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2016-17 ブンデスリーガ開幕戦・ドルトムント対マインツ、戦術分析《動画あり》

ぱこぱこ・へめす

2016/09/03 22:37

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NEWS

ブンデスリーガの2016/17シーズンが開幕し、ドルトムントはホームスタジアムのジグナル・イドゥナ・パルクにマインツを迎えての初陣となりました。今夏の移籍マーケットでは昨シーズンまでの主力であったCBフンメルス選手(現バイエルン)、CHギュンドアン選手(現マンチェスター・シティ)、SHムヒタリャン選手(現マンチェスター・ユナイテッド)らが一気に抜け戦力ダウンが懸念されましたが、OHゲッツェ選手(前バイエルン)、OHシュルーレ選手(前ヴォルフスブルグ)、SHデンベレ選手(前レンヌ)、CHロデ選手(前バイエルン)、CBバルトラ選手(前バルセロナ)、左SBラファエウ・ゲレイロ選手(前ロリアン)らと充実した補強を見せています。
前回の記事ではポジションプレー戦術について簡単にまとめました。名将ユルゲン・クロップ監督の跡を継いだトーマス・トゥヘル監督の2シーズン目はどうなるのか、マインツとの開幕戦を見ながら戦術の分析をしたいと思います。

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スターティングメンバー

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by サッカー フォーメーション 2016-2017

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by サッカー フォーメーション 2016-2017

昨シーズンに主に左SHとして活躍したロイス選手は怪我により欠場。右SHのムヒタリャン選手も抜けたため、新戦力のシュルーレ選手とデンベレ選手が両SHを務めていました。香川真司選手はトップ下で先発フル出場を果たし、マインツのFW武藤嘉紀選手はベンチスタートとなりました。

ドルトムントの攻撃の形

前回の記事でも述べましたが、ポジションプレー戦術においてハーフスペースとライン間を支配することは非常に重要です。そして僕は相手のCB、SB、SH、CHの四角形のことをハーフスペース・スクエアと命名することにしました。香川選手の主戦場であり、特に注視すべき、激しい攻防のエリアであります。

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by footballtactics.net

ドルトムントのボール保持時は、5人のビルドアップ隊、5トップに分類できます。5トップについて見ていくと、センターフォワード(この試合ではオーバメヤン選手)、ハーフスペース・スクエア(香川選手とシュルーレ選手)、横幅の役割(デンベレ選手とシュメルツァー選手)に分けられます。内側に入りながらコンビネーションを見せるムヒタリャン選手と比較して、デンベレ選手はワイドなポジショニングを取り、スピードを生かした縦への突破を見せていました。
そして5人のビルドアップ隊は2‐3の場合もありますが、3‐2の形がドルトムントでは多く見られます。この試合では3‐2(バルトラ、パパスタソプーロス、パスラックの3バック、その前にロデとカストロ)という形で試合を始めましたが、後半からは2‐3に変更しています。このことは後で詳しく確認しましょう。

ビルドアップの問題点、不活発な左サイド

昨シーズンのビルドアップの功績として、キャプテンだったCBフンメルス選手と若手のDHヴァイグル選手が挙げられます。鋭い縦パスをライン間まで通し、運ぶドリブルで相手の1列目のプレッシングを混乱させるフンメルス選手、そして広い視野でDFラインと前線をパスで繋ぎ適切なポジショニングで味方をサポートするヴァイグル選手の穴が問題となっていました。
特に左サイドは、バルトラ選手がライン間への縦パスを狙い続けましたが、シュルーレ選手がボールを引き受けることがうまくできず、サイドのシュメルツァー選手へボールを繋ぐもチャンスをあまり作れていませんでした。一方の右サイドは早い段階でサイドのデンベレ選手にボールを預け、スピードを生かした縦への突破を中心に香川選手とともにいくつかのチャンスを作れていました。

マインツの守備は4‐1‐4‐1で、インサイドハーフのフライ選手とゼルダル選手はドルトムントのロデ選手とカストロ選手をマンツーマン気味にディフェンス。両SHのクレメンス選手とオニシウォ選手は中に絞りライン間へのパスコースを切りながら、サイドにパスが出たら素早くスライドしてボール保持者にプレッシングをかけました。ロデ選手とカストロ選手はスペースを得ることができずに、効果的にビルドアップを組み立てることができませんでした。マインツのコンパクトな中盤は、中央からのボール前進をさせずサイドからの循環を促し、ドルトムントを困らせました。

前半は17分にショートコーナーからシュルーレ選手のクロスに大外でフリーになったオーバメヤン選手がヘディングで合わせて先制点を決め、1‐0でハーフタイムを迎えます。

ハーフタイムの修正

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by サッカー フォーメーション 2016-2017

トゥヘル監督はフォーメーションを少し変更してビルドアップの修正を試みます。ロデ選手を中盤の底に置き、香川選手とカストロ選手をインサイドハーフとしてハーフスペース・スクエアに配置しました。ビルドアップ隊は4バックとロデ選手の5人となり、2‐3の形へ変更となりました。
これによりマインツは、ドルトムントの変化に対応するためにゼルダル選手が低めのポジショニングを取ってドルトムントのインサイドハーフ2人をグバマン選手とともにマークするようになりました。また両SBのシュメルツァー選手とパスラック選手がワイドなポジションを維持したため、マインツは両SHが釣られて中のパスコースを切れなくなり、ドルトムントのボール前進が効率的になりました。

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