Shooty

サッカー漫画紹介「フットボールネーション」

佐藤文孝

2019/05/24 17:47

2019/05/25 20:50

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NEWS

草サッカーの助っ人として高い技術を見せつけていた主人公・沖千尋がアマチュアチーム「東京クルセイド」に加わり、天皇杯で試合を重ねていくストーリー。ピッチ内外においてユーモラス且つ、シリアスな場面もある中で、様々な運動についての深い知識がキャラクターを通し、作中の至るところで語られるのが大きな特徴の作品。

作品を通して伝えられる『フィジカル』の重要性

描かれている姿が美しい。読み始めてすぐに気が付いた。主人公の沖千尋をはじめとする東京クルセイドのメンバーのプレイ中の身体の恰好や目線、スパイクの向きやユニフォームの皺に至るまで、細かく表現されている。

選手の描かれ方が特徴的な理由も作品の内容と直結している。序盤ではインナーマッスルやその他の筋肉について、さらにはサッカーで必要となる身体の正しい使い方を語るシーンがあり、さまざまなキャラクターを通して身体構造の知識が得られることがこの作品の根幹となっている。

ストーリーが進むにつれ、脳の仕組みや視覚にも話は及び、アマチュア3部の東京クルセイドが天皇杯をを勝ち進むことで対戦するプロチームは尽くその違いを痛感する。試合後、助言を求める選手やプレイの質の大きな違いから「サッカーは足でやるスポーツ」という半ば当然とも思える概念に疑問を持つ選手も現れ、同様に読んでいる側もサッカーのみならず、運動に関する新たな常識に気づかされることに。

幼い年代にはとにかくボールを触らせることを重視する現在の日本国内の育成指針についても触れられている中で「戦術メモリー」の重要性を言及する場面などもあり、指導に携わる者にも大いに目にしてもらいたい作品であることは間違いない。

沖千尋、一ノ瀬迅の関係性、今後は?

作中には「サッカーのためなら今も昔もなんだってする」と語る沖千尋の過去の歩みや、ライバルである一ノ瀬迅の葛藤といった『影』の部分も映しだされ、サッカー漫画としては小さくない違和感を感じてしまうものの、その影がこの先、どう影響していくのかも興味深い。また、独自の考え方でチームを束ねる監督の高橋幹保やファインダーを通して選手を追う中で、様々な気付きを見出す雑誌記者・緒形紫といった選手以外のキャラクターも上手く織り込まれており、一つのスポーツ漫画という枠を超えるクオリティを生み出している。

国際舞台での様々なカテゴリーで今なお耳にする「日本人はフィジカルで劣る」というフレーズ。この漫画と出会ったことで、いつの日かその言葉をエクスキューズとして使うことのない日が来るのではないかという想いが頭をよぎる。そして、過去、最高峰と呼ばれた海外のリーグにおいて、決して当たり負けをすることのない日本人プレーヤーが実在したことも思い出し、内容と繋がることがあまりにも多いことにも気が付いた。

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