プラチナ世代の台頭も阻んだ”代表運”
宇佐美や柴崎等のプラチナ世代が代表に定着できないのは五輪イヤーを20歳で迎える”代表運”のなさにも起因。
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しかし、彼女は年代別の日本代表に招集された事もない全国的には無名の選手。つまり、外国人選手との対戦経験がほとんどない選手です。
ただ、それは”代表運”がなかったのかもしれません。
男子サッカーでは五輪にはオーバーエイジを除くと23歳以下しか出場できません。この4年に1回の大きな国際舞台に最高年齢の23歳で迎えるか20歳で迎えるかでは、五輪のメンバーに選出されるかどうかにも大きな違いがあります。そして、それ以降の年齢制限のないフル代表へもその五輪代表としての実績が大きなステータスとなるため、五輪イヤーを何歳で迎えるか?は”代表運”として重要な要素です。
FW宇佐美貴史選手(アウクスブルク/ドイツ1部)やMF柴崎岳選手(テネリフェ/スペイン2部)を筆頭とする男子の1992年前後生まれの世代は、高い技術と豊富なアイデアを持つタレントが勢揃いし、「プラチナ世代」と称されています。ただ、彼等はロンドン五輪を20歳前後で迎えたため、2009年のU17W杯に出場した選手から五輪メンバーに選出されたのは、宇佐美選手とFW杉本健勇選手(セレッソ大阪)の2名のみ。彼等がフル代表に定着できなかった理由はメンタル面などを挙げられる事が多いですが、筆者はその要因はこの”代表運”にもあると考えます。
女子の五輪には年齢制限はありませんが、逆に20歳を過ぎると年代別代表での活動が実質的になくなってしまいます。つまり、高校卒業後の2年後までに圧倒的な実績を挙げるか、その年代別代表監督の志向するサッカーに余程の相性が合うかでないと、才能を汲み上げるシステムにはならない現実がそこにはあります。
千葉選手の場合は、昨年3月に毎年スペインで開催されているラ・マンガ国際大会へU23代表として選出されたのが初めての代表戦で、当時はU23代表監督も務めていた高倉監督が見出した選手。U23代表は年間通した強化日程はなく、ほぼ「23歳以下のなでしこリーグ選抜」チームですが、そこで結果を出し、高倉監督のフル代表監督就任と共に、千葉選手も大抜擢に至りました。
同期には猶本光選手(浦和レッズレディース)や田中陽子選手(ノジマ)のようなクリエイティヴなMFがいるとはいえ、高倉監督は2013年にU16代表を率いてから上の年代へと持ち上がっているので、あと2,3歳若ければ千葉選手もユース年代で国際経験を積めたのかもしれません。
FWの人選の変化で生まれた機会~アルガルベ杯で代表の主力定着へ!
年齢や実績に関係なく代表選手の選考を行い、千葉を代表に定着させた高倉監督。
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そんな高倉監督が率いる新生なでしこジャパンは、佐々木則夫前監督時代の<4-4-2>から、<4-2-3-1>や<4-1-4-1>などの1トップシステムをメインに据えてチームを作っています。
その1トップの人選自体もこれまでの主軸だったFW永里優季選手のような大柄でポストプレーが巧みなタイプではなく、FW岩渕選手や、FW横山久美選手のような小柄でも個人技で局面を打開できる選手が起用されています。これまでは守備負担の多かったサイドでの起用により、活かしきれていなかった彼女たちの”個”を全面に出すチーム作りが高倉監督のカラーとなっています。
そして、それを支えるのが、代表ではトップ下に入る千葉選手。これまで2トップ制でFWがこなしていたポストプレーや空中戦、起点作りをこなし、1トップの個人技で打開できるタレントをサポートし、守備の負担を軽減させる。外国人選手相手にも競り負けないどころか相手が倒れるほどの身体能力の高さも活かせる千葉選手には、この役割が見事にハマっています。
高倉監督体制初の合宿最初の練習メニューが1対1のトレーニングだったのですが、サッカーの根本的な部分の強さを持つ千葉選手は高倉メソッドに合致した選手。経験が少ない事で自信がない面もありますが、高倉監督は、「だからこそ、人の話をまっすぐに受け止める素直さや、自己犠牲をいとわないチームへの献身がある」と、プラス面として評価しています。
3月のアルガルベ杯では、新主将の熊谷選手をセンターバックとボランチのどちらで固定するかにもよりますが、MFの阪口夢穂選手、宇津木選手という後方のセンターラインに続き、前線の構成や軸を定める見極めが行われると考えられる中、千葉選手には代表の主力にもなりえるチャンスが廻って来ています。
ミスをもカヴァーできてしまう運動能力などは逆に課題で、まだまだ粗削りな千葉選手ですが、その特徴は他の選手にはない武器です。今後、経験を積んで自信を掴みながら精度を上げる事でプレーも整理していけば良い。それぐらい、彼女は試合の中で多岐に渡るタスクをこなし、日進月歩で成長を続けています。
アルガルベ杯日程
日本はB組に入るアルガルベ杯はフジテレビ系列で全国生中継。
by womenssoccerunited.
そんな千葉選手も出場するアルガルベ杯はフジテレビ系列全国生中継(一部地域を除く)。
彼女の活躍にも注目しつつ、高倉監督体制初の国際大会となる、なでしこジャパンを応援しましょう☆
【第1節】VSスペイン
2017年3月1日14:45(日本時間 2017年3月1日23:45)
【第2節】VSアイスランド
2017年3月3日14:45(日本時間 2017年3月3日23:45)
【第3節】VSノルウェー
2017年3月6日14:45(日本時間 2017年3月6日23:45)
【順位決定戦】VS 未定
2017年3月8日14:45(日本時間 2017年3月8日23:45)
【プロフィール】
名前:千葉 園子
生年月日:1993年6月15日(23歳)
出身:大阪府大阪市
身長:162cm
体重:48kg
所属クラブ:FC:日ノ本学園高、姫路日ノ本短期大→ASハリマ・アルビオン(2013-)
ポジション:FW,トップ下
背番号:10(代表では8が定着)
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