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アウクスブルクで苦境に陥った日本代表FW宇佐美貴史~「ドイツ最優秀監督」に示すべきは守備意識ではなく個人技!

hirobrown

2016/09/23 22:31

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01_宇佐美貴史
テストマッチ初戦で得点を決めた宇佐美。その後、開幕までのプレシーズンではアピールできなかった。by kicker日本語版

ドイツ1部・ブンデスリーガは今週のミッドウィークに第4節を消化。今季ガンバ大阪から完全移籍した日本代表FW宇佐美貴史選手が所属するFCアウクスブルクは、昨季3位フィニッシュの強豪であるバイヤー・レヴァークーゼンとのアウェイ戦に挑みました。

アウクスブルクは相手にPKを献上するなど終始押し込まれながらも、そのPK失敗にも助けられて0-0のドロー。強豪とのアウェイマッチで貴重な勝点1を手にしました。

しかし、そこに宇佐美選手の姿はありませんでした。それどころかリーグ戦4試合目ですでに2回目のベンチ外。ここまで公式戦に出場したのは開幕戦の82分から途中出場した1度のみとなっています。

この兆候はプレシーズンからも見てとれました。アウクスブルクはプレシーズンにテストマッチを7試合組んでいましたが、宇佐美選手はシーズン前のキャンプにも初期段階から合流し、最初のテストマッチで得点も記録。シーズン中の日本から来たコンディションの良さをアピールしました。

ただ、最初の5試合はトップチーム所属選手全員が前半か後半の45分どちらかに出場するような所謂”練習試合”のような様相。その中で宇佐美選手はその後にアピールしきれず。より実戦形式にした最後の2試合では終盤の途中出場のみでプレシーズンを終えていました。

迎えた今季最初の公式戦となるDFBポカール(ドイツカップ)1回戦・FV1893ラーベンスブルク戦。ベンチ入りしたものの、宇佐美選手は0-2で勝利したチームを90分間ベンチで眺めたまま終わっていました。

現実主義を貫く、昨季の「ドイツ最優秀監督」シュスター監督

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開幕戦で昨季の「最優秀監督賞」のトロフィーを授与されたシュスター監督。by kicker日本語版

今季からアウクスブルクは新時代に突入しています。

約4シーズンに渡って指揮を執って来たマルクス・バインツィール監督が強豪シャルケ04に移籍金を残した形で引き抜かれました。スタイル云々よりも、チームや選手の成長によって段階的に新たな要素を導入して結果を残した手腕を高く評価されている現在41歳の青年監督でした。

バインツィール監督の就任初年度はカウンター1本に徹した無骨なスタイルで残留ぎりぎりの15位でしたが、2年目はウイングを使ったサイド攻撃で8位へ躍進。3年目にはプレッシングとそのペース配分のためのポゼッションも取り入れて5位へ大躍進。見事にUEFAヨーロッパリーグ出場権獲得に導きました。

その知将が去ったアウクスブルクが移籍金を払って招聘したのが、昨季まで4シーズンに渡ってSVダルムシュタット98で指揮を執って来たディルク・シュスター監督。就任当時は3部リーグに属していたダルムシュタットを2年連続の昇格に導き、昨季は最下位での2部降格予想を強いられながらも、全く降格の脅威にさらされる事もなく14位でフィニッシュ。

この功績により、シュスター監督は昨季の「ドイツ年間最優秀監督賞」を受賞。年間最優秀監督の投票では、同監督は256票を獲得。ボルシア・ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督の134票と昨季バイエルン・ミュンヘンで指揮を執ったジョゼップ・グアルディオラ氏(現・マンチェスター・シティ監督)の54票を大きく上回っての選出だった事実が、如何に高く評価されているかの証明です。

ただ、戦力格差を埋めるための超守備的な戦い方を志向して成功体験を掴んだ現実的な監督です。また、そのシュスター監督の指揮したダルムシュタット戦に出場したFSVマインツ05の日本代表FW武藤嘉紀選手が、「ボールではなく脚を狙っているかのようだった」と言うほど、ファウルが多いチームだったのも気掛かりです。

主力左サイドMFカイウビーが長期離脱でも、宇佐美はベンチ外

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左サイドで独特なリズムとストライドの長いドリブルで定位置を担っていたブラジル人MFカイウビー。彼が長期離脱した中でベンチ外になった宇佐美は・・・。by kicker日本語版

そんなリアリストな指揮官は、開幕からここまでの公式戦5試合全てで<4-2-3-1>のシステムを採用し続けています。

1トップには昨季後半戦からの加入ながら7得点を挙げたフィンランド代表FWアルフレッド・フィンボソン選手が君臨。宇佐美選手からすれば狙い目なはずのトップ下は、試合展開や時間帯によっては「3人目のボランチ」としての運動量や強度の高い守備力が求められるため、韓国代表MFク・ジャチョル選手が定位置を確保しています。

そうなると宇佐美選手のポジションはウイング(サイドMF)に限られますが、攻撃に割く人数が少ない現在のチームではウイングにロングボールを放り込むため、このポジションにもフィジカル能力が求められている模様。実際、本職はFWで1トップもこなせるパラグアイ代表FWラウル・ボバディージャ選手や、韓国代表FWチ・ドンウォン選手が両ウイングで起用されています。

そんな中、リーグ第2節終了後にセットプレーのキッカーも務め、左ウイングで絶対的な地位を構築していたブラジル人MFカイウビー選手が年内絶望の長期離脱。それでも宇佐美選手は出場機会どころかベンチ外になる苦境が続いています。

近年は1部リーグに定着しているクラブとはいえ、宇佐美選手の移籍金となる約1億8000万円はアウクスブルクにとっては決して安い額ではありません。それでも起用されないのは明確な理由があるはずです。韓国代表の2選手を起用している事を考えれば、人種差別でもない別の理由が。

示すべきは守備意識ではなく個人技や突破力

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監督の意見を聞くのは当然だしても、そのまま実行する必要はない。「外国人助っ人」としての存在意義を考えるべきでは?by FC Augsburg

その上で気になるのは唯一出場したリーグ開幕戦のヴォルフスブルク戦。実況・解説者も「精力的に守備していました」という程、1点のリードを許す中で切り札として投入されたはずが、なぜか守備に奔走したまま終わったこと。さすがに負けている状況で宇佐美選手に守備を要求するような事はないはず。あったとしても、そんな指示は受け流さなければいけません。

その後、クラブはホッフェンハイムからウイングのヨナタン・シュミット選手を宇佐美選手の3倍相当の移籍金で獲得しています。宇佐美選手に疑問符がついたのかもしれません。

また、「シュスター監督の守備重視のスタイルに宇佐美選手は合わない」との指摘は確かですが、わざわざアジアから呼ぶ外国人選手に既存の選手と同じ事を徹底させる必要も意味もないはず。求められているのは、「異分子」としての価値です。

Jリーグのクラブがブラジル人FWを獲得するのは決定力の部分で「助っ人」として期待しているためで、逆にトップ下のような2列目にはあまり外国人選手を獲得しないのは、もともと優秀な日本人選手がいるから。その上でドイツのクラブが2列目を得意とする日本人選手を獲得するのは、そこに需要があるからです。

そう考えると、現在の宇佐美選手に求められるもの。特に途中出場からチャンスを掴まないといけない現状を鑑みると、自身のストロングポイントであるはずの個人でのドリブル突破力をもっとアピールする必要があります。

攻撃に人数をかけたくないのがシュスター監督の考えであれば、宇佐美選手は単独ドリブルで突破力と推進力を発揮すること。攻撃型のチームで前線にスペースがない状況よりも、むしろ宇佐美選手にもそれが有効に左右するはずです。

宇佐美選手は日本代表やガンバ大阪でも、監督の指示や要求をそのままこなす事が多い印象があります。監督からの指示・要求を聞く必要はありますが、それを自分の中でいったん噛み砕いて消化し、改めて監督に自ら意見を提案・相談する。一般社会でも必要な「報告・連絡・相談」が重要で、それが本当のプロサッカー選手の姿ではないでしょうか?ドイツの地で「出稼ぎ労働者」として、チームの「助っ人外国人選手」として、その存在意義を確かめる必要があるでしょう。

それさえ出来れば、宇佐美選手はアウクスブルクどころかドイツやスペインのトップクラブでも絶対的な地位を確立する能力は十二分に備えているのですから。

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