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ガンバ大阪サポーター飲み会の延長戦 -「勝手にアフターゲームショー」の実像-

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Googleで「Jリーグ サポーターカルチャー」と検索すると小難しいサポーター論を語る記事が続々とヒットする。極端な献身性を求めるものだったり、他のエンターテイメントのファンと比較されていたり……いつからJリーグのサポーターであることがこんなにも息苦しいものになってしまったのだろう。ヨーロッパサッカーにおけるウルトラスの影響も大きく、Jリーグクラブを応援する行為を暴力的に捉えていることも多い。

勿論、それらは否定されるものではない。応援するクラブを「We」と捉えるサポーターによる活動の数々がJリーグを支えてきたのは紛れもない事実である。しかし、文化は多様な方が面白いのもまた事実。気楽にJリーグを楽しむサポーターがもっといてもいいだろう。特にファン・サポーターの蛸壺化が叫ばれて久しいJリーグの現状を考えれば尚更である。今シーズンから「金J」に代表される新規ファン開拓のプロモーションに力を入れるなど変革期を迎えている今だからこそ、今回紹介するサポーターカルチャーの価値は高まっている。

「勝手にアフターゲームショー」誕生

ガンバ大阪のホームゲーム開催後にガンバサポーターによるトーク番組がツイットキャスティングでライブ配信されていることをご存じだろうか。その名も「勝手にアフターゲームショー」。MCはとくちゃん&ガンバ長谷川の2人。共通のガンバサポーター仲間を通じて知りあった2人は同じ年であったこともあり意気投合。毎試合後、2人で飲みに行くようになり「どうせガンバの話をするし、この様子をネットで流したらいいんちゃう?」というガンバ長谷川の発案により番組が誕生した。そうした経緯もあり、番組内容も実にカジュアル。とくちゃんは「僕達はサポーターなんで、戦術うんぬんよりもスタジアムで何が美味しかったとか、スタジアムに行かないと分からない情報や大手メディアが伝えないであろうことに着目してお届けしてますね」と番組コンセプトを語る。配信開始初期は台本やテロップまで制作していたというが、現在はとくちゃんが聞き手、ガンバ長谷川が話し手と役割も明確になり、ぶっつけ本番のトーク番組としてのスタイルを確立。2013年に配信を開始してから今年で6年目となり、今ではすっかり試合後のお楽しみの1つとしてガンバサポーターに認知されている。


番組はガンバ大阪にゆかりのあるお店から配信されることが多い(写真は「CURVAさかゑ」店内)

ガンバ大阪前社長・野呂輝久氏ゲスト出演

同番組はバラエティ豊かなゲストが出演することでも人気を得ている。過去には吹田市のイメージキャラクターである「すいたん」といったゆるキャラも出演し話題となった。中でも最も反響があったのはガンバ大阪前社長・野呂輝久がゲスト出演した回だ。出演の経緯についてガンバ長谷川は「野呂さん、試合開催日はガンバサポーターがシート貼りをしている隣で美味G横丁(スタジアムグルメ)のテーブルを運んでたり、サポーターとの距離が近い社長だったのでたまに会話をする機会はあったんですよ。2014年にゲスト出演してもらったんですけど、当時は新スタジアムの募金があまり集まっていなかったので、募金のお願い告知という形で出演をお願いしてみたら案外すぐにオッケーをもらえて」と当時を振り返る。番組は募金の話を中心に視聴者からの質問を受け付けるなど大いに盛り上がったが、この話には続きがあるという。「ガンバがタイトルを2つ獲ったら次回出演の約束をしたんです。そしたら、ガンバ大阪が三冠を獲った。こりゃ出演してもらわなあなんなと思ってクラブに連絡を取ったんですけど、三冠を獲ったことで野呂さんの取材が増えて忙しくなっちゃって。残念だけど迷惑かけるならやめようと思って」(ガンバ長谷川)

ちなみに、あまり知られていないが番組は常に公開収録の形で行われている。「元々の番組理念はホームタウンで盛り上がろうというもの。収録現場に来てもらって、一緒に楽しめればいいなと思っているんです。このネット番組をリアルの場でも広げたい」(とくちゃん)とのことで観覧やゲスト出演はいつでもウエルカムだ。過去には「僕のサポーター仲間がその日食べたスタジアムグルメの感想を言うだけのコーナーもあった」(ガンバ長谷川)実績もあり、発言する内容は自由。興味のあるサポーターは気楽に遊びに行ってみてはどうだろうか。


配信に使用されるカメラ。画面には視聴者からのコメントが表示され、ガンバ長谷川が紹介する

番組の未来

「もはやライフワークなので」

番組についてはそのように語るガンバ長谷川は番組の未来について特段何も考えていないという。それは長続きするために必要なスタンスであるようにも見える。Jリーグが開幕して25年が過ぎ、サポーター活動に全力投入した結果、消耗し、スタジアムから去っていった仲間の数は数えきれない。「やっぱり飲み会の延長なんですよ」(とくちゃん)という番組が支持され続ける理由は一考の価値がある。

世間がイメージするマッチョなサポーター像とは一線を画す「批判するよりも寄り添う感じ」(とくちゃん)、「悪口は言わないようにしている。まあ、セレッソに関してはたまに言うけど(笑)」(ガンバ長谷川)をモットーとする2人のガンバ大阪サポーターが創るサポーターカルチャーがこの先どのような形で継続され、変化していくのか楽しみである。

最後はMCの2人から視聴者へのメッセージで締めたい。

「特異な番組を見て頂いてありがとうございます。スタジアムで隣の人と話しているような感覚で観てもらえれば嬉しいです。嘘か本当か分からないような話もしますけれど、気楽な気持ちで許してください(笑)。スタジアムで見かけたら声かけてくださいね」(とくちゃん)

「暑苦しい番組を見て頂いてありがとうございます。番組に気軽にコメントやリプライもらえると番組が盛り上がるのでお願いします。些細なことでも大丈夫です。あと、是非撮影現場に来て欲しい。放送後の方が面白い話をしているので(笑)」(ガンバ長谷川)


MCの2人(左:ガンバ長谷川 右:とくちゃん)

【ライター紹介】
こ〜@ロスタイムは7分です。

駄文系ガンバ大阪サポーターブログ「ロスタイムは7分です。」管理人。“サポーター目線”をコンセプトにJリーグに関する雑記、アウェイグルメ紹介などを執筆。好きなアウェイグルメは信玄餅(桔梗屋)。totoを当てて田園調布にマンションを買うのが人生の目標。

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