マンチェスター・ユナイテッドには、宿敵のファンからも称えられるストライカーがいる。それがイングランド代表のFWマーカス・ラッシュフォード(22歳)だ。
ラッシュフォードはコロナ禍のロックダウン中に、慈善団体と協力して貧困家庭に食事を提供すべく2000万ポンド(約27億円)の寄付を集めた。さらに政治家に直接働きかけ、夏休みに無料給食を提供しないと決めた政府の決定を覆らせた。
こうして国中から称賛を浴びることになったラッシュフォードは、最近も大手スーパーマーケットなどと手を組んで子供の飢えを防ぐために“タスクフォース”を発足。無料給食の範囲拡大や、幼い子供を持つ親への児童手当の増加などを訴えている。
こういった取り組みに感銘を受けた一人が、ロンドン市長のサディク・カーンである。英紙『Daily Mirror』によると、カーン市長はラッシュフォードに手紙を送って同選手への協力を約束したという。しかし、そこにはちょっとした問題もあった。
というのも、カーン市長は根っからのリヴァプール・ファンなのだ。そのため手紙の最後に「あなたの素晴らしい働きに感謝します。そして今後の健闘を祈っています(アンフィールドでの試合以外はね!)」と付け加えたのだ。
これに対してラッシュフォードは「僕は、他の地域と同じようにリヴァプールのためにも全力を尽くす。この問題はサッカーや政治なんかより大きなことなんだ」とツイート。するとカーン市長も「リヴァプール・ファンとしてユナイテッドのスター選手を称えるのは簡単じゃなかった。でも、この問題に関しては君に賛同する」とリツイートした。
リヴァプールの左SBアンディ・ロバートソンも、ラッシュフォードを称える一人である。「彼は凄いことをやってのけた」と英紙『The Times』に語ったロバートソン。「パンデミックの期間中、みんなが口にした言葉は2つ。“マーカス”と“ラッシュフォード”だった。もしかすると、彼はアンフィールドでスタンディングオベーションを受ける史上初のユナイテッドの選手になるかもね。」
宿敵リヴァプールのファンからの支持も勝ち取ったラッシュフォード。果たして本当にアンフィールドで歓迎されるのか。そして、その時にスタンドにサポーターは戻ってきているのか。注目の対戦は、来年1月に予定されている。
💪 @MarcusRashford#MUFC pic.twitter.com/WNlRChXF6i
— Manchester United (@ManUtd) September 14, 2020