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クラブW杯で来日のレアル・マドリーGKケイラー・ナバス~逆境に強いコスタリカの英雄の成功物語

hirobrown

2016/12/12 23:01

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 12月8日の木曜日から開幕したFIFAクラブW杯。昨年に引き続き、今年も日本でクラブ世界一を決める国際大会が行われています。開幕戦では、開催国王者である今季のJ1王者=鹿島アントラーズが、6年連続8回目の出場でこの大会でお馴染みとなっているセミプロ集団のオセアニア王者=オークランド・シティに先制され、大失態の予感が漂いましたが、終盤に逆転に成功して事なきを得ました。

 そして、15日の準決勝・クラブ・アメリカ戦からいよいよ、欧州王者のレアル・マドリーが登場します。

 レアル・マドリーと言えばウェールズ代表FWギャレス・ベイル選手が怪我で今大会を欠場しますが、フランス代表FWカリム・ベンゼマ選手、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド選手の頭文字を合わせた「BBC」。今季はそのBBCが3選手共に負傷や不調に苦しむ期間が多いため、彼等に替わって出番を得て活躍しているスペイン人トリオの「AML」(マルコ・アセンシオ、アルバロ・モラタ、ルーカス・バスケス選手の頭文字)など、前線のトリデンテ(3人)に注目が集まります。

 しかし、『世界最高クラブ』である事を自負するレアル・マドリーにとっては今大会で対戦するどの大陸王者が相手でも、彼等からは圧倒的に「格下」にカテゴライズされる対戦ばかり。そんな相手に失態を演じないために重要なのは失点をしないこと。どんなに格差のある試合でも、相手に自陣深くまで引かれ、「引いた相手を崩せず」に得点ができない時間が続くのは、サッカーの世界では想定内。それでも何とか失点だけは回避していれば取りこぼしは防げるはず。

 決して守備組織が徹底されてはいないレアル・マドリーですが、相手のカウンター時にDF陣が後手を踏むような逆境にあっても強く、PKにも強いGKがいるのは心強いはず。

 当コラムでは地味ながら、そんなピッチ内外での逆境に強い守護神のサクセスストーリーをお届けします。

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遅咲きの守護神ケイラー・ナバス~与えられた機会を掴んだ下積み時代

 現在はレアル・マドリーで不動の守護神となったコスタリカ代表GKケイラー・ナバス選手。実は現行フォーマットでの初のクラブW杯となった2005年大会にも、北中米カリブ代表のデポルティーボ・サプリサ(コスタリカ)の一員として来日経験があります。

 当時は控えGKとして北中米カリブ王者となったナバス選手は、徐々にサプリサでも出番を増やし、23歳となった2010年の夏にスペイン2部のアルバセーテへと移籍して欧州デビュー。初年度から定位置を掴んだものの、チームは3部リーグへ降格。それでもGKとしての実力は高く評価されていた彼は、スペイン1部リーグのレバンテへと引き抜かれました。

 しかし、さすがにトップリーグの壁は高く、完全な控え扱い。加入初年度の最終節に1部デビューを完封で飾り、クラブ史上初の欧州カップ戦出場権となるリーグ6位に少しだけ貢献しましたが、堅守速攻のお手本のようなチームのゴールを守るウルグアイ代表のベテランGKグスタボ・ムヌア選手(2015年に引退)のバックアップの域を出ませんでした。

 ただ、それでもこの実力派コスタリカ人GKの能力は高く認められており、加入2年目はカップ戦で出番を獲得。特にクラブ史上初の参戦となったUEFAヨーロッパカップで予選から本戦まで全12試合のゴールマウスを守って7失点。チームをベスト16進出に導く大活躍を披露しました。

 与えられたチャンスを掴んで離さなかったケイラー・ナバス選手は、そのシーズン終盤からリーグ戦でも主力に定着。当時26歳とGKとしても完全に遅咲きですが、いよいよ表舞台でも抜きん出た活躍を披露し始めました。

レバンテで「リーガベストGK」&コスタリカのブラジルW杯ベスト8躍進も・・・

02_%e3%82%b1%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%83%8a%e3%83%8f%e3%82%99%e3%82%b9このギリシャ戦のPK戦での完璧なセーブなど、ブラジルW杯で最大のサプライズを起こしたコスタリカのベスト8躍進に大きく貢献。by Keylor Navas

 リーガ1部で華々しい活躍を始めたのは、FIFAブラジルW杯が迫った2013-2014シーズンから。先輩GKムヌア選手が退団し、前のシーズン終盤から急激に存在価値を証明し始めた彼は完全にレギュラーを勝ち取っただけでなく、「リーガ最多の160セーブ」と「リーガ最高セーブ率80.1%」を記録。異論なく、リーガ選出の『ベストGK』を受賞する驚異的な活躍を披露しました。

 ただ、この頃はレアル・マドリーでスペイン代表の正GKであり、クラブでも代表でも主将を務めるイケル・カシージャス選手(現・ポルト/ポルトガル)とディエゴ・ロペス選手(現・エスパニョール)のポジション争いが勃発。実力だけでなく、ピッチ外の言動も含めたこの特大トピックが前後2シーズンほど続いていました。また、同時期にはUEFAチャンピオンズリーグ決勝へ進出したアトレティコ・マドリーのGKテュボ・クルトワ選手(現・チェルシー)がさらなる成長を見せる中でレンタル元のチェルシー復帰を含めた去就が騒がれており、バルセロナではそれまで約10年も正GKを務めたスペイン代表GKヴィクトル・バルデス選手(現・ミドルスブラ/イングランド)が契約延長を拒否したまま、シーズン終盤に大怪我で長期離脱。GKに関する話題がこの上なく多かったため、実はその喧騒の中で最も高いパフォーマンスを披露していたケイラー・ナバス選手にスポットライトが充たる事は少なかったのです。

 それでも彼はシーズン終了後に開催されたブラジルW杯で再び大きな輝きを放ちます。ケイラー・ナバス選手擁するコスタリカは、ウルグアイ・イタリア・イングランドと史上初めて「W杯優勝経験国」が3カ国も同じ組に入るという「死の組」に入り、戦力と実績で圧倒的に劣るコスタリカは惨敗が予想されていました。

 しかし、初戦でウルグアイを3-1と逆転で下すと、イタリアにも1-0で勝利し、なんと1試合を残して「死の組」の突破を決定。イングランド相手にも0-0を演じて首位通過を決めると、ラウンド16ではギリシャ相手に退場者を出しながら1-1で耐え凌ぎ、PK戦で彼の完璧なセーブによりコスタリカ史上初のベスト8進出に大きく貢献。

 準々決勝でも強豪オランダを相手にスコアレスを演じ、ここではPK戦で1本も防げずに敗退。実はこのオランダ戦の途中で膝を負傷した影響が出たのかもしれません。それでも大会通算5試合で2失点(1つはPK)に抑えた上で、この敗れたオランダ戦を含めて大会3試合でマン・オブ・ザ・マッチに選出。そして、OPTA社集計のセーブ率でも91%(被枠内シュート23本中21本セーブ)という驚異的な数字を叩き出しました(下記、大会ベスト5参照)。

 しかし、ここでもぺナルティエリア外でもフィールド選手並みの驚異的なプレーを披露した優勝国ドイツの守護神GKマヌエル・ノイアー選手が「ベストGK」に選出され、「新時代のGK像」と称されるノイアー選手の影で、彼は成し遂げた功績に見合う称賛を浴びてはいませんでした。

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