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シャフタール・ドネツク 0-3 マンチェスター・シティ【左右非対称な偽サイドバックの狙い目】

ぱこぱこ・へめす

2018/10/29 08:15

2018/10/30 08:30

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NEWS

2018年10月23日UEFAチャンピオンズリーグ グループステージ第3節、アウェーのマンチェスター・シティがMFダビド・シルバとDFアイメリク・ラポルテ、MFベルナルド・シウヴァのゴールによって、シャフタール・ドネツクに3ー0で勝利した。

スターティングメンバー

アンドリー ピアトフ;
ミコラ マトビエンコ、セルヒー クリフツォフ、ヤロスラフ ラキツキー、イスマイリー;
ウェリントン ネン、マイコン、タラス ステパネンコ、フェルナンド;
ヴィクトル コバレンコ;ジュニオール モラエス

エデルソン モラエス;
ジョン ストーンズ、ニコラス オタメンディ、アイメリック ラポルト、バンジャマン メンディ;
ケフィン デ ブライネ、フェルナンジーニョ、ダビド シルバ;
リヤド マハレズ、ガブリエウ ジェズス、ラヒーム スターリング


by Shakhtar Donetsk – Manchester City: Routine Victory For City, Who Show Off A Myriad Of Build-Up Patterns (0-3)


by Shakhtar Donetsk – Manchester City: Routine Victory For City, Who Show Off A Myriad Of Build-Up Patterns (0-3)

左右非対称な偽サイドバックの狙い目

マンチェスター・シティのビルドアップは右DFストーンズをハーフDF化した3バックが基本だった。メンディはフェルナンジーニョの脇の左ハーフスペースへ、内側斜め前に上がる。スターリングとマフレズが左右の大外に位置し、デ・ブライネとシルバが中盤に、ジェズスが深さを作る。前方と後方の5人ずつは、縦のポジションチェンジをあまり行わなかった。
以上の形を基本に、自在に後方の形は変化する。後方での数的優位とパスラインの維持のために、フェルナンジーニョはCBの間または両脇に落ちることもあり、そのスペースには大体ストーンズが移動する。

シャフタールのプレッシングは4-4-2で、プレッシング開始ラインはハーフウェイライン、時々20mほど前だった。1列目は中央のパスコースを切る。2列目は両サイドがSBの動きを意識していた。シティのSBの働きは、違いはあれど大外ではなくハーフスペースでのプレーである。フェルナンドとウェリントン・ネンはペナルティーエリア幅に位置する。

偽サイドバックの利点の一つは、相手WGが内側に引き付けられてCBからWGへのパスラインができることである。この試合でも、ラポルトからスターリング、ストーンズからマフレズへと外外循環で簡単にボール前進することができた。
フェルナンジーニョがDFラインに落ち、両SBが斜め前に位置取りした際にも両WGが内側に付いていったことからも、マイコンとステパネンコが中盤でデ・ブライネとシルバに対して数的不利になることを嫌っていたのだろう。

左ハーフDFのラポルトがハーフスペースの入り口でボールを持った時、前方のメンディの両脇に、大外のスターリングとWG-CMF間のシルバが位置している。スターリングに対してはマトビエンコの縦スライドで対応なので簡単に時間とスペースを得られる。シルバに対してはCMFが付くが、守備ブロックは横のコンパクトさが対してなかったため、質的優位で時間とスペースを作り出せていた。
メンディはビルドアップにおいて偽サイドバックとして中盤に位置していたが、ボール循環に貢献していたとは言い難い。その目的は大外へのパスライン作りの他に、ネガティブトランジション対策がある。ボールを失った際に中央からの素早いカウンターアタックを阻止し、大外へも爆発的なスピードですぐに到達できる。メンディを大外に配置できれば、スターリングをインサイドWG(偽10番)として内側でプレーさせ、シルバにより自由を与えられるが、ボール保持・非保持のポジショニングのズレが大きいほどネガティブトランジションでのリスクが高まることに注意しなければならない。
逆サイドも同様に、右ハーフDFのストーンズがボールを持つと、大外にマフレズ、WG-CMF間にデ・ブライネが位置する。ラポルトとストーンズというボール保持が得意な選手がハーフスペースの入り口に立つことで、インサイドMF落としをしなくても質の高いビルドアップができるようになる。

