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EUROで大躍進中のウェールズから考える「ギャレス・ベイルと宇佐美貴史~卓越した”個”の使い方」

hirobrown

2016/07/02 22:00

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NEWS

01_ギャレス・ベイル
by UEFA

6月10日に開幕したEURO2016フランス大会も準々決勝を迎えるに至りました。
そして7月2日時点で、今大会がEURO初出場となったウェールズとアイスランドが勝ち残っています。
人口僅か33万人の小国(比較:大阪市の人口だけで270万人、沖縄県那覇市が32万人強))が大躍進する姿は、各メディアでも一斉に取り上げられています。
そのため、今回の当コラムではウェールズとその代名詞であるFWギャレス・ベイル選手を、このたびドイツのアウクスブルクへ移籍した日本代表FW宇佐美貴史選手と比較し、「卓越した個の使い方」を検証したいと思います。

左SBだったベイルが「エース」の特権で引っ張るウェールズ代表

02_ギャレス・ベイル
by スパラボ

今大会のEUROで2試合連続の直接フリーキックからの得点を含め、3試合連続得点で得点ランクトップタイに立っているベイル選手。現在はスペインの強豪レアル・マドリーでプレーしています。2013年にトッテナム・ホットスパーから加入する際には、(非公式で)120億円規模の移籍金記録を打ち立てました。

現在のレアル・マドリーでは右ウイングやトップ下として得点に直結するプレーを続けるベイル選手ですが、「イングランド最高の育成クラブ」であるサウサンプトンでプレーした10代や、トッテナム加入2年目までは左サイドバックとしてプレーしていました。2012年までは背番号が3番だったのは、そのためです。

筆者もトッテナムの本拠地であるホワイト・ハート・レーンで2度の現地観戦をした事があるのですが、そのどちらの試合でも左SBとしてプレーするベイル選手がいました。

ベンチ入り選手が観客と談笑しながらウォーミングアップをしていた程、ピッチとスタンドの距離が近いこのトッテナムの本拠地。ピッチの左サイドでは常にトップスピードで上下動するベイル選手がいました。90分経っても全くスピードが衰えないのです。

そんなベイル選手の特徴は、レアル・マドリー加入初年度の初タイトルとなったコパ・デルレイ決勝のバルセロナ戦で最も顕れていました。凄まじく強度の高い試合だったにも関わらず、ベイル選手は85分という試合終盤でもスピードを落とす事なく約58mを1人で持ち上がって決勝点を挙げたのです。

2014年のコパ・デルレイ、ファイナルの決勝点

「ベイルが前に残る事」は守備になる

決してチームへの献身的なプレーや守備力が低いわけではないベイル選手ですが、現在ではレアル・マドリーでも部分的に守備を免除されるような存在になりました。リーグ優勝もしていないトッテナムでのラストシーズンには、21得点を決めてリーグのMVPに選出されるなど、それだけ得点能力が卓越しているのです。

そして、レアル・マドリーのようなスター選手が他にはいないウェールズ代表ではさらにそれが顕著となっています。もともとは左SBだったベイル選手が、現在のウェールズ代表では守備に戻らずに前線に残ってプレーをし続けているのです。

チーム唯一にして、世界屈指の突破力を持つ選手なのですから当然です。ボールを受ければDF5人を相手にドリブル突破をする場面も珍しくないほど、ウェールズの攻撃面全般を一手に引き受けているのです。

また、ベイル選手が前線に残っていれば、相手DFもその恐怖から攻撃参加ができなくなる抑止力も働くわけですから、ある意味では「彼が前残りする事で守備をしている」のです。

「卓越した”個”の使い方」としては理に適っていると言えます。

生涯アタッカーの宇佐美が守備力を要求されるのは何故か?

03_宇佐美貴史
by Jleague.jp

しかし、これを日本の状況に照らし合わせると悲しい現状があります。

先日、ガンバ大阪からドイツのアウクスブルクへの完全移籍を発表した日本代表FW宇佐美貴史選手は、日本人選手としてだけではなく同世代の選手が集まった下部年代の世界大会に置いて、世界屈指の個人能力と得点力を見せ続けて来ました。ドイツからの復帰後の1,2年間もそうと言えるでしょう。

そんな卓越した個人能力を持つ宇佐美選手は、ガンバ大阪でも日本代表でも守備力や運動量を要求され、そのために得点力を著しく落としてしまいました。

ただ、宇佐美選手の場合はもともと左サイドMFやFWとしてデビューした選手ですが、Jリーグに置いてもベイル選手ほどの結果を数字として残せていません。もしくは、残せたかもしれないのに、その前に守備の約束事などを要求されて、世界レベルの個人能力を伸ばし切れずにいるように見えました。

これは、宇佐美選手が世界に通用する”個”ではないから、そうなったのか?それとも、その時々の監督が目先の結果が欲しいためにそうなったのか?は定かではありませんが、日本サッカー界にとっては非常に悩ましい問題です。

取り敢えず言えることは、「なぜ日本に点取り屋が生まれないのか?」の答えはココにあるのではないか?との思いです。

そんな宇佐美選手には、ドイツでその卓越した個人能力を数字として残して欲しいところなのですが、アウクスブルクでも左サイドMFとして見られている可能性もあるため、このままベイル選手のような特権はもらえない選手になってしまいそうなのが残念です。

宇佐美選手は特権が許さるレベルに到達していない選手なのでしょうか?

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