もはや芸術!現役の若い選手でフリーキックの名手ベスト5!
セットプレーから得点の匂いがするチームには必ずと言っていいほど、フリーキックの名選手がチーム内に存在しています。
通常の試合の展開の中でのゴールと違って、フリーキックやコーナーキックは試合の流れとは一切関係なく、ピンポイントで得点を挙げることができる貴重な場面。お互いのチーム全体の実力や調子にどんなに差があろうが、キッカー1人の資質のみで、それをひっくり返すことができます。よってセットプレーを蹴る選手のキックの精度のみに、すべてのチャンスがかかることになります。
それだけフリーキックの名手の存在は重要なのです。さて、現役の若手サッカー選手で、ワールドクラスのフリーキッカーと呼べるレベルにあるのはこの5人でしょう。
現役フリーキックの名手5位 クリスティアン・エリクセン
まずは、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー所属のMFクリスティアン・エリクセン。
デンマーク代表の中心的な選手へと成長した期待の若手選手で、プレーの特徴としてはサッカーIQが高く、味方選手の動きを生かしつつパスを出したりできるクリエイティブな選手です。
いかがでしょうか?コントロールがとてもよくて、弧を描くように斜めに落ちていくボールの軌道からは、かつてのデビッド・ベッカムを彷彿とさせます。おそらくエリクセンは、直接フリーキックのみならず、間接フリーキックの精度も相当高いはず。決まらなくてもバーに当たったり惜しいキックが多く、プレミアリーグでは屈指のフリーキッカーといえるでしょう。
現役フリーキックの名手4位 ズラトコ・ユヌゾビッチ
ブンデスリーガのブレーメンに所属する、オーストリア代表MFズラトコ・ユヌゾビッチ。
ユース世代から各年代で代表選手として招集されてきた実力派の選手で、現在はA代表でスタメン(主にトップ下の位置で)として活躍しています。
15‐16シーズンの対ドルトムント戦で股抜き3連発を決めたりと、ドリブラーとしてはかなり技巧派で細かいタッチが特徴的なプレイヤー。
フリーキックの精度ももちろんかなり高く、2015年にイギリス「whoscored.com」が発表していたFK決定率ランキングで世界5位に入るほどの精度を誇っています。
フリーキッカーの性質としては、ゴールの隅をカーブをかけて丁寧に狙うタイプで、ボールのスピードがあったり無回転のボールを蹴ることができたりするわけではないものの、落ち着いて正確にゴールを狙うことができるので頼りになる選手です。
現役フリーキックの名手3位 ディミトリ・パイェ
リーグ・アンのオリンピック・マルセイユに所属する、フランス代表FWディミトリ・パイェ。
UEFA EURO 2016では3得点を挙げて大活躍したことも記憶に新しいですね。A代表では主力の中心選手として、2018年W杯ロシア大会に向けてさらなる活躍が期待されています。
もちろん、フリーキックの名手であり、2016年に英フットボール専門メディア「コパ90」が選定した現役最強フリーキッカートップ5では堂々の1位にランクインしました。
コントロールももちろん素晴らしいのですが、特筆すべきはとても落差のあるドライブ回転のボールを蹴ることができることでしょう。これだけ縦回転で落ちるボールを蹴れる選手はかなり珍しいです。似ている選手をあえて挙げるとすれば、アンドレア・ピルロが近しいかもしれません。ある程度ボールのコースを予測できたとしても、これだけ落ちるボールをGKがセービングすることは至難の業です。まさに芸術的なフリーキッカーといえるでしょう。
現役フリーキックの名手2位 ハカン・チャルハノール
ブンデスリーガのバイエル・レバークーゼンに所属する、トルコ代表MFハカン・チャルハノール。
“ポスト・ジュニーニョ・ペルナンブカーノ”や“次世代のFK職人”など、数々の呼び名で称賛の声を浴びる天才的なフリーキッカー。もちろんFK以外でも2列目左サイド、トップ下、ボランチなど多くのポジションをこなせるユーティリティー性の高いプレイヤーです。
やはり何度見てもこの人のフリーキックは恐ろしいですね。キックの多彩さやボールコントロールもさることながら、これだけスピードのあるボールを蹴られてしまうと、キーパーも動くことができなくなってしまいます。そして、かつての“魔法の右足”ことジュニーニョ・ペルナンブカーノがそうだったように、近距離でも遠距離でもどんな角度でも直接フリーキックをゴールネットへと叩き込むことができます。今後の成長を考えると、本当に末恐ろしいフリーキッカーです。
現役フリーキックの名手1位 ミラレム・ピャニッチ
セリエAのユヴェントスに所属する、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFのミラレム・ピャニッチ。
彼こそが現在世界最高のFK職人といえるでしょう。間違いなくナンバー1です。
13‐14シーズンの数字ですが、イギリス『whoscored.com』が発表した、直接FKランキングでは38本のフリーキックを蹴って、7本成功していたので、決定率は18.4%でした。つまり、5本蹴れば1本入る確率ですね。これは相当高い数字です。リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドですら、それぞれ5.7%と6.8%という決定率だったので、当代随一といっても文句ないでしょう。
ピャニッチの武器は落ちる球筋にあります。ボールのスピードがあり、落差が大きい球をボールを蹴れるので、壁でブラインドになっているキーパーにはなかなかとれません。そして、駆け引きもとても上手で、どのタイミングで蹴るかもわかりづらくキーパーとしては非常に嫌な相手でしょう。
日本人選手のフリーキックでの歴史的な快挙といえば?
また、日本人選手でいえば中村俊輔はみなさんご存知の代表的なフリーキッカーでしょう。セルティック時代の中村俊輔はワールドクラスのフリーキッカーとして世界に名を馳せました。2006年11月21日に、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージで、中村俊輔がマンチェスター・ユナイテッド相手に決めた直接FKは伝説的なフリーキックとして今でも語り継がれています。
キーパーはオランダ史上最高のキーパーと評されるファン・デル・サールというのもポイントを上げる要因ですが、見てくださいこの美しいボールの軌道を・・!この精度のフリーキックを止めることができる人間は地球上には今も昔も存在しません。これが決勝点となり、彼は日本人として初めてCL決勝トーナメントへと進出しました。
ちなみに、試合こそ3‐2で負けてしまったものの、マンU戦の初戦でも中村俊輔はオールドトラフォードでフリーキックを叩きこんでいます。
あまりにも精度の高いフリーキックに、ファン・デル・サールはピクリとも動けていません。すごいですよね~。格上のマンチェスター・ユナイテッド相手にCLで2発も立て続けに直接FKを決めてしまったのですから、それはもう伝説と呼ばれても誰も異論はないでしょう。
さて、このように世界ではワールドクラスのフリーキックの名選手が続々と登場してきています。日本代表やJリーグの選手にも中村俊輔の系譜を継ぐような、素晴らしいフリーキッカーが現れることを期待したいですね。