選手です。今季15試合全てフル出場(5月28日現在)、4月にはJ2最多のパス(508回成功)と縦パス(185回)を成功させています。彼が中盤のブレーンになり、カウンターの起点を作っています。庄司選手のような正確なパスを供給できる選手がいなければ、山口の攻撃サッカーは成り立ちません。他にも今年度加入したチーム最多得点者の中山仁斗選手や、攻守の要となっている島屋八徳選手が活躍しています(彼ら以外にも鳥養祐矢選手や若手の小池龍太選手も注目して頂きたいです)。彼らは一人一人突出した選手ではありませんが、チームワークと走力で強豪相手に拮抗した試合ができるのです。そして、上野展裕監督はチーム一人一人の個性を理解した上で、J2屈指の攻撃的スタイルを作り上げた手腕は賞賛以外ありません。山口が起こす旋風は、上昇気流のように上へ上へと順位を押し上げていくかもしれません。

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