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残留争いを戦い抜くストライカーたち

佐藤文孝

2018/11/02 07:55

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Jリーグ史上、最も過酷な展開となっている今シーズンの留争い。残り試合も僅かとなる中で、何よりも求められるのが得点であることは言うまでもない。ここからの戦いで限りなく重要となってくるプレイヤーとして、残留争いで鎬を削るクラブのストライカーに注目する。

■シーズンを戦い抜いての集大成として

 現在J1リーグにおいて21得点を挙げ得点ランキングトップに君臨している名古屋グランパスのジョー。今季、鳴り物入りで名古屋に加入、シーズンを通して前評判通りの得点力を見せつけている。特に夏場からは複数得点を毎試合の様に記録しハットトリックも2度成し遂げている。先日のホーム札幌戦でもPKを決め、ランキングで単独トップとなるゴールを挙げた。ジョーのゴール量産によりチームも7連勝と一時は降格圏脱出に成功する。

だが9月に連敗を喫すると再び残留争いに巻き込まれた。さらにグランパスは台風により中止となった代替え試合を含め次節から1週間で3試合を戦うという過酷なスケジュールとなっている。今季J1復帰を果たしながら低迷が続くグランパスが二度目の降格を避けるためには最終節までジョーが得点を奪い続けていくことこそ何よりも近道であることは間違いないだろう。

およそ1年振りとなる代表戦出場で存在感を発揮したのはジュビロ磐田の川又堅碁だ。10月12日の日本対パナマ代表戦、後半21分から途中出場を果たす。かつてのホームグラウンドでもあったデンカビックスワンのピッチで躍動、後半40分にはゴール前に走り込みパスを受けるとすぐさまシュート体勢に持ち込む。相手との競り合いで前のめりに倒れたものの勢いのついたボールはそのままゴールに向かって転がった。記録はオウンゴールとなったが恰好に拘らず、ゴールという結果だけを求める川又らしいシュートシーンだった。

さらに30日の湘南ベルマーレ戦ではシーズン10得点目を挙げこれが決勝点となりチームに勝ち点3をもたらしている。二ヶ月もの間、勝ち星を掴めず苦しみ抜いたジュビロを勝利に導いたのはやはりこの男のゴールだった。

■直接対決を前に牙を研ぐストライカー

10月21日に行われたベガルタ仙台対サガン鳥栖の一戦。この試合前まで総得点数がリーグ最下位の23点と、極度の得点力不足に苦しんでいた鳥栖に待望のゴールが生まれた。前半39分、左サイドからのクロスをヘディングでゴールマウスに流し込んだのはフェルナンドトーレス。ペナルティエリア内の小野から放たれた短く速いボールに対しディフェンスとの駆け引きからスペースを生み出し、体を捻りながらの鮮やかなゴール。このゴールを含め、この日鳥栖は3得点で勝利し連敗を2で止め、残留争いの中アウェーで貴重なまでの勝ち点3をもぎ取った。

7月のチーム加入からリーグ戦では僅か1ゴールのみと、苦しみながらも自らの日本のサッカーへの適応とチームの勝利のためにピッチに立ち続けた。世界的な実績・経験値は十二分なだけに土壇場での戦い方も熟知しているはずだ。次節はV・ファーレン長崎との残留へむけての直接対決を迎える。ゴールに飢えたチーム、そしてサポーターを救うため、トーレスのプレーで「6ポイントマッチ」を制し、ライバルを蹴落とすのみだ。

エースストライカーが生むゴールはただの得点ではない。チームを後押しすることはもちろん、息を吹き返すための原動力にもなり得る。血で血を洗う過酷なまでの残留争いを生き残るためには「獲るべき」ストライカーのゴールが必要不可欠となる。

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