Shooty

ライプツィヒ特集【第3弾】ブンデス首位快走を支える注目選手達とスウェーデンが生んだ民主的な『10番』フォルクスベリ

hirobrown

2016/12/10 22:31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

NEWS

スウェーデン代表にとっても民主的な新時代の10番

04_%e3%82%a4%e3%83%95%e3%82%99%e3%83%a9%e3%83%92%e3%83%a2%e3%83%92%e3%82%99%e3%83%83%e3%83%81スウェーデン代表の新旧10番。絶対的なカリスマ=イブラヒモビッチ(右)と民主的な10番=フォルクスベリ(6番)。by ltz.se

 そんなサッカー一家に育った彼は、今年のEUROフランス大会にもスウェーデン代表として出場し、全3試合共に先発でプレー。当時は6番を着てプレーしていましたが、同大会を最後に代表を引退した現在35歳のFWズラタン・イブラヒモビッチ選手(現マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)の跡を継ぎ、現在は彼の10番を継承しています。

 点取り屋であるだけでなく、アシスト能力も高く、身長195cmの高さや強さ、巧さ、若い頃は速さまで揃えた世界最高のFWだったイブラヒモビッチ選手ですが、彼はそれ故に守備を免除される独善的なプレーやピッチ外での行動でも有名な選手でした。

 そんな絶対的なカリスマ性を持つイブラヒモビッチ選手とは違い、フォルクスベリ選手はライプツィヒが志向する『パワー・フットボール』で最も運動量が要求される2列目のポジションでフルスプリントを繰り返す『民主的な10番』です。

ハイ・インテシティの中で「違い」を作る『非カリスマ型リーダー』

05_%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%ab%e3%82%af%e3%82%b9%e3%83%98%e3%82%99%e3%83%aa組織を引っ張るよりも、自ら組織の中に入り込む『非カリスマ型リーダー』のフォルクスベリ(中央)。by Mirror Online

 ライプツィヒでは前線から連動したプレッシングを敢行し、外されれば守備ブロックの一端を担うために後方に戻り、守備から攻撃への切り替え後もフルスプリントして左サイドから中央や逆サイドへ抜けるダイアゴナルランでパスを呼び込み、ドリブルや周囲の選手とのワンツーやダミーラン(囮の動き)で攻撃に関与し続ける。

 フォルクスベリ選手はそんなハードな役割をこなしながら、トップスピード&ハイ・インテンシティ(プレー強度)の中でもプレー精度が落ちずに得点やアシストを量産するための”違い”を作れる存在です。キック精度が高く、ライプツィヒでも代表でもセットプレーのキッカーも務めています。

 スウェーデン代表では左サイドMFとしてプレーし、サイドから中央へカットインするドリブル突破から強烈かつ正確なミドルシュートや、柔軟なスルーパスを披露する天才肌の10番ぶりを見せていますが、守備時には組織的な守備ブロックの一員としてスウェーデン伝統の堅守にも貢献する献身的なMFです。

 サッカー界だけでなく、一般社会でも『非カリスマ型リーダー』が高く評価される現代。179cm78kgと一般的な体格ながら、組織プレーを遵守し、個人としても違いを作って攻撃陣を牽引するフォルクスベリ選手は、そんな『非カリスマ型リーダー』として、現代サッカーが求める理想のサッカー選手なのです!

 以上、3回に渡ってお伝えして来た『ライプツィヒ特集』ですが、『パワー・フットボール』はボルシア・ドルトムントでユルゲン・クロップ監督(現リヴァプール監督)が日本代表MF香川真司選手を軸とした『ゲーゲン・プレッシング』にも似ており、本日紹介したフォルクスベリ選手は、その香川選手をもう少しサイド寄りに完成させたような選手。

 ライプツィヒの躍進の原動力である新戦術や、フォルクスベリ選手の特徴やプレースタイルは、日本サッカーの戦術的観点や選手個々の成長を促すための道標にもなりそうな要素が多分に含まれています。

 Jリーグは全カテゴリーの日程を終了し、日本代表戦も来年3月まで試合がありませんが、ライプツィヒの試合を観ながら日本サッカーの戦術や選手の未来像を想像するのも、サッカーファンの楽しみとなるのではないでしょうか?

1 2

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう