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【日本代表戦士を待つ「刺客」】②マインツFW武藤VSコルドバ~健全な競争で切磋琢磨する2人

hirobrown

2016/09/29 23:01

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01_武藤嘉紀
今季開幕戦で強豪ドルトムントを相手に途中出場から得点を挙げた武藤。「刺客」との切磋琢磨が彼を突き動かしている。by Japan Times

2018ロシアW杯アジア最終予選の初戦でUAEを相手にホームで敗戦を喫した日本代表。最新のFIFAランクでも56位となり、これはアジアの枠で見ても6番目に過ぎない位置になっています。

そして、欧州を舞台とする各国リーグでプレーする「海外組」日本人選手もまた、各クラブで苦境に陥っています。

しかしその状況は、毎年「刺客」が加入するビッグクラブに所属している選手もいれば、怪我でポジション争いに敗れた選手、切磋琢磨しながら激しい競争をしている選手、本意ではなく本職とは違うポジションをこなしている選手など、個々によって異なっています。

ここでは、そんな「海外組」日本代表選手が各クラブでポジション争いをする「刺客」をターゲットにし、乗り越えるべき壁にフォーカスした連載を綴っていきます。

第2回は、ドイツのマインツでプレーするFW武藤嘉紀選手です。

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昨季前半戦7得点で衝撃を与えた武藤

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昨季前半戦のみで7得点を挙げた武藤。写真はハットトリックを達成した昨季第11節のアウクスブルク戦。by bundesliga.com

FC東京時代は左サイドMFやウイングとして頭角を現した武藤選手。抜群のスピードを活かした個人での局面打開力と共に、次第に得点力も発揮。そのポジションは徐々に2トップの一角や1トップとなっていきました。

昨夏から加入したマインツでは加入当初から1トップを担い、開幕第2戦から先発に定着。リーグ前半戦だけで7得点を挙げ、第11節のアウクスブルク戦ではハットトリックまで達成する衝撃的な活躍を披露しました。

欧州全体を見渡しても運動量が多いブンデスリーガの中でも、「最も走行距離が多い」マインツ。それは最前線でチームを牽引する1トップにも要求されています。FC東京U18時代はサイドバックも経験している武藤選手は、その経験がハードワーカーの多いチームでも活かされています。

しかし、そんな快調な前半戦とは打って変わり、ウインターブレイクを挟んだ後半戦の3戦目、武藤選手は右膝外側側副靱帯を部分断裂。その後、復帰を目前に控えながらも同じ負傷をぶり返してしまい、結果的に後半戦を棒に振る長期離脱となってしまいました。

そして迎えた今季。武藤選手は戦線に復帰していますが、まだまだ本人も「20分やるだけでも負荷がかかる」状態。そのため、先発出場の機会は減少しています。

武藤の長期離脱でチャンスを掴んだコルドバ

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武藤の長期離脱中に1トップに定着したFWコルドバ。武藤との切磋琢磨がチーム力の向上にも繋がっている。by bundesliga.com

そんな武藤選手の長期離脱中にポジションを奪ったのは、ジョン・コルドバ選手。昨季夏の移籍市場期限ぎりぎりでスペイン1部リーグのグラナダからレンタル移籍で加入し、今季から完全移籍に移行した23歳のコロンビア人FWです。

昨季の前半戦ではチームにフィットするのが遅れたものの、後半戦に武藤選手の負傷によりチャンスを得たコルドバ選手。ドイツの絶対王者=バイエルン・ミュンヘン戦での金星を挙げる決勝ゴールを記録するなど、強豪相手にも印象的な得点や圧巻のパフォーマンスを披露しました。

04_日本代表戦士と「刺客」の比較:武藤VSコルドバ
日本代表戦士と「刺客」の比較:武藤VSコルドバ

武藤選手と共に今季で2年目を迎えるコルドバ選手の強みは、188cm85kgという屈強なフィジカルを活かしたキープ力により、前線でボールを収められる能力。スピードもあり、ドリブルでの局面打開力も兼ね備えるため、カウンター志向の強いマインツにピッタリのプレースタイルを持っています。

178cmの武藤選手よりも10cm身長が高いコルドバ選手は、同じロングボールでもハイボールも収められるため、チームがボールを奪った瞬間により基準点になりやすい選手です。

それらがマルティン・シュミット監督にも評価され、武藤選手が戦線復帰した今季開幕以降も先発に定着しています。

健全かつハイレベルな2人の競争


切磋琢磨しながら1トップのポジションを争う武藤とコルドバ。それぞれの活躍具合をチェック。

ただ、武藤選手にもレギュラー奪回の機会は多くあります。

今季のマインツは昨季をリーグ6位で終えた事で、UEFAヨーロッパリーグに出場しています。近年は1部に定着しているとはいえ、国内リーグと欧州カップ戦を並行するにはまだまだ選手層が薄いマインツでは、チームに所属している選手ほぼ全員に戦力として活躍する機会が与えられます。

その上で、1トップのポジションを争うコルドバ選手と武藤選手ではプレースタイルに良い意味での違いがあります。コルドバ選手は主に中央でボールを受け、より直線的にゴールに向かうのに対し、武藤選手はサイドに開いて攻撃の起点を作ったり、相手サイドバックの裏のスペースを狙います。どちらが出場しているかによって攻撃パターンを変化させる事が可能なため、双方ともにチームへの貢献度は高いレベルにあります。

実際、武藤選手がレギュラー奪回のためにリーグ戦では2度の途中出場で共にゴールを挙げているのに対して、コルドバ選手も武藤選手の強烈なアピールに刺激を受け、ここまで3試合出場で2得点。

共に24歳と23歳という同世代の選手による高いレベルでの競争がお互いを刺激して切磋琢磨する姿は、チーム全体の大きな推進力となっています。

これほどまでに高い競争が続く行方は、最後は監督の好みで左右されたとしても、そこには本当の「勝者」と「敗者」は存在しないはず。

競争の「勝者」はステップアップ!「敗者」も負けではない

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現在はこのように交代相手となるため、共に同じピッチに立つ時間は少ないですが、今後は「共演」にも期待。by Wiesbadener Kurier

このポジション争いで「勝者」となった選手には、マインツよりももっと大きなクラブ、国内外のクラブから獲得オファーが殺到します。「勝者」はそうした典型的なステップアップ移籍となり、「敗者」となっても、来季はマインツでの「勝者(レギュラー)」となるはずです。

そして、この1トップ争いから得た移籍金でマインツはまた1人、優秀な無名の若手FWを獲得することでしょう。武藤選手にしても、フル代表歴のないコルドバ選手にしても、マインツ加入前は欧州ではまだまだ無名の選手でした。

武藤選手とコルドバ選手のハイレベルな競争を考察する事は、毎年のように有力選手を引き抜かれながらも、無名の若手タレントを発掘し続けて1部リーグに定着する。最近では上位にも食い込んで来るシーズンを過ごすマインツ、というドイツサッカー界の「良心」クラブの歴史を見ているようです。

現在は1トップとしては2番手の武藤選手ですが、彼は慶應義塾大学を卒業した半年後にドイツへ飛び立ちました。2014年シーズンに大学生Jリーガーの立場ながら台頭し、そのまま日本代表にも選出。2015年1月のアジアカップにも参戦し、その半年後にマインツへ移籍。ドイツの地でも印象的な活躍を見せ続け、その2年近くを走り続けてきた選手です。

いくらハードワーカーとはいえ、長期離脱が”良い休養”となる可能性もあります。また、コルドバ選手との2トップや武藤選手のサイド・トップ下起用での共存も十二分にありえます。

それぐらい充実した競争を続ける武藤選手にも注目しつつ、「あの選手は武藤とマインツでプレーしていた」と将来的に飛躍しそうなコルドバ選手、そして、そんな2人を発掘したマインツの試合を楽しみにしましょう☆

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