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鹿島アントラーズ経営権をメルカリが取得 名門の新たな船出

佐藤文孝

2019/08/09 12:36

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NEWS

現アジアチャンピオンであり、Jリーグ発足当初から幾多の名場面を彩ってきた鹿島アントラーズ。いわゆる「オリジナル10」のクラブとして様々な歴史に名を刻んできた名門に新たな転機が訪れた。フリーマーケットアプリ大手メルカリの鹿島アントラーズの経営権取得が先月30日に発表された。

■相次ぐ新興企業の参入

サッカー界では近年、クラブ経営権を新たな企業が買い取る例が増えている。主にネットやサービス企業の参入が目立ち、一昨年のジャパネットホールディングス(Vファーレン長崎)、昨年にはRIZAPグループ(湘南ベルマーレ)とサイバーエージェント(町田ゼルビア)がプロサッカークラブの経営に乗り出した。今回のメルカリも含め、何れも新興企業であり、30年に及ぼうとしているJリーグの歴史に新しい風が吹き込んでいると言って良いだろう。メルカリはアントラーズのこれまでの運営会社である日本製鉄などから株式約6割を買い取ることになり、8月30日に経営権が移る予定となっている。メルカリの小泉文明社長は「フリマアプリは女性の利用が多く、(鹿島買収は)男性へのアプローチする上では大きい」と、ファン層拡大に期待を寄せている。

■J屈指の強豪として

住友金属工業を母体として1991年に発足した鹿島アントラーズ。クラブ始動時よりブラジルの英雄ジーコを招聘し、プロ意識をチーム全体に浸透させ、リーグ初年度より強豪として存在感を示し続けてきた。象徴的存在としてクラブの方向性を固めたジーコの思想である「献身・誠実・尊重」は鹿島というクラブを根底から支え、どの時代でも選手は貪欲に勝利を求め続けることとなり、その結果が計20ものタイトルとなって表れている。

日本で「常勝軍団」と呼べる唯一のクラブであり、日本サッカー界、そしてJリーグの先頭に位置し続けてきたアントラーズの今回の経営権譲渡は今後の日本のサッカー界においてどんな「化学反応」がみられるか、ピッチ上への影響も含め大きな注目となることは間違いない。小泉社長はホームスタジアムの茨城県立カシマサッカースタジアムについても現在の4万席規模から2万席後半規模への変更も見据えていることなどから、歴史、伝統のある名門が巨大企業の子会社という枠組みから形を変え、新たな経営企業の元、どのようにそのスタイルを築き上げていくか。この夏、アントラーズは有望な若手がチームを離れ、新たな挑戦を選んだ。強豪の宿命とも言える血の入れ替えが行われる中、クラブ組織としても新たな景色が広がっていくことは確実だ。

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