③FW陣がことごとく絶不調。新加入のスリマニもダメ。岡崎の真価は発揮されるのか?
by fourfourtwo
レスターのFWの選手陣がことごとく得点をとれてない。第25節を終えてのチーム内得点ランキングはヴァーディーとスリマニが1位タイの5得点。続く2位のマフレズが3得点とあまりにも低調な記録のままシーズン終盤を迎えようとしている。
新加入のスリマニはこれでもまだ、今のレスターのチーム状況を考えれば結果としては残せている方だ。問題はヴァーディとマハレズが極度の不振状態に陥ってしまっていることだろう。
ヴァーディーは昨シーズンリーグ戦35試合に出場し24得点を挙げ、プレミアリーグ新記録となる11試合連続ゴールを達成したり、年間最優秀選手賞を受賞するなど奇跡の優勝の立役者となったのだが、今季はリーグ戦22試合に出場し5得点しか挙げることができておらず、大きく得点数を減らしている。シーズンを通して2桁ゴールには届かずに終わってしまう可能性も出てきた。
2年目のジンクスともいえるこの状況は数値にも如実に表れている。英サッカー専門メディア「Whoscored.com」によると、昨季に比べて1試合あたりのシュート数が3.2→1.2、シュート決定率が20.9%→12.5%、カウンターアタックでのシュート数が12→0、1試合あたりのドリブル数が1.1→0.3と、ほとんど相手チームにFWとしての仕事をさせてもらえていないということがわかる。
ヴァーディーを中心とした高速カウンターがレスターの攻撃のストロングポイントだったのだが、カンテ不在による中盤のカットからの前線への配給が少なくなったことと、囮役としてヴァーディのために影の動きをしていた岡崎の起用が、スリマニの加入によって減ってしまったことは原因としてあるだろうが、相手チームもレスターの戦術研究を相当しているのでこうなってしまったことは仕方がないだろう。マハレズもおそらくは同様の原因によって得点を挙げられなくなってしまっている。
筆者は岡崎の存在がレスターにとって終盤戦でかなり大きな意味を持つと推測する。岡崎がいると相手チームのボランチやセンターバックのビルドアップのスペースを潰すことができ、最前線での守備ができる。敵からの縦パスを切ることができるのだ。今季の試合を見ると、その貢献度は昨季からまったく落ちておらず、トップ下をこなしたり、CLで素晴らしいゴールを決めたりとチーム内でフレッシュな状態を保てているのは岡崎だけと言っても過言ではないだろう。もう少し起用される機会が増えてくればチーム状況を変えるキーマンそして前線と中盤のリンクマンとしての活躍ができるかもしれない。
プレミアリーグでは降格圏すれすれの17位と低迷。しかしチャンピオンズリーグでは16強入り。この2つの成績が示す因果関係とは?
by rte.ie
プレミアリーグでは昨季のレスターはあくまで伏兵であり、どんな策があるのか未知数な挑戦者だった。ところが、奇跡の優勝を果たしてしまった次のシーズンである今季は前年度の王者として、国内の対戦相手と戦わなければならなくなった。レスターの戦術や選手の好守の動きのパターンは分析され、必要以上に攻めてこずボールロストを回避して、露骨なカウンター狙いをするチームが増えた。よって苦戦は必然の結果だったのだろう。
そして、昨季はオフだった水曜日にCLの試合が入り、選手のローテーションが激しくなってしまったことも低迷の原因の1つであろう。CLではクジ運にも恵まれて、レスターとそれほどチーム力が離れていないチームとの試合を1つもとりこぼすことなく、6試合4勝1分1敗で勝ち進むことに成功しグループステージ首位通過を決めた。
つまり、CLでは昨季からの勢いをそのまま維持できるような、主力の固定メンバーでフルスロットルで戦うことができたのだが、国内リーグではバーディやマハレズを休ませて消耗させないようにし、週替わりで先発をいじる。
よってリーグではそれら主力を休ませ、前線のスリマニ、ムサ、岡崎という三者三様のFWの交代人選により周囲との連携をそのたびに微調整しなければならず、ラ二エリの采配に選手達が混乱をしているのだ。
CLで敗退すれば邪念と疲労がなくなり、プレミアの試合のみに集中して取り組むことができ、チームとしてのシンプルな方向性も見えてくるだろうが、ラウンド16まで勝ち進んでしまったため、降格のリスクは高くなってしまった。もしかすると、史上初めて欧州制覇と国内リーグ2部降格を同時に経験するチームになる可能性もある。そのジレンマとどう付き合っていくかは、ラ二エリ監督の采配が鍵となるだろう。
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