Shooty

日本サッカーの新境地 カウンターサッカーの切れ味は世界レベルだ

桜井恒二

2018/07/04 17:22

2018/07/07 11:15

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7月3日、サッカー日本代表は、ワールドカップ(以下、W杯)ロシア大会でベスト8進出を賭けてベルギー代表と戦い、死闘の末に2-3で敗北した。日本人にとって、思い出すだけで悔しさがこみ上げる一戦だが、日本サッカーの未来を考える上で収穫も感じられる一戦だった。

スペイン、PK戦で敗退……2010年W杯を制した“ティキ・タカ”に行き詰まり感

過去の日本サッカーは、ボール支配率を高め、華麗なパス回しで相手のDF陣を崩していくポゼッションサッカーを目指してきた。モデルはスペイン代表やFCバルセロナの“ティキ・タカ”だ。守備を固める相手を真っ向からぶった斬る、アルベルト・ザッケローニ監督時代に一部試されたサッカーであり、スペインが2010年の南アフリカW杯を制したサッカーだ。

だがモデルチームであったスペインは今大会、10人のフィールドプレイヤー全員が密集するような固い守備網に手を焼いた。

6月21日のイラン戦でこそ守備網を切り裂いて1-0で勝利したが、7月1日のロシア戦では縦パスを通すスペースをほとんど塞がれた。そうして攻撃をことごとく跳ね返され、延長戦の末にPKで敗退。延長までの約120分で、ボール支配率は約74%に達していたにもかかわらず、だ。

ティキ・タカは、何十手も先を読むプロ棋士のような精密な崩しの舵取りを担うアンドレス・イニエスタ、あるいはピッチ上で“違い”を生み出すリオネル・メッシのような天才が常にいないと成立しないのではないか。誰もがティキ・タカの行き詰まりを感じたことだろう。

極限の戦いで見せた新境地 カウンターサッカーで2発

スペイン敗退の大波乱の2日後に行われた日本対ベルギーは、最後の最後で日本が逆転されて敗北した。だが日本にとって120%のパフォーマンスを絞り出さないと勝てない極限の戦いで、日本サッカーの新境地が見えた。ティキ・タカとは異なるサッカー。ずばりカウンターサッカーだ。

FIFAランキング3位の強豪ベルギーに対し、ボールを奪う守備、選手間のひらめきが噛み合って2得点を生み出した。特に一点目は、柴崎岳の鮮やかなスルーパス、原口元気の走力が噛み合った見事なカウンター攻撃だった(ベルギーの守備陣が少々荒削りだったことを考慮しても)。

ハイプレスと強固な守備でボールを奪い、カウンターで矢のごとく射抜く。ベルギー戦で見せたそれは、ヴァヒド・ハリルホジッチ前監督が目指したカウンターサッカーの理想形に近い。昨年11月のベルギー戦でこそ不発に終わったが、奇しくもハリル前監督が去った今回は結実した。西野朗監督が、ベルギー戦後に「ハリルホジッチ監督がずっと積み上げてこられたスタイル、チームにもたらしたものは大きい」と語ったのもうなずける。

また今回の日本のサッカーは、形は多少異なれど、ドイツ代表を打ち破ったメキシコ代表のカウンターサッカーにも通じるものがあった。以前から一部メディアや識者の間で言われてきたが、日本は小柄な体格の選手が多く、アジリティの高さがメキシコと似ている。そんな日本が披露したメキシコのお株を奪うようなカウンターは、世界レベルの切れ味だったと言っても過言ではないだろう。

と、褒めたまま終われればいいのだが、そうもいかない。日本はベルギー戦の後半ロスタイム、痛恨の逆転弾を許した。勝負どころと見るや、試合終了間際に全力で駆け抜けるベルギー攻撃陣の体力と気力、ラストパスをスルーしたロメル・ルカクの余裕と視野の広さ、ナセル・シャドリの冷静さ。「上には上がいるよ」と言わんばかりの強烈なカウンターだった。

戦ってきた日本人選手たちには、本気のベルギーとの死闘を通じて、今後のチームの強化につながるヒントが見えたはずだ。ロシアW杯のラストゲームで高い、高い、高い授業料を払った彼らサムライブルーを、またこれからも応援していきたい。

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