ハーフスペース突撃とオーバーラップ

シティのアタッキングサードでの崩しの形の定番は、大外のWGのドリブルにハーフスペース突撃を組み合わせることである。左サイドを見ると、スターリングが大外の高い位置でボールを受けて仕掛けると、シルバが横パスを受けられるハーフスペーススクエアの位置からチャンネル(SB-CB間)を走り抜けるハーフスペース突撃を繰り出す。さらにメンディが外側から追い越すオーバーラップと、時々内側を駆け抜けるアンダーラップ(ハーフスペース突撃)を巧みに使い分ける。
右サイドでは、マフレズが大外で仕掛けると、デ・ブライネやジェズスがハーフスペース突撃を行う。ストーンズが本来CBの選手で追い越す動きを行わない分、ジェズスが頻繁に右ハーフスペースに顔を出すことでバランスを取っている。

ボール非保持時の大外とハーフスペースの埋め方は注目ポイントだが、シャフタールの場合大外はSBの縦スライドで対応する。従ってSB-CB間に広いスペース(チャンネル)ができてしまう。CBはだいたい高さに強くスピードに弱いため、外に誘き出されたくない。WGはカウンターアタックに備えてできるだけ深い位置まで押し込まれたくない。よって中盤から下がってスペースを埋めることになるのだが、CMFが下がりWGがハーフスペースを埋める。

シャフタールの攻撃

シャフタールのポジティブトランジションでは、中盤のプレッシング耐性で前を向けると、前を向いたFWとWGを使いながら追い越していく。特に逆サイドのWGをうまく活用できていた。中盤4人がプレッシング耐性でシティの中盤のラインを突破すると、DF-MFライン間に広大なスペースが生まれる。立ち上がりシティにボールを支配させる中で何度かチャンスを作っていた。

シャフタールのボール保持はボックスビルドアップである。CB2枚とCMF2枚を中心にボールを循環する。SBはパスラインがない時はビルドアップ隊の高さで大外の選択肢を作るが、ボール保持者が時間とスペースを得られれば、前線と同じ高さまで上がっていく。前線の4枚はDF-MFライン間に位置する。フェルナンドとウェリントン・ネンは内側のハーフスペーススクエアへ入り込む。またシャフタールはサイドチェンジを頻発していた。特にストーンズはSBが本職ではないため、イスマイリーを使いフェルナンドとのコンビネーションで突破を試みた。

シティのボール非保持は4-5-1で、プレッシングの開始ラインはハーフウェイラインよりも15mほど前である。守備ブロックが整うと、ジェズスのCB間のパスラインの遮断、もしくはシルバの前に出てのカバーシャドウを使った寄せを合図にプレッシングを開始する。近くのパスラインに対して周りの選手はマンマークもしくはカバーシャドウで選択肢を消し、ボールを奪い取るかバックパスを強いる。サイドから中央へのバックパスには、ジェズスだけでなく逆サイドのWGのカバーシャドウを使った寄せも利用しながらGKに返させる。
ゴールキックは戦術を見分けるパラメータとなる。そしてゴールキックでなくともGKがボールを持つ状況は、チームがどのような守備をするのかを見られる。そしてゴールキックでの対応をトレーニングで練習しているはずである。つまりGKにバックパスさせるということは、練習の再現をできるということになる。


by Shakhtar Donetsk – Manchester City: Routine Victory For City, Who Show Off A Myriad Of Build-Up Patterns (0-3)

ボール保持・非保持のズレの大きさ

グアルディオラが過去最高の出来と評価した前半が終わり、後半はシャフタールがボールを持つ時間が長かった。ボックスビルドアップに両SBが高い位置を取り、左サイドからストーンズを狙う場面が多かったのは前半の通りである。なおストーンズは途中でウォーカーと後退している。

シャフタールはウクライナの強豪クラブである。日常、つまり国内リーグでは自分たちがボールを保持し、相手が我慢する展開が多い。チャンピオンズリーグという非日常をどう戦うかは課題になる。
この試合の後半では、ボールを持つ時間が長かった。つまり日常に近かったのである。そして恐らく日常通りだったのだろうが、両SBを高い位置に出し、インサイドWG化する陣形を取る。一般的であるが、この形ではボール保持・非保持のズレが大きくなる。格下相手ではネガティブトランジションでボールを奪い返すことができるが、シティ相手だとカウンターアタックを阻止するために十分に対策しなければならない。
シティの3点目は途中出場のベルナルド・シルバが投入後すぐに決めたのだが、シティは自陣で奪ったボールをマフレズに預け、追い越したベルナルド・シルバが再び中央で受けてファーサイドへ流し込んだ。シャフタールはこのネガティブトランジションに対して、前線が反応できておらず、後方のビルドアップ隊も後ろ向きの対応で後手に回っていた。

チャンピオンズリーグ初戦を落としたシティだったが、2連勝でグループステージ突破が見えてきた。シャフタールにとってはホームで勝ち点をもぎ取りたいところだっただろう。

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