Shooty

元日から年間ベスト候補のスコーピオン弾!アーセナルFWジルーは「プレミアで最もセクシーな男」

hirobrown

2017/01/04 22:01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク

NEWS

 ウインターブレイクがとられ、一時中断期間に入っている欧州サッカー界。

 しかし、イングランドのプレミアリーグは「他の人より多く稼いでるサッカー選手は社会のためにこの時期も一生懸命働かないといけない」との理念から、リーグカップやFAカップの日程も重なる事で、この時期はウインターブレイクがないどころか、1シーズンの中で最も厳しい日程が続いています。中1日は当たり前で、チームによってはまさかの”連戦”がある事もあります。

 そんなプレミアリーグは元日からもリーグ戦が開催されていましたが、新年早々に『年間ベストゴール』の最有力候補にも挙げられそうな華麗なゴールが決まりました。

 元日にロンドンのエミレーツ・スタジアムで行われたアーセナルVSクリスタル・パレスのロンドンダービー。前半17分に決まったホームのアーセナルのフランス代表FWオリヴィエ・ジルー選手が決めた華麗な一撃です。

 自身の背中上空に上がったクロスボールを、ジルー選手がサソリが尻尾で攻撃するかのように合わせた、「スコーピオンキック」が決まりました。(下記動画参照)


アーセナルFWジルーの『スコーピオン弾』

アーセナルらしい華麗なゴール


ジルーが”サソリ”になる直前。フィニッシュに至る流れも『年間ベスト候補』の華麗なゴールだった。by RTE

 この華麗なスコーピオン弾はインターセプトからのカウンター攻撃で決まりましたが、実に”アーセナルらしいサッカー”からのゴールでした。

 右サイドMFのルーカス・ぺレス選手が自陣にプレスバックしてインターセプトすると、拾った右サイドバックのエクトル・ベジェリン選手がシンプルに縦パス。ジルー選手がワンタッチのヒールキックでワンクッション置く巧みな落とし、MFのグラニト・ジャカ選手とアレックス・イウォビ選手を経由し、クロスを上げる左サイドのアレクシス・サンチェス選手へ。

 ショートパスをワンタッチで繋ぐポゼッション・スタイルのサッカーがカウンター攻撃の流れの中で展開されています。実に6人の選手がボールに触ったこの攻撃を単に「カウンター攻撃」として括ったり、フィニッシュのスコーピオンキックの部分だけで『年間ベスト』と称するにはあまりにもったいない華麗なゴールです。

 日本では「ポゼッションか?カウンターか?」がサッカー談義でよく用いられますが、アーセナルはポゼッションサッカーをカウンター攻撃の中で披露しながらゴールへ前進(プログレッション)します。

 これぞまさに、「プログレッションサッカー」。それがこのスコーピオン弾に至る一連の流れで見られるのは、アーセナルファンならずともニュートラルなサッカーファンにとっても興味深いでしょう。

23歳まで1部経験もない遅咲きの苦労人FWジルー


23歳まで1部リーグ経験すらなかったFWジルー(左)とDFコシールニー(右)が、現在ではアーセナルでもフランス代表でも主力としてプレーしている。by Allsoccerplanet

 スコーピオン弾を決めたジルー選手は現在30歳。フランス代表FWとして昨年の夏に母国開催のEUROで準優勝に貢献しましたが、母国の1部リーグにデビューしたのは24歳になる頃で、かなり遅咲きの選手です。

 2005年に2部のグルノーブルフット38でデビューすると、プロ1年目の後半戦には当時の日本代表FW大黒将志選手(現・京都サンガ)が加入し、チームメートとしてコンビを組んだ事もありますが、グルノーブルでは大黒選手の控えで出場機会を掴む事はできませんでした。それでも当時のジルー選手について聞かれた大黒選手は、「貪欲さは半端なかった」と語っています。

 その後、2部のイストルを経て、2008年に同じく2部のトゥールに加入。チームメートには後にアーセナルでも盟友となるDFローラン・コシールニー選手の姿も。2人は共に23歳まで1部リーグ経験がない選手でしたが、トゥールでの活躍でコシールニー選手は2部のベストDFに選出され、ジルー選手は2部の得点王となり、それぞれステップアップを果たす事になりました。

 2010年、初めてのトップリーグとなるモンペリエに加入したジルー選手はいきなりチーム最多の12得点を挙げ、エースFWの座を掴みました。それだけでなく、翌シーズンには中東からの高額投資による金満体質で急激に強くなったパリ・サン・ジェルマンを抑え、クラブ史上初のリーグ優勝に貢献。自身も21得点を挙げ、1部リーグの得点王にも輝きました。

 この活躍により貴重な攻撃の切り札としてEURO2012のフランス代表メンバーにも招集され、大会終了後にアーセナルへ移籍。盟友コシールニー選手から2年遅れましたが、ジルー選手もビッグクラブの一員となりました。

 アーセナル加入以来、192cmの長身を活かしたヘディングはもちろん、足下の技術にも優れたジルー選手はアーセナルのテクニカルなパスサッカーにも融合。ポストプレーの精度に関しては『世界最高』と評する事ができる域に達しています。このスコーピオン弾でもハーフライン前でヒールキックで落としたような連携プレーこそ、ジルー選手最大の持ち味なのです。

尊敬するアンリ氏からの痛烈な批判「ジルーでは優勝できない」


「ジルーでは優勝できない」と痛烈な批判を浴びせたアンリ氏(右)。OBとして古巣への愛情から来る指摘だろう。by Allsoccerplanet

 ジルー選手はアーセナル加入以来1トップのポジションを守り、リーグ戦では11ゴール→16ゴール→14ゴール→16ゴールと安定して15ゴール前後を記録し、公式戦全体でも毎年平均20ゴールを挙げています。

 しかし、その数字はタイトルを争うチームの1トップとしては物足りなく、2015年には同じくフランス出身でクラブ歴代最多の228得点を挙げたOBティエリー・アンリ氏(現・解説者/ベルギー代表コーチ)から、「ジルーではプレミアリーグで優勝できない」と痛烈な批判を受けてしまいます。

 アンリ氏は後に、「ジルー”だけ”では優勝できない」と訂正し、一線級のFWが足りないというニュアンスで補強不足を指摘しましたが、フランス代表ではいつまで経ってもカリム・ベンゼマ選手(現レアル・マドリー)の2番手。2015-2016シーズンの後半戦は実際にアーセナルでも先発起用が著しく減り、スランプに陥ってしまいました。

 それでもリーグ最終節で自身プレミア初のハットトリックを達成し、2位浮上に貢献したジルー選手は、シーズン終了後のEUROで不祥事で欠場したベンゼマ選手に代わって1トップを務めて2得点。最前線でチームの基準点となり、準優勝に大きく貢献しました。

 ただ、そのEURO準優勝によってアーセナルへの合流が遅れた今季、それまでは2列目起用されていた小柄なチリ代表FWアレクシス・サンチェス選手が1トップ起用で得点を量産。見事にハマったため、ジルー選手は完全にバックアップ扱いとなってしまいました。

次ページ:レギュラー落ちを転換点に進化過程に→

1 2

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で