2019シーズンにおいて、J1の浦和レッズはクラブ創設以来の大幅な席種変更に踏み切った。
ここ3シーズンは連続でタイトルを獲得しているものの、スタジアムの平均観客動員数は、全盛期の06〜09シーズンの4万人越えには届かず、3万人代と伸び悩んでいる。
今回行った大幅な席種変更は、観客動員復活の足がかりとなるか、現地でのサッカー観戦のあり方も含め考えてみたいと思う。
新設された席種について
新たに新設されたのが、
・ファミリーシート (6,000円)
*3人シートの場合
・ウェルカムシート (2,100円)
・サッカーのまち浦和シート (3,000円)
・企画シート (企画の内容によって変動)
の四種席である。*全て一般前売り料金
より座席割を細かくし、なかなかスタジアムに来れなかったり、初めて来るという人が手を伸ばしやすい座席を作ったという印象で、他の指定席よりもリーズナブルなものがほとんどだ。
また、熱狂的で、怖いというイメージもある人がいると思われる「北ゴール裏」とは反対の南スタンドに座席を作った配慮も、ゴール裏のサポーターと、新規のサポーター両方についてしっかり考えられているなと感じる。
企画シートの可能性
そんな新設された席種の中で個人的に注目しているのが、メインアッパーに設置された「企画シート」である。
内容は映画「翔んで埼玉」とのコラボ特典や、朝田パティシエによるレッズとのコラボスウィーツ、ロックフェス「VIVA LA ROCK」との限定コラボグッズなどを、席代プラスαでもらえるというもの。
この企画シートはかなり攻めた試みだと個人的には感じる。なぜなら、浦和レッズのサポーターの共通理念みたいなものから、少し逸脱しているようにも思えるからだ。
ご存知の方もいらっしゃると思うが、浦和レッズはピッチ内にマスコットを入れない。その背景には、ピッチは戦う場所。催しモノではなく「サッカー」を観に来ている。という感覚を多くのサポーターが共有しているからである。
しかしこの席種について元からのサポーターの不満の声はほとんどなく、グッズをもらえたり、美味しいお菓子をもらえるという様な「コト」をサッカー観戦プラスαで求める人に寛容な人が増えてきた時代の流れをとった、いいタイミングでの試みだと感じる。
4/5(金) 横浜FM戦【企画シート】販売期間は、明日4/1(月)23:59まで‼️
金J企画シート・クラフトビール飲み比べセット+おつまみ付き(机付き/3席セット)🍻
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※数量限定、予定販売枚数が無くなり次第終了
詳細➡️https://t.co/RUWkjG9MmJ …#urawareds #浦和レッズ pic.twitter.com/0SQjqcckN1— 浦和レッズオフィシャル (@REDSOFFICIAL) 2019年3月31日
今回の席種変更について、浦和レッズはHPでこのように言及している。
2020年の東京オリンピックを見据え、埼玉県が埼玉スタジアムのホスピタリティを高めることを目的として、メインロアースタンドのホスピタリティエリア拡充など各種設備改修を予定していることに連動し、浦和レッズとしましてもさらなる強力なホスピタリティアップを目指して、さまざまな取り組みを行っていく一環で着手するものです。
つまりこれから様々な取り組みを行う最初の一歩として席種変更を行ったそうだ。
事実最近では選手、スタッフが浦和駅や、さいたま新都心駅などでチラシを配るなど、浦和レッズを感じてもらえるきっかけ作りにも積極的になっている。
娯楽が多様化し、試合の動画はDAZNの参入により、スマホやパソコンでより気軽に観る事ができるようになった。そんな中、人それぞれの可処分時間を、スタジアムでの試合観戦に充ててくれるようにするのは容易ではないが、地道な活動を行い、常連はもちろん、新規や最近足が離れているファンにスタジアムに来てもらうことが観客動員復活には不可欠である。