Shooty

ハリーケインに秘められた能力と可能性

footidiota

2018/12/22 16:27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

NEWS

「太ってる奴はこのチームにいらない」
それは名門アーセナルから彼に言い渡された評価だった。

彼の名前はハリーケイン。当時9歳だった彼にとっては絶望ともいえる衝撃的発言だった。
その時、ケインがイングランドフットボール界を牽引するストライカーになることは誰もが予想していなかったことだろう。

時を経て、2018年2月。
アーセナルはノースロンドンダービーで最大のライバルであるトッテナムに0-1で敗戦した。スコア、内容ともにライバルに圧倒的な差をつけられ、ジャブさえ与えることができないまま90分の時間が経ってしまった。試合内容と結果を鑑みても、両者クオリティに大きな隔たりがあり、ノースロンドンの歴史が塗り替わったとまで現地紙が報じたほどこの日が歴史的な一日になったことには間違いない。そして、この試合の決勝点は皮肉にもトッテナムの絶対的ストライカーであるハリー・ケインの豪快がヘディング弾だった。

そう、彼は奇しくもライバルチームであるトッテナムの下部組織へ移ったのだった。そこから成長を遂げ、トップチームとしてチームを牽引する存在にまで上り詰めた。今年開催されたロシアW杯でもイングランド代表としてあのクリスティアーノロナウドを抑えて得点王に。今では銀河系軍団レアル・マドリーも獲得に動いていると噂されるほどのワールドクラスのプレーヤーとなっている。

そんな彼のワールドクラスたる所以を紐解きたい。

①決定力


決定力が求められるストライカーは一般的に「スピード、テクニック、パワー」のうち、2つが突出しているとストライカーとして活躍できると言われているが、彼は3つすべてを網羅している。紹介した映像はその全て能力が凝縮されたゴールである。
ボールを貰い、一瞬の小回りのターンで相手のマークを剥がして前を向くスピード。
常にシュートやパスができる位置にボールを置きながらドリブルするテクニック。
遠目からでも狙うよと言わんばかりのライナー性のあるシュートを繰り出せるパワー。
ディフェンスは基本的にストライカーの守備対応としてペナルティーエリア内への侵入を防ぎ、侵入させても自由を与えないというミッションが与えられてるが、そんな基本的概念を打ち砕くかのような意表をついたケインのゴールは世界的プレーヤーであることをかえって証明させてしまったといってもいいだろう。

②プレースキック


かつてのストライカーに向けられた世間の目は「得点を取る」ことだけの一点張り。しかし、現代においてその考え方はもはや時代遅れである。得点が取れるだけではトップチームで活躍できるどころか、出場機会すら与えられないのが今のサッカー事情だ。そんな中でケインは決定力以外にこういった「プレースキック精度」に他のプレーヤーにはない大きな特徴がある。
彼はトッテナムの主力メンバーになる前に、ノリッチやレスターへローン移籍を経験している。当時イングランド2部リーグでの出場を余儀なくされた彼だが、2部リーグでは1部リーグでは比にならないほどにフィジカル合戦が繰り広げられていた。イングランド本場とも言える環境下でケインはボディバランスやフィジカルコンタクトのスキルが備わったこともあり、今のプレースキックの精度向上につながったとも考えられる。
またそもそもこうしたスキルには「味方を活かす考え方」がないと実現できないと考える。「オレがオレが」という実力主義から一線画した彼のプレースタイルには我々日本人とも親和性が高い。(かといって最近オレにパスを出せ!とエゴを出すプレーヤーも減ってきている気がするのでそれはそれで寂しい気もするが。)

③キャプテンシー


今シーズンの欧州CLグループステージ最終戦。この試合、グループステージ突破の条件は非常に厳しく勝利が必要だとされていた。しかし相手はあのバルセロナ。しかもアウェイのカンプ・ノウ。トッテナムにとってカンプ・ノウという要塞で戦うという大きな試練がやってきた。
前半に1点先制されて苦戦するかに思えたがポゼッションでバルセロナを上回り主導権を握り試合を運んでいく。しかし大事な得点が奪えないまま時間だけが過ぎていった。
万事休すかと思われた85分にケインのアシストからルーカスモウラが同点弾を放つ。ようやく手にした同点弾に一同歓喜の輪を作る中、ケインだけは違っていた。「早く戻れ。もう1点行くぞ。」とジェスチャーしたのだった。こういった行動にケインのキャプテンシーを感じられずにはいない。
近年トッテナムは優勝争いができるほどに成長することができた。しかし、タイトルを勝ち取ることができていない。15′-16シーズンにはレスター、16′-17’シーズンにはチェルシーにあと一歩のところで差をつけられて敗れてしまう。その要因として「リーダー格のプレーヤーの不在」を各メディアで指摘され続けた。その時からケインは自覚していたのかもしれない。「自分がチームの象徴として支えていかなければいけない」と。そうした考え方があって昨今の素晴らしい能力が身についたのかもしれない。

彼はまだ25歳でプレーヤーとしてまだまだ成長段階である。個人的な考察だが、彼に備わっているスキルはFWだけでしか通用しないと思っていない。かつてのルーニーのようにMFとしての動きも起用方法によっては十分可能性があると考える。ぜひとも今後の彼のプレーに注目していきたい。

ちなみに、奥さんへのプロポーズはこんな感じだったそう。素敵です!

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう