アーセナルに現れた新鋭=アレックス・イウォビ〜叔父・オコチャ越えなるか?

アレックス・イウォビ1
by Arsenal

イングランド・プレミアリーグ第33節、アウェイでのウエストハムとのロンドンダービーで2点先行しながら3-3の引き分けに終わったアーセナル。奇跡の大逆転優勝の可能性も著しく低くなってしまいました。
しかし、この日の2アシストを記録したのは19歳のナイジェリア代表FWアレックス・イウォビ選手。直近のエヴァートン戦、ワトフォード戦では2試合連続得点も含むプレミア初先発から3試合で2得点2アシストを記録しています。
アーセナルでは突如現れる若手が大ブレイクしていく姿は毎年恒例ではありますが、今季はこのイウォビ選手が大事な終盤戦に入って大きなインパクトを残して定位置を確保しています。

「ナイジェリアサッカー史上最高の10番」叔父・オコチャ


by World Soccer Classic

そんなイウォビ選手はナイジェリアサッカー界のレジェンド選手だった”ジェイジェイ”・オコチャ元選手を叔父に持つサラブレッド選手でもあります。
ナイジェリア代表は、”スーパー・イーグルス”と呼ばれ、1996年のアトランタ五輪では”マイアミの奇跡”を起こした日本を下すなど2勝1敗でグループリーグを突破。(日本、ブラジルも共に2勝1敗で並んだ末に得失点差で日本が敗退)決勝トーナメントでもメキシコ、ブラジル、アルゼンチンという強豪国を下して金メダルを獲得。2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得するカメルーンと共にアフリカ旋風を巻き起こしたチームでした。
オコチャ選手は22歳で挑み、金メダルを獲得したアトランタ五輪はもちろん、W杯でも1994年のアメリカ大会、1998年のフランス大会に続き、2002年の日韓大会と合わせて3大会連続で出場。しかも全大会でナイジェリア代表の背番号10を着てトップ下としてプレー。
特にアフリカ人選手特有のリズムとテクニック、スピードを兼ね合わせたドリブルはアート作品のようでした。中でも、ドリブル時にボールをまたぐシザースというフェイントの組み合わせ方が凄まじく、ボールをまたぐスピードが速いだけでなく、内側からも外側からもまたぐのを同じプレーの中に混ぜ合わせられる稀有なドリブラーだったのです。球離れが良いとは言えませんが、頻繁に足裏を使ったキープやパスセンスも持ち合わせていました。
間違いなく、「ナイジェリアサッカー史上最高の10番」と語り継がれる選手でした。

現代サッカーに適応した効率型のイウォビ


by Wikipedia

オコチャのような独特のリズムやセンスも持ち合わせる甥のイウォビ選手は、若手の育成に関しては世界最先端とも言えるアーセナルに幼少期から所属しており、現代サッカーのエッセンスも吸収しています。
パスセンスも備えた球離れの良いイウォビ選手は、オコチャほどの独創的なプレーは魅せませんが、プレミアリーグ初先発から3試合連続で得点に絡むなど”効率的”にプレーできる大人な選手にも見えます。
また、UEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦第2レグでは、世界王者のバルセロナのホームでも臆せずにプレーしたり、チームメートでも同じ2列目にチームの2大スターであるドイツ代表MFメスト・エジル選手とチリ代表FWアレクシス・サンチェス選手にも遠慮しない部分を見ても、メンタルの安定している選手だと言えるでしょう。

プレミアリーグでのオコチャ越えなるか?

叔父・オコチャは4年間プレミアリーグでもプレーしたものの、所属したボルトン・ワンダーランズでは古典的な英国スタイルを標榜し続けるサム・アラーダイス監督(現・サンダーランド監督)の下では”トップ下”という概念やポジションがないサッカーでボランチのような役割を与えられて苦戦。極上のテクニックを魅せる選手としてボルトンでは愛されたものの、W杯で披露したような圧倒的な存在感をプレミアリーグの舞台では披露できませんでした。
甥のイウォビ選手はアーセナルの下部組織で育った選手だけに、叔父が果たせなかったプレミアリーグの舞台での大きな成功を掴む日も近いかもしれません。

何より叔父譲りの、観ていて楽しいプレースタイルを持つイウォビ選手のプレーに注目です!

